「まったく、なんだってこんなことに……」

 夜の帳が支配する閑静な住宅街、その道の真ん中を一人の少年が悪態を付きながら駆け巡る
 彼の後ろには、人間の姿をしているものの、あからさまに人間とは思えない白く大きい物が数体、彼を追いかけている

「奴らの目的は、やっぱコレか……?」

 ぶつくさ文句を言いながら、少年はズボンのポケットに入れていた物を取りだす
 それは、それぞれ15と28と言うローマ数字が書かれた、手のひら大の宝石

「ま、追っかけられる以上、その理由を知りたくなるのは当然、と言う事で……っと、なんだこりゃあ……」

 ニヤリ……と不敵な笑みを浮かびながら後ろを向くと、追いかけていた化け物が攻撃態勢に入っていたのである
 その攻撃を間一髪回避した少年は、それを予想してなかったように、引きつった笑みに代わってしまう

「やっぱ奴らにとってコレは必要なのか、それとも只単にコレの力に引きつけられてるのか……まぁ良いさ……」

 対抗策が無い以上、逃げるっきゃない……やや自虐的な笑みを浮かべ、再び逃げてた方に振り向き……
 化け物の方は、最初の攻撃を回避されたことにより、彼が只物でない事に直観的に理解したのか、腕を鋭いドリルの様な形状にし、少年に振りかざして襲いかかっていく

「くそったれ! なんって素早い攻撃だ! ……ってぇ!」

 その攻撃を回避しつつ、駆け抜けていた少年は、信じられない物を見るかのような表情になる
 それはそうだろう……その人型の化け物が大きく口を開け、そこから炎の様なものを吐きだしたからだ

「マジかよ……やれやれ、こりゃ逃げられんかもな……」

 ため息交じりに諦めを口にするものの、それでもその表情に諦めの色は無い
 しかし化け物はその態度を理解したのか、その表情を不愉快そうに歪め、さらに激しい攻撃を仕掛けようと、腕を振り上げる

「……ッ! しま……っ!」

 こりゃ直撃か……!?そう少年が思ったその瞬間だった
 一本の矢が化け物の腕に突き刺さっており、その直撃を受けた化け物の一体が苦しそうにうめき声を上げる

「どうやら、怪我は無いようね」

 少年がその声の方向を向くと、変な動物を肩に乗せ、弓を構えた少年よりも年下と思われる黒髪の女の子が立っていた……


  魔導戦記エターナルブレード プロローグ


「どーやら助かったみたいだが……」

 少女の姿を確認した少年でしたが、その視線はある一定の部分で固定されます

「……もしかしてアンタ、異世界から人間とか?」
「何処をどう取れば……って成程……」

 少年の一言に、少女は呆れたような表情になりますが、肩に乗った動物に、少し納得した様に頷きます

「ともかく、助かった」
「怖くは無いのかい? 人間と言う物は、普通この手の物に怯えると言うじゃないか」

 少年が礼を言うと、少女の肩に乗った動物が意外そうな声を上げる

「ま、俺達の方が例外かもな 色々あったのさ ……色々、な」

 動物の問いに答えつつ、少年は化け物がいた方向を改めて見る
 少年を襲っていた大きい物体は、少女の攻撃で消え去っており、少年を襲った理由は結局理解できないままだった

「ともかく、助けたついでに、一つ頼まれてくれないか?」
「なに?」

 少女の問いに、少年は手に持っていた宝石を、一つ渡す

「連中はもしかしたら、こいつの力に引き寄せられたかも知れんからな」
「分かった もしかしたらこの世界の物じゃ無いかも」
「多分な 俺は俺で色々ツテがある 連絡方法も交換した方が良いな」
「ええ」

 そしてお互い携帯電話を取り、アドレスと電話番号を交換し―――

「それで、アンタの名前は? 俺は風見透夜だ」
「暁美(あけみ)ほむらよ こっちはインキュベーダー」
「こっちとは失礼だな、ほむらは」
「ほむらか 何か分かったら、連絡する ……まぁ、簡単じゃないのは分かってるが、な」
「とりあえず、今日の所はこれで失礼するわ」
「ああ ――それじゃあな」

 少年――透夜の言葉に、少女――ほむらは少し頷いただけで、そのまま文字通り飛び去って行った――

 様々な世界で繰り広げられる、戦いの物語
 コレは――その最初の第一歩だった――

 終わり

 あとがき
 とりあえずこんな感じの長編を書いてみたい、と言う話です
 ピクシブに登校しようかとも思いましたが、完結させる自信が無いので、止めておきました(笑)

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