「小僧、頼みがある」

　後半月程でホワイトデーとなるある日、久しぶりに古河パンに渚と汐を連れて行った時に、何故か唐突にオッサンにこう言われた

「……珍しいな　オッサンが俺に頼みごとなんざ」
「今回早苗や渚や汐じゃ無理だからな」
「私じゃあ……」
「「は？」」

　遠い目をしながらオッサンが呟いた直後、早苗さんから妙な言葉が　まさかこのパターンは……！

「私じゃ頼りにならないんですねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！！！！」
「俺はっ！大好きだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！」

　絶叫しつつ早苗さん、フルダッシュ　オッサンも追いかけるようにフルダッシュ　しかし……

「今回はかなり珍しいパターンですね」
「全くな」
「アッキーと早苗さん、仲良し」
「全くな」

　渚と汐の感想は全くもってその通りだった


　朋也と祐介と秋夫のドタバタホワイトデー


　数十分後、息も絶え絶えと言わんばかりのオッサンに事情聴取（と言ってもそこまで大袈裟じゃないが）を行った
　……なのに早苗さんはあんまり息切れしてないのが凄く不思議だ　……なんで？（作者の意図です）

「つまりオッサンはホワイトデーに送るお菓子の講師したいから俺を実験台にしたいと言うわけだな？」
「応よ！お前も渚からチョコを貰っただろ？お前もお返しが出来て、俺も練習になる！一石二鳥だろうが！」
「たっ　確かに……！」

　今日ほどオッサンがカッコよく見えたのは無いな……！オッサンがもうちょっと筋肉質だったら思わず「アニキ！」と呼びたいくらいに

「小僧……お前、そんな趣味があったのか……」
「秋夫さんが格好いいのは激しく同感です！」
「でも朋也君が無茶苦茶な事言ってます！」
「何故俺の考えてる事が分かった！」
「おとーさん、思ってる事喋ってた」
「ぐっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！」

　田舎にいる親父よ……俺、今日この日ほど死にたいと思ったことはないぜ……（涙）
　ともかく……

「ホワイトデーっつったら、やっぱりクッキーなのか？」
「後マシュマロや飴を上げるってーのがあるらしいな」
「ちなみに岡崎　クッキーとビスケットに明確な違いを決めているのは日本だけで欧米じゃあ特に違いがある訳じゃないそうだぞ」
「芳野さん、意外な知識を持ってるのは分かりましたが、何時の間に来てたんですか」
「もちろん今だ　ここの店長がホワイトデーの企画を考えてると聞いてな……公子のお返しの為にご教授願おうと思ってな」

　うわぁ……今の芳野さん、思いっきり自分の愛に酔ってる顔してる……流石は元ロッカーだぜ……って違うか

「アンタ、気に行ったぜ　今日は小僧を使ってその練習をしようと思ったが、生徒は大勢こられたら困るからな……アンタにも練習台になってもらうぜ」

　おぉ！オッサンからなんかやる気が出てるっぽいオーラが出てる！芳野さんのロッカー魂がオッサンに感化されたのか！？　恐るべし芳野祐介……って感じだぜ！

「早苗！渚！材料の用意は出来たか！？」
「「はい！！」」

　おぉ！オッサンのやる気に感化されたのか、早苗さんと渚も思いっきりやる気前回だ！汐もそんな二人に嬉しそうな笑顔を見せてやがるぜ！
　そんなみんなの顔を見てると俺もなんだかやる気が出てきたぜ！
　そんなこんなで、オッサンが教師役のオレと芳野さんのお菓子作りがはじまった……


「ここは！こうで！こうだ！」
「「はい！！！」」
「はいじゃねぇ！！オウだ！！！」
「「オウ！！！」」
「次はこれを使う！！！」
「「オウ」」

　お菓子作りの内容をいい感じではしょってるのは作者がクッキーを作った経験が無いからだ！面倒だからじゃないぞ！
　そんなこんなでなんかガ○バス○ーのノリも真っ青になるかと思いきや……

「お父さんもアッキーも芳野さんもうるさいよぉ……」
「しおちゃん、三人とも男の人だからちょっと騒ぎたくなる時があるの　女の子は我慢して優しく見守って上げるのがいいのよ」
「はーい！」
「「「…………」」」

　いつの間にか厨房に来ていたのか、汐がちょっとムカついているような表情で文句を言っていた　……もう、なんつーか凹みますｏｒｚ
　しかもそれ以上に凹むのが渚のフォローだよ　なんつーか達観しまくっててダメージが大きい……
　隣を見てるとオッサンと芳野さんも同じ事を考えてるのだろう　ガクリと膝をついている　どうやら俺以上にダメージが大きかったようだ

「畜生……渚と汐に嫌われた……」
「いや、これは二人の愛の試練です……愛があればこそあー言ってくれたんです　そう信じましょう」
「そうだな……」
「いやいやいや　今回ばかりは愛が無いから　二人とも本当にうるさいと思ってたから」
「「そうか……ｏｒｚ」」
「それよりも……クッキー　作ろうぜ……渚たちに迷惑にならない様にな」
「「そうだな……」」

　そんなこんなで俺たちは普通にクッキーを作り始めた
　なんつーか変なノリで渚にも汐にも嫌われたくないしな　古人曰く「初心忘れるべからずだ」
　バレンタインのお返しが出来たから良いが……こんな展開で本当に良かったのか？　まぁ良くないだろうけどいっか

　おしまい


　あとがき
　ひな祭りに続いてのクラナド時事ネタですが……なんか最後が完全にグダグダでしたね
　グダグダを完全にギャグと勘違いしたようなネタばかりですが、これからも宜しくお願いします
　しかし早苗さんもうちょっと出すべきだったかなー？