「さて、どーしたもんですかね」
「どうしたもんでしょうね」

 目の前に展開に、この俺岡崎朋也とその義母古河早苗はその対処に苦慮していた

「汐は分かってるんでしょうか?」
「微妙に分かってない気もします 早苗さんの孫だから結構賢い子だと思ってたんですが……」
「あら、ありがとうございます」

 俺の言葉にちょっと嬉しそうな顔になる早苗さん でもそんな事を話しても現実は変わんなんだけどな……

「朋也君がお母さんと仲良しです!私とも仲良くしてください!って私、かなり恥ずかしい事言ってます! って、二人ともお父さんを止めてください!」

 おぉ、マイハニー渚が可愛い事言ってくれるぜ……ってそうじゃないな……俺は(やりたくはないが)現実と向き合うことにする

「汐〜 めちゃくちゃ可愛いぞ〜♪」
「えへへ……」
「そもそもオッサンは今日汐に着物着せて何をさせたいんだ……?」
「そうですね……最早ひな祭りとは関係がなくなってる気がします……」

 オッサンの褒め言葉に汐は笑顔になり、その汐の笑顔でオッサンも大はしゃぎ 最早今日がひな祭りと妙に関係が無くなってきてるが……

「くそうオッサンめ……汐と仲良くしやがって……」
「朋也さん それじゃあ秋生さんと同じ穴のムジナですよ ……今更ですが」
「今更ですねぇ……」

 俺の一言に渚と早苗さんが思いっきり呆れてるが、まぁどーでもいい 俺には汐がいてくれればそれで全部おっけーなのだ(渚は?と言うツッコミは勘弁してくれ)


 初めてのひな祭り


「ともかく今日はひな祭りだ 汐、可愛いぞ〜」
「えへへ……」

 俺の言葉に汐は嬉しそうな表情になる あぁ畜生!渚の子供だけにすっげぇ可愛い笑顔だ!早苗さんお手製の着物もその可愛らしさに拍車がかかってやがる!
 まぁそれはともかく、こうなったのは当然理由がある 今日がひな祭りだからって、田舎にいる親父から甘酒が5本も届いたのだ
 一本500mlぐらいの奴だったら一日で全部飲めるかもしれないが、送られてきたのは何と一本1.5リットルの奴だったのだ
 親父も初めての孫でひな祭り出来るぐらい成長したんで、相当舞い上がってたんだろう その上オッサンと違って毎日会える訳じゃないしな
 まぁ今日一日で全部飲まなきゃ駄目と言う法はないんだし、そー言う法があったとしても杏とか春原呼べばいーだけの話だ
 ともかく……

「とっととお雛様の飾り付け、やっちまうか」
「そうですね」
「それじゃ、こっちですよ〜」

 汐に夢中なオッサンを見事に無視して、俺たちはお雛様の用意を始める事に

「しかしお雛様の用意って大変なんですね こーいうの飾り付けする所の仕事じゃなくてよかったな」
「いつも電柱の上に登ってる朋也君が言う事じゃないと思います!」
「うお!珍しく渚にツッこまれた!」
「おとーさんとおかーさん、仲良し」
「汐よ それはちょっと恥ずかしいぞ」
「しおちゃんがなんか恥ずかしい事言ってます!てかしおちゃんと私たちも仲良しです!って私もなんか恥ずかしい事言ってます!」
「岡崎、いるかー?」

 俺と渚と汐でバカな事やってるときに、知ってる声が聞こえてくる 芳野さんがわざわざ来るなんて珍しいな

「どうかしましたか?」
「あぁ、お前が娘の為にひな祭りをすると聞いたからな ホレ」

 そう言いつつ俺の目の前に差し出したのは白酒 しかも一本2リットルの奴が三本……

「岡崎、唐突に固まってどうした」
「小僧、どーした」

 突然固まった俺に、芳野さんだけじゃなくオッサンも心配になったんだろう わざわざ様子を見に気やがった
 しかしなんかやーな予感がするんだが……
 そんな俺の気持ちを当然知らないのだろう オッサンは芳野さんの持っていた物を見てしまう

「そうかそうか……これの礼として早苗のパンを好きなだけ食べて行ってくれ!」
「お、オッサン!そりゃマズいだろ!」
「るせぇぞ、小僧!2リットル三本だぞ!仕返しの一つも……」
「いや、そーじゃなくて……」

 言葉と共に俺は明後日の方に顔を向ける そこには、瞳に涙を溜めた早苗さんが佇んている

「私のパンは……私のパンは……」

 今にも泣き出しそうな表情で早苗さんが呟く あーもういつものこのパターンか……

「仕返しにしか使えないんですねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ―――――――!!!」
「それでも大好きだぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――!!!」

 絶叫と共に古河家を出て行く早苗さん そしてそれを早苗さんのパンを食べながら追いかけるオッサン ……あくまで古河家、及び古河パンじゃあいつもの光景だ しかし……

「岡崎 あれも一つの愛の形だな」
「あの、とりあえずその白酒 一本だけください」

 いつもと違うのは愛と言う言葉で思いっきりトリップする芳野さんの存在だろう……
 はぁ……なんかグダグダだ……汐と渚がいなかったら鬱になってたな……

 終わり

 あとがき
 単発二つ目のゲームSSとなりましたが、今度はクラナドと言うゲームからになりました
 しかも思いっきりEDの後……まぁゲーム本編をやってなくても他の人のSSや四コマなんかを読んでたらある程度のSSは書ける筈……と思ったら出来た物です
 ハロウィン、バレンタイン、と続く第三回目の時事ネタになりますが、こんな妙にグダグダな展開で良かったんだろうか……?(苦笑)

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