世界は今、未曾有の危機にさらされていた!

「がお――――――!!」
「キャ―――――!!」
「助けて―――――!!」

 飛び交うミサイルの数々! 悲鳴を上げる子供達!
 この世界に攻め込む彼らに対抗出来る存在はいるのだろうか!?
 そして、その敵の正体とは如何に!?

「……お父さん……なんと言うか、無茶苦茶言ってません?」
「……オッサン……気持ちはわかるが、それは心の中だけで呟こうぜ……」
「……アッキー……変だよ……?」
「…………」

 ……どうやら悪ノリしすぎて、激しく暴れすぎたようだ……
 だが……だがな……

「お前らだって十分ノリノリだったじゃねーかー!」
「オッサン程じゃねぇよ」
「お父さん程じゃありませんよ」
「アッキー程じゃない」
「あらあらまぁまぁ」

 ……どうやら一番ノリに乗ってたのは、俺の様だ……

「と言うよりオッサン……未曾有の危機って、その敵はオッサンじゃねぇか」
「その上、その敵は豆まきの鬼役なだけですッ!」

 ……その上、渚にここまで徹底的にツッコミを入れられたのは、生まれて初めてだ……


    汐と節分!


 ともかく、今の状況は、単なる豆まきである
 古河家に訪れた汐の前で、鬼役をやって、適当に豆を投げられて、それで終わり、と言う訳だ

「それにしても、オッサン……結構本格的にやってんだな」
「まぁな やるからには本気でやるのが男ってモンだ ……そうだろ?」
「確かに」

 俺の使ってた鬼の衣装を手に取りながら、朋也は感心しきりに頷く

「アッキー、もう鬼さんはやめたの……?」
「まぁ、鬼の使う棍棒も折れちまったしなぁ……発泡スチロールをこう言う風に使うのはアレだな〜」
「オッサン、乗りに乗りすぎた…… 気持ちは分かるが、もうちょっと加減しろよ……」

 汐は残念そうな表情をしてるが、やはり鬼と言えば棍棒だからな……こればっかりは仕方ない

「しおちゃん、豆の用意が出来ましたよ」
「はーい」

 そんなこんなで早苗と渚が豆を持ってきた
 ……のだが、二人に近づこうとした汐ははたと動きを止める

「……やっぱり要らない」
「え!? 豆嫌いだったか?」
「ううん、違うの」

 そして、次に言った言葉に、俺達は思わず慌ててしまう
 そんな俺たちの気持ちとは裏腹に、汐は真剣な表情で言葉を紡ぐ

「豆まきの日に食べる豆は、年の数だけだって、杏先生が言ってたの ……だから、今日は食べれない」
「ああ、成程な」

 汐に言われて気付く ……こう言う時には子供と言うのは妙に真面目な所がある物だ、としみじみ実感する

「まぁ、コレは節分とは関係ない豆だと思えば良いさ」
「でも……」
「それとも、汐は俺達と一緒に豆を食べたくないか?」
「ううん、食べたい」
「じゃあ、食おうぜ」

 俺と朋也の言葉に、汐は「うん!」と元気よく答える
 ……のはいいのだが……

「みなさん、こんなのを作ってみました」

 早苗が持ってきたある物で、その状況は一変する……

「あ、あの〜 早苗さん……そのパンって……」
「ハイっ! 節分をイメージして作った、節分パンです!」

 俺達を代表して朋也が早苗に聞くと……当たり前の様な答えが返ってくる

「バッ……早苗! それじゃ完璧に罰ゲームじゃねぇか!」
「オッサン!そりゃ……」
「ゲッ……」
「私の……私のパンは……」

 そのパンを目の前に、俺が思わず声を荒げてしまうと……一瞬のうちに早苗が涙目になって行く

「罰ゲームにしか使われないんですねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええっ!」
「俺はッ! 大好きだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああっ!」

 まぁ、その後は何時もの如く、と言う訳だ
 ……我ながらやれやれだぜ……

 おしまい

 あとがき
 ……なんと言うか、勢いしか無い作品ですねぇ……(笑) タイトルに関しては、電撃コミックスの「よつばと!」を全力で参考にさせてもらいました
 まぁ、内容としては、大人と子供の考えのギャップとか、そんなところでしょうか?
 オチに関しては、クラナドと言うゲームとしては、基本的な部分……何でしょう 多分
 あるいは、汐ルートでよつばと!っぽい展開のエピソードの一つにした方が良かったんじゃ?と思ったり……(笑)

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