※ このSSは僅かながらに百合成分があるので、読む際にはお気を付けてください










『わ―――っ!わ―――っ!わ――――っっ!!!』
「み、宮ちゃん!?」

 二月も中旬に入り、外は寒い日がもう少しで終わり、と言わんばかりの気温になったある日、私の隣の部屋から凄い叫び声が響きました
 隣の部屋の住民、宮ちゃんは、普段から妙な行動ばかりするけど、いきなり叫び声をあげるような子じゃ無かったはずだけど……

「宮ちゃん、どうしたの!?」
『ゆ、ゆのっち!?』
「宮ちゃん、大丈夫!?」
『だ、大丈夫!今片付け中だから入ってこないで!』

 あからさまに怪しい……だけど、宮ちゃん自身が大丈夫って言ってるし、友達とは言え他人を部屋に入れちゃいけない時もあるし、とりあえず自分の部屋に戻ろう……

『うわわ……わぁ―――っ!』
「み、宮ちゃん!?」
『だ、大丈夫だよ、うん!』

 ホントに大丈夫かなぁ……とりあえず自分の部屋にいても気になるだけだし、ヒロさんの部屋にでも行ってよ……


  何時もお世話になってる大好きなあなたに


『うわ―――!まただ―――!』
「そういえば宮ちゃんの部屋、ここの上でしたっけ……」
「毎度の事ながら、騒がしいわねぇ」
『もうヤダぁぁぁ―――!』
「さ、紗英さん!?」
「紗英も厳しい状況だからねぇ」

 一階にいる私の上級生、ヒロさんの部屋に避難したのは良いけど、上からは宮ちゃんの、隣からは紗英さんの声が響いて、自分の部屋にいるのとあんまり変わらない状況かも……

「紗英はともかく、宮ちゃんの叫び声は数日中で収まると思うけど?」
「え、そうなんですか!?」

 ヒロさんは宮ちゃんの事を全部分かり切ってるような顔であっさりのたまってくれました

「でもこのままじゃ、本番に間に合わないかもしれないから、ちょっと手伝ってくるわね」
「えっと……紗英さんは大丈夫なんですか?」
「ええ、とりあえず料理の下準備は終わってるから」


「ゆのっち、おっはよ〜〜」
「宮ちゃんおはよう」

 そして数日後の朝、宮ちゃんと部屋の前で会いました

「えへへ……ゆのっち、ハッピーバレンタイン〜♪」
「え、宮ちゃん、くれるの!?」

 そして宮ちゃんは、手に持ってる物……チョコレートを手渡してくれました

「もしかしてこの前の奇声って……」
「そうなのだ! ヒロさんに手伝ってもらってようやく作れたよ……」
「あ、アハハ……」

 宮ちゃんが微妙に納得してない顔をしているのは、きっと自分ひとりで作れなかったから、だよね……?

「学校が終わったら、今度は私からチョコを上げるね!」
「お、期待してまってるのだ〜!」
「うん!」
「あ、ゆのっち、手〜つなご〜」
「う、うん! えへへ……」

 そして宮ちゃんからもらったチョコをかばんに入れると、宮ちゃんと手をつないで学校に向かいました

 あとがき
 今日2月14日と言う事で、バレンタインネタとなりました ……が、いわゆる百合ネタとなってしまいました(苦笑)
 最初はけいおん!で唯&憂が和に、と言うネタにしたかったのですが、こっちに変更させてもらいました
 にしても、紗英って妙に出番がない……嫌いってわけじゃないんですけどねぇ……

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