「ん?」

 古河パンからの帰り、ある物に目が付いて、それを見てみると、それは一枚の細い布だった
 いや、布と言うのは激しい語弊がある それは女の子が髪に付けるアクセサリー……つまりはリボンだった
 男の目から見ても、可愛らしい印象を持つその装飾に、思わず目を奪われる

「朋也君、どうかしましたか?」
「む」

 いかんいかん、一緒にいた愛妻・渚の事を忘れていた
 いきなり立ち止った俺に、不思議そうな視線を投げかけてくる彼女、そんな表情も可愛いなー、こんちくしょう!
 そんな彼女の態度に、思わず頭をナデナデしてしまう

「はふぅ……ともやくん……はずかしいです……」

 珍しく顔はおろか、首や耳まで真っ赤に染めている物の、渚の表情は笑顔だった
 つまりはもっと撫でてもおっけーと言う事だ

「うぅ……みんな見てますよぅ……」

 渚の言う通り、道行く人達は俺達を見て、微笑ましそうな表情で見守ってくれてる
 俺は丁重にその視線を無視して、渚の綺麗な髪を撫で続ける

「あ、渚、ちょっと待っててくれないか?」
「? 良いですけど……」

 不思議そうに首を可愛らしく傾げる彼女だったが、素直に俺の言う通りにしてくれた
 そして俺は、目に付いたリボンを取り、店の中に入って行った


  IMAGE CHANGE?
  

「お帰りなさい、朋也君」
「ただいま、渚」

 店から出ると、渚は笑顔で俺を迎えてくれた
 そんな彼女に、さっき買ったリボンを手渡す

「えっと、コレは?」
「プレゼント」

 不思議そうな顔をする渚に、俺は思わず素っ気なく答えてしまう

「あ、あのあの、私にこんな可愛いリボン、似合わないと思いますっ!」
「そうかなぁ? 絶対似合うと思うけど? それに、俺は好きな女の子がけなされるのは凄く嫌だぞ」
「と、朋也君がそう言うなら、付けてみますねっ! えへへ……♪」

 渚は俺の言葉にデレデレしながら、髪を上げてリボンを付けてみようとする……が、不慣れなせいかその作業が進まない
 その時上がった髪を支えるように、もう一本の手が現れる

「全く、渚は不器用ね〜 まぁそこが魅力なんでしょうけど」

 その手の主は、何と杏だった 彼女の顔は思いっきりニヤけてて、俺達を思いっきりからかおうとしているのは明白だった

「にしても、あんた達……よくも街中で堂々といちゃいちゃ出来るもんねぇ……ホラ渚、とっとと結んじゃいなさい」
「は、はい……」

 杏の言葉に、渚は真っ赤になりつつも、リボンを結び始める
 苦労しながら結び終えたその姿は……少々不格好なポニーテールではあったものの……

「中々に良いじゃない?」
「そ、そうですか? ありがとうございますっ!」

 そう、杏の言う通り、かなり可愛いモンだった

「って、朋也!いくら渚が可愛いからって、問答無用に抱きしめようとしない!」
「はっ!」
「ま、それだけ渚の事が大好きだって事なんでしょうけどねぇ〜♪」
「はふぅ……」

 杏のニヤニヤ笑いに、渚は茹でダコの如く全身を真っ赤にして照れている

「なぁ、杏……この最高に可愛い渚、お持ち帰りして良いのか?」
「……いやいやいや、その子元々アンタのでしょーが」

 俺の一言に、杏は呆れたように只溜息を吐くことしかできなかったようだ

 杏と別れた後、渚は顔を真っ赤にしながらも機嫌が凄く良く、晩飯が終わってもポニーテールを解かずに鼻歌を歌い続けている

「朋也君っ!お風呂の用意が出来ましたっ!一緒に入りましょう!」
「おう……って、渚!リボンリボン!」
「む〜……やっぱり外さなきゃ駄目ですか?」
「そりゃあ、風呂に入るときとか、寝る時ぐらいはな」

 俺の言葉に渚はかなり残念そうな顔になってしまう

「ほ、ホラ!髪を洗う時とか、大変だろ!? それにリボンが濡れたりしてダメにしてしまうのももったいないだろ?」
「そ、そうですね! せっかく朋也君がプレゼントしてくれたものだし、ずっと大切にしていたいです……」
「い、いや、ちょっと待って……」

 リボンを外そうとした渚の手を俺はつい止めてしまい、渚の体をギュッと抱きしめ、髪を撫でてしまう

「朋也君?」
「あー……暫くこのままでいて良いか?」
「はいっ!」

 ……しかし、暫くいちゃいちゃしすぎたせいで、せっかく沸かした風呂が少々台無しになってしまったのは、致し方ない事なのかもしれない

 終わり

 あとがき
 とりあえず、髪型を変える、と言うネタをやってみたかった それだけです(笑)

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