(うぅ……諺に「前門の虎 後門の狼」言うのがあるが…… この状況を言うんかいな)

 目の前にいる「ある動物」を見て、学校帰りの私……「青野真紀子(まきし)」は恐怖に思わず手が震えだす

(分かっとるねん……いい加減何とかしなあかんってのはわかっとるねん……せやけど……せやけどーー!)
「あにシリアスな顔して、カッコつけてんのよ」
「全くですよ、真紀子さん……にわちゃんだってこの前出来たじゃないですか」
「それにマキちー 「前門の虎 後門の狼」て……狼は只単にマキちーが苦手な犬で、虎は(サドモードの)八重ちゃんとちゃうかー?」

 思わず呟いていたのか……上から、クラスメイトの潦(にわたずみ)景子と友達(というより同居人)の七瀬八重ちゃん、由崎多汰美(たたみ)が呆れたような表情を見せてる うぅ……分かっとんねんで?分かっとるんやけどなー
 

 学校帰りのトリコロ娘プラス1 家主の娘はサディストさん?


 事の始まりは簡単と言っても過言では無い筈……話の流れで、私と多汰美が前に会った女の子が、飼い主に捨てられていたであろう野良犬を飼いたいと考えていた、と言う話になったからだ
 そして、その女の子から逃げていた犬から私が逃げた、と言う事をしった八重ちゃんが、

「じゃあ、前にわちゃんがやったように、今度は真紀子さんが犬にさわれる様にペットショップに行きましょうか」

 と仰られました 断ったら八重ちゃんの体から何かヤなオーラが出てきそうで嫌だったのだが……

「やっぱ無理や!私が犬さわるなんて、後25年はかかるわ!」
「もしかしてにわちゃんより重症ですか?」
「それよりもマキちー 何気にカリキュラムの年数が倍近くなっとるよ?」
「情けないわね〜」

 にわの言う通り、情けないのは分かってる せやけど怖いのは正直怖い 何て言われようが、世の中そんなものである そーゆー風に達観しちゃいかんのは分かってるが……

「仕方無いわねー」

 溜息混じりににわが一言 もしかして今日は許してくれるのだろうか?そんな私の気持ちをよそに……

「七瀬〜 今日もの凄く沢山料理をしたくなったとか無い?」
「それえーな! 八重ちゃん、いっぱいいっぱい料理しなよ!マキちーも今日はダイエットしたくないって!」

 え?と聞きたげな八重ちゃんをよそに、私は「ぎゃーーーー!」と叫びそうな表情になっていた ここ数日調子良かったのに、八重ちゃんの「特別料理」を食べることになったら……!

「さっきのは冗談や!関西人特有のボケゆー奴や!」

 叫びつつ、犬に近づくが……尻尾の振りを見る限り、人間に触れられるのが純粋に嬉しいのだろう 今にも私に「わんわん」と嬉しそうに吠えながら飛びつこうとする が……

「ぎゃーーーーーーーーー!」

 やっぱ無理や!あと50年のカリキュラムを立てなきゃ、私は犬にさわれへん!

「お仕置き決定……!」
「マキちー、最近ダイエット調子良い言うとったのになー」
「あはは……」

 逃げてしまったため、にわと多汰美の声と八重ちゃんの苦笑は、当然聞こえなかったりする


 後数日間、私は八重ちゃんがいつも作ってる「栄養に良くて味も良い」食事じゃなくて、「味はいい物の確実に体重に響く」物を食べることになってしまった しかもデザート付で……分かっとるんやけどなー


とりあえず終われ(なぜか命令形)
 

 

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