(会いたい……)

 心の中で一言 俺は呟く それだけ俺は彼女に惹かれてるのだろう
 だけど今は会う事は出来ない だって今は深夜の2時だから 会いに行くことはおろか、電話でお話も無理だろう
 あの凄く暑い日に年上のあの人と恋仲になってもうすぐ四カ月は経つ今、外は凄く寒くなってる
 こんな時間だと、心まで凍てついてすべてが凍ってしまうんじゃないかとすら思えてくる

(早苗さんに会いたい……)

 つい数時間前まで飽きるほどお喋りをしたと言うのに、早くも愛しいあの人に会いたい そして声を聞きたい
 手をつないだりとか、ちょっとしたことで良いから、二人で何かをしたい……
 まさかここまで彼女の事を好きになるとは思えなかった だけど今以上に彼女の事を好きになりたいと思ってる自分もいるのもまた事実
 外をみると、どうやら雪が降ってるようだ 道理で寒いと思った
 こんなんじゃ例えじゃなくて、心まで凍てついてしまいそうだ……


 ピュアでほのぼの、そしていちゃラブシリーズ まぼろし月夜 隆史×早苗編


「来ちまった……」

 商店街の中にあるフラワーショップ苗……ここが俺の大好きな女性笹川早苗が住んでいる所
 心が凍ってしまいそうで、辛くて切なくて、つい家を出てここまで来てしまっていた
 何故か持ってきた時計をみると、いまだ3時を指している 無論普通は寝てる時間だ

「馬鹿だなー……」

 思わずそう呟いてしまう 自分が馬鹿すぎて、ちょっとだけ泣きたくなってくる
 
「帰ろ……」
「隆史君みーつけた」

 踵を返してアパートに帰ろうとしたその瞬間、早苗さんの嬉しそうな声が聞こえた
 驚いて声のした方をみると、パジャマの上にコートを着ている早苗さんがいた

「……………………」
「隆史君? もしかして寝てる? それとも生霊かしら?」
「起きてますし、普通の人間です ちょっと驚いただけ」
「そう……私もビックリした ちょうど今、隆史君に会いたいなって思ってたから」
「…………え?」

 今早苗さん、なんてった?俺に会いたいって?
 早苗さんの顔をみると、本当に俺に会いたいって思ってくれてたんだ……

「俺も、会いたかったから、ここまで来たんだけど……」
「まだ午前の三時ですものね でも私も、隆史君に会いたかった 来てくれて凄く嬉しい……!」
「俺も、早苗さんが俺に会いたいって思ってくれてて、凄く嬉しいよ」
「ありがとう……!」

 笑顔で涙を流す早苗さん それだけ俺に会いたかったんだろう
 こんな簡単な事で喜んでくれる年上の彼女が、可愛らしくて、愛おしくてたまらなかった


「だけど、こんな時間にここに来てくれるほど、私の事を考えてくれるなんて、思わなかった」

 このままだと、心はともかく体が冷え切ってしまうので、家に上がってお茶を頂くことにした

「それは俺も同じ……さっき早苗さんがコートを着てたってことは、俺に会いに来たいって思ってくれてたからでしょう?」
「ううん……すこし違うわ……」

 会いたいったって、流石に早苗さんは俺のアパートに行くほど非常識じゃないか でもこの時間まで俺の事を思ってくれてたのは事実か

「会いたいけど、隆史君が迷惑じゃないかな?って思ってたんだけど……その時、私の大切な人がここまで来てくれたよって声が聞こえたような気がしたの」
「え……?」
「外に出てみたら、本当にあなたが来てるんですもの 驚いちゃったわ♪」
「声ってやっぱり……」
「うん 多分お父さん……」

 呟くと共に早苗さんは明後日の方に視線を向ける そこには4つの位牌
 それは早苗さんのご両親と、お兄さん夫婦がいる所

「わざわざ早苗さんに俺が来たことを教えてくれたってことは……」
「うん……私たちの事、認めてくれたってことだと思う……」

 いずれ早苗さんを幸せにしたい 俺のそんな想いを、早苗さんの家族は認めてくれた……その事が、俺にはたまらなく嬉しかった

「隆史君」
「あ、はい」
「私も、隆史君の事、幸せにしたい……」

 蚊の鳴くような声だったが、早苗さんの優しさと慈愛に満ちた声はハッキリ聞こえた

「早苗さんがそう思ってくれるだけで、俺は幸せだよ」

 早苗さんの言葉に応えると同時に、俺は早苗さんを強く優しく抱きしめた……

 終わり

 あとがき
 今回は前半ややシリアスさが強かったですね〜 「ほのぼの」なのに ですが、その分ピュアさ、いちゃラブさは増してるつもりなのでご容赦を(ぉ
 んで、原作の方ですが、元々10年ほど前にDC後にPSで出てたゲームです ストーリーはひょんな事でご先祖様の恋人と名乗る幽霊と同居する羽目になった主人公のお話です
 個人的にこの主人公好きですね〜 なんか一度決めたら「きっとなんとかなる〜」的な前向きさで進む所とか
 ヒロインが何故か全体的に巨乳率が高いですね〜 今回の早苗さんが最も大きく、何とその数値97CM!どーりで序盤牛と呼ばれた訳だ(笑)
 

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