「朋也」

 俺の好きな女の子が嬉しそうに俺に話しかける
 その表情は何時も通りだ だが違和感が一つある
 それは、まるで天使を連想するような綺麗な羽が生えていて、お姫様が着るようなドレスを身にまとっている事だ
 その彼女が俺に抱きついてくる それが当たり前のように

「朋也 大好きだぞ」

 俺の好きな女の子が、俺の一番好きな表情で自分の気持ちを伝えてくれる
 それだけで俺は幸せな気分になれる気がする

「朋也は、私の事が好きか?」

 そして俺の好きな女の子は、俺の気持ちを聞いてくる
 聞かなくても分かってるだろうが、言葉にしてくれないと嫌なようだ

「ああ 大好きだぞ」
「そうか 嬉しいぞ」

 ちょっとした言葉なのに、彼女……坂上智代はまぶしい笑顔を俺に見せてくれる

「それで、智代さん?」
「何だ?」
「なんで智代に羽が生えてるんだ?」
「朋也は変な事を聞くな」

 俺の問いにおかしそうに、だけど優しい表情で答える

「私はこれでも神の子だ その私の背中に羽が生えてて当然だろう」
「そうかそうか それなら当然だな ……ってえぇぇぇえええ!」
「おかしな朋也だな」

 可愛らしい笑顔で笑う智代をよそに、俺は周りを見る
 良く見ると俺のいる場所はさっきまでいたはずの俺の家ではなく、広い海を連想するような広い草原だった
 OK!これは夢だ!でなきゃ智代が神の子だなんて言わないし、背中に羽もはやしてないからな!

「それより朋也」
「どうした?」
「前私が朋也と約束したのを覚えてるか?」
「約束?」

 俺の答えに智代はちょっと不満げな表情を浮かべる そんな表情も可愛いなーこんちくしょう

「忘れたのか?私が守りたい景色を朋也に見せたい、という約束だ」
「そ、そうか」
「思いっきり飛ばすから、私にしっかりしがみついてくれ」

 その言葉に従うと、智代は足に力を入れ、一気に大ジャンプをかましてくれる
 俺と智代に急速なGがかかり、今上空に飛んでいっているんだ、と自覚させられる

「うううわぁぁぁぁぁあああああああぁ!」

 智代を信じていても、思わず悲鳴を上げてしまう俺 その俺の視線の先には……

「おはよう、朋也」

 普段の智代が、膝枕をしながら優しい笑顔で俺に話しかけていた


 ピュアでほのぼの、そしていちゃラブシリーズ クラナド朋也×智代編


「そうか それは変わった夢だな」

 夢の内容を話すと、智代は最初にそうコメントしてくれた

「だけど私が神の子と言う事はあのまま夢が続けば私は女神さまになる、と言う事だな」
「た、確かに言われてみれば……」

 夢の中の智代はそれっぽいドレスを着てたわけだし、智代の言う事は正しいのだろう

「と言う事は、私は朋也だけの女神さまと言うわけだ」
「そ、そうだな」
「それは光栄な話だな」

 俺のちょっとした夢の話なのに、智代は凄くうれしそうな表情をしてくれる ちょっと不機嫌な顔もいいが、やっぱり智代はこー言う表情が一番いい

「しかし、私が女神さまになるかも知れない、と言う夢を見るとは朋也も以外にロマンチストだな」
「え!? そ、そうか?」
「そうだろう 夢とは言え、そんな事を考えてるんだからな」
「そ、そうか」

 なんか智代にロマンチストと言われるとなんか気恥かしい気がするぞ
 まぁいーか

「朋也が望むなら私は朋也だけの女神さまになりたい」
「え!?」
「いや、か?」

 智代は俺の態度にちょっとだけ不安そうな表情になる

「そうだな……智代は女神さま以上の魅力を持ってるしなぁ……」
「と、朋也!恥ずかしい事を言うな!」
「可愛いとか綺麗だとか言ってるんだぞ 智代は恥ずかしがり屋さんだな」
「朋也は……そんな私は嫌か?」
「いや、大好きだぞ 可愛いからな」
「そ、そうか……私も朋也が大好きだぞ」

 言うと同時に、智代はいまだにその膝にまとわりついてる俺の頭を優しく撫でてくれるのであった

「あの〜姉ちゃん、兄ちゃん……俺が来てるの、いい加減気付いてくれると嬉しいんだけど……」
「た、鷹文!何時の間に!?」
「えっと……10分ぐらい前からか?二人がイチャついててちょっと話しかけづらかった」
「「ごめんなさい」」

 俺達のバカップルっぷりに思いっきり恥ずかしそうな鷹文に、俺達はただ平謝りを続けるだけであった

「全く……外でそれやる場合、周りに気を使うべきだからね」

 鷹文の注意の言葉が、やけに俺達の心に突き刺さったのは、言うまでも無いだろう

 おしまい

 おまけ

朋也「ってな夢を見たんだ」
春原「はぁ?智代が女神ぃ?岡崎、ばっかじゃねぇの?」
朋也「だよなぁ……いくら智代が可愛いからって女神はちょっと変だったか?」
春原「いや、智代の場合、戦乙女と表現した方が……あべしぃ!」
朋也「春原ぁぁぁぁ―――――!」
智代「私の大好きな朋也の言葉を否定するとは……今ここで瞬殺した方が世の為人の為になるな」
朋也「止めとけ智代!これ以上蹴ると春原の言う事を認めることになるぞ!智代は俺の女神さまなんだろ?」
智代「と、朋也……(ポッ)」
春原「あんたらマジで仲良しですねぇぇぇぇ!(涙)」
智代「朋也……」
朋也「智代……」
春原「しかも僕の話を聞いてないしぃぃぃぃ!(涙)」

 おまけも終わり

 あとがき
 はい いちゃラブシリーズ第六弾はクラナド智代編です 「夢の中に出て来た彼女は女神でした」ネタは前々から使ってみたかったので、ようやく使えて良かった良かったです
 にしても智代がスムーズに行ったのに杏のラブ物が思いつかない…… まぁそれは椋や風子にも言えることなんですけどね(笑)

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