「いけないいけない……つい話し込んじゃった……」

 更衣室で慌てて着替える私……
 理由は簡単……仕事の打ち合わせに時間をかけ過ぎて、一緒に帰る約束をした大好きな恋人さんを待ちぼうけさせすぎちゃった、ってだけ
 彼……達哉はこう言う話は真面目だから、あまり気にするタイプじゃないのは分かってるけど……
 それでも、私自身が達哉と一緒にいたいと言う気持ちもあるから……着替える時間も勿体ない位

「遅くなってごめんなさ……きゃっ!」

 先に外で待っていた彼を確認して、遅くなった事を謝ろうとしたら……
 いつの間にか、私は達哉の胸の中にいました

「ちょ……達哉?」

 呼びかけてみても、達哉は返事をせずに、只抱きしめる力を強める一方……
 抱きしめてくれるのは嬉しいけど、人目もあるからちょっと恥ずかしい……
 でも達哉はそんな私の気持ちを無視して、さらに一歩上の行動に出てくる
 そう……達哉は私の顎を掴んで……

「ちょ、達哉! それは恥ずかっ! んっ……」

 達哉は強引に私の唇を奪うどころか、さらに……
 私はそんな荒々しいキスに応えて行くけど……今日の達哉はちょっと変
 二人きりならまだしも、人前でこんなあからさまなスキンシップを好む人じゃ無いのに……
 唇を放してくれると、また達哉は力強く私を抱きしめる

「達哉……嬉しいけど……苦しいわ」
「あ……ご、ごめん!」

 私の一言で我に返ったのか、達哉は私を解放してくれた
 でも、幸せな息苦しさから解放されて、ちょっと残念かも……


  ピュアでほのぼの、そしていちゃラブシリーズ 夜明け前より瑠璃色な 達哉×さやか編


「それで……いきなりこんな事をした理由を教えてほしいのだけど?」
「え? えっと……」

 外で唐突に抱きついただけでなく、キスまでしてきた理由を尋ねると、顔を真っ赤にして私から目をそらす

「さやかが……仕事とは言え、他の男とずっと話してたから……」
「達哉……」

 もしかして……ヤキモチ焼いてくれてたのかしら?

「ふふっ 私はあなただけの物よ♪」
「わ、分かってるけど……」
「でも……ちょっと嬉しいかしら?」

 達哉がヤキモチを焼くって事は、それだけ私の事を想ってくれてる、って証拠に……なるのよね?

「そ、それより、麻衣が待ってるし、早く帰ろう」
「ええ ……あ、ちょっと待って」

 顔をさらに赤くして、さっさと歩こうとする達哉を呼びとめて……私は彼のほっぺにキスをする……

「さ、さやか……」
「ふふっ 顔を真っ赤にするなんて、達哉って可愛いわね♪」
「……さやかも、顔が真っ赤で、凄く可愛い」
「え……」
「ふふ〜ん、お二人さん、見てますよ〜〜」
「「…………」」

 お互いに顔を真っ赤にして、黙りこくってしまうと、近くから冷やかすような声が
 その方向を見ると、お隣の菜月ちゃんが、意地の悪い表情でニヤニヤしていました

「まぁ、麻衣には言わないで上げるけど……兄さんに言うかどうかは……二人の誠意次第ね〜♪」

 うう〜〜〜……あの冷やかし上手の仁君に話が伝わると……私達の知人友人全てに話が伝わりそう……

「菜月の好きにしろよ 周りがどう冷やかそうと、俺達が愛し合ってるのは変わんないんだから」
「…………よくもまぁ、そう臆面も無く言えるわね…………」

 達哉の一言で、菜月ちゃんは凄く呆れたような表情になるけど……私の気持ちはそれどころじゃない
 なんか、凄く恥ずかしいけど……それと同時に、なんか嬉しい気持ちになってしまう

「達哉……エヘヘ……」

 そのせいか、私の顔は凄くだらしない物になっていそう ……こんな顔して、達哉に嫌われないかしら……?

「まぁ、その……お幸せにね〜〜」
「勿論、ずっと幸せさ」

 達哉の言葉に、菜月ちゃんはさっさと帰ってしまう 顔を真っ赤にしてる所から、凄く恥ずかしかったんでしょうね……

「さ、俺達も帰ろう」
「え、ええ……」

 差し出された達哉の手を取らずに、腕に全力で抱きつく 達哉は真っ赤になったけど、そんなの構わない……
 だって、私達は愛し合ってるんですものね 達哉の言う通り、誰に冷やかされたって構わないわ!

「エヘヘ……達哉、大好き……♪」

 だから、何度でも言葉にしたい……自分の大切な気持ちを……

 終わり

 あとがき
 久しぶりのピュアラブは、夜明け前より瑠璃色なから、従姉のさやかからになりました
 ことみの時は恥ずかしさのあまり、思わず笑ってしまいそうな文章だな……と思いながら打ってました

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