かの人物曰く「らぶらぶな関係」になって、分かった事がある
 それは彼女……久寿川ささらが、俺やこのみの前ではお姉さんぶる所がある、と言う事だ
 だけど、生来不器用な部分がある彼女にとって、気持ちが空回りして失敗することも一回や二回では無かったりするのも、また事実な訳だが
 それでも、このみに「ささらお姉ちゃん」と呼ばれると、俄然張り切る彼女が、とても可愛くて愛おしい気持ちで満たされてしまう

「ささらって、良いお母さんになれそうだよな……」
「えっ……?」

 そんな折、このみと一緒に春夏さんとタマ姉から料理を習ってた姿に、思わず一言
 どうもその一言が聞こえたのか、ささらはみるみる内に顔が真っ赤になって行く

「そ、そんな……私……」
「そうね〜 このみの面倒が見れるんだから、悪くないかもね〜」

 そして両手でその顔を隠しながら俯くささらに、春夏さんが自分の言葉にぶーたれるこのみを無視して俺に同意するように頷く
 しかし、その表情は、ささらを優しく見守る母親の表情と言うよりは、恋に恋する妹をからかうニヤニヤ笑顔であるのは、見間違いだろうか?
 タマ姉もタマ姉で只真っ赤になるだけの俺達に、微笑ましい表情と冷やかす表情、その二つが同居した様な笑顔になっている

「あ、あの……貴明さん……えっと……」

 そんな春夏さんやタマ姉の態度に気付いてるのか気付いてないのか、俺に言いずらそうに声を上げる

「じゃ、じゃあ……子供は、男の子と女の子、どっちが良いですかっ?」
「ぶーッ!」

 そして、意を決して口にしたささらの一言は、俺が思わず口にしていたお茶を噴出させるには十二分な一言を言うのでした


 ピュアでほのぼの、そしていちゃラブシリーズ ToHeart2 貴明×ささら編


『………………』
「あ、あの……」

 ささらの問題発言から一分……俺達にはなんとも言えない空気が流れていた
 そりゃあそうだろう……高校生の初々しい(?)カップルが、いきなり子供の話をすれば、そうなるだろう……

「「あっはっはっはっはっはっはっはっは!」」
「え、えっと……?」

 だけど、その言葉の意味がようやく心に伝わったのか、タマ姉と春夏さんが、お腹を抱えて大笑いをし始め出した
 このみもこのみで、なんか凄い言葉を聞いたけど、ささらをからかいたい様な笑顔になる

「さ、ささら! それ最高よ! タカ坊も凄かったけど、今のあなたのセリフ……っ!」
「あ、あの……タマさん、痛いです……」
「ご、ゴメン……だ、だけど……」

 そして思いっきりささらの背中を叩きながら、本当におかしそうにタマ姉は笑い続ける

「…………あっ」

 そんなタマ姉達の態度に、その真意を測りかねていた物の、自分の言葉を一つ一つ思い出して行くうちに、それを思い出したのか、一瞬でさらに真っ赤になる

「あ、あのッ! そ、そう言う意味でなくて、えっと……」
「どういう意味もそう言う意味も、タカ坊の子供が欲しい以外の意味が無いと思うけど?」
「うぅ〜……」

 そして、慌てて言い訳をしようとするささらだけど、タマ姉にその道もふさがれて、恨めしそうにタマ姉を見上げるしか方法は無い

「えっと、ささら……今の顔、可愛い……」
「えっ……」
「……タカ君、その一言は泥沼よ?」

 俺はなんとかフォローしようと口を開いてみたけど……ささらは只真っ赤になって俯くだけ
 春夏さんの一言で、自分が本当に泥沼にハマって行く発言をした事に気付いたけど、今更その言葉を取り消すことは出来ない

「ともかく、二人はこれからの事を真剣に考えてる、って訳ね?」
「「……」」

 これ以上何を言っても泥沼にはまるだけなので、タマ姉の一言に、俺達は只頷くことしか出来ませんでした
 でも、ささらが俺の子供が欲しい、と言うのは、俺と結婚しても良い、と考えていいん……だよね? ……多分……

 終わり

 あとがき
 最近ひだまり〜の更新ばかりだったので、気分転換にピュアラブを更新〜
 そして、今回はToHeart2からタマお姉ちゃんと並んでのお姉さんキャラ・ささらからです
 この作品で、微笑ましい気分になってくれれば幸いです

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