「あ、律太さん、なずなに会いに来たんですね〜♪」

 一週間ぶりに可愛い恋人なずなに会いに来た俺は、ちょっとだけ意地の悪い表情をしている乃莉ちゃんと出くわした

「なずなの部屋に入るの、後数分待っててくれませんか?」
「え?なんかまずいことでもあるの? 着替えしてるとか?」
「まぁ、そんな所です♪」
「……それで、乃莉ちゃんは何故意地の悪い表情をしてるのかな?」
「あはは、分かっちゃいますか♪ でも律太さんにとって悪い話じゃないと思うので、もうちょっとだけ待っててもらえませんか?今、紗英さんの小説のお手伝いをしてるので」
「はぁ……」

 しょうがないので、入り口で待たせて貰う事に しかし何があるってんだろうか……
 とりあえず、その時間つぶしにと乃莉ちゃんにここ一週間のなずなの様子を教えてくれた
 学校ではかなり男子にモテて、ここ最近はラブレターをもらう事も少なくないとか
 なずなが「大好きな人がいるからごめんなさい」とその都度断ってくれてるらしい なずなの彼氏としてはかなり幸せな話ではある
 しかしなずなが紗英ちゃんの小説の手伝いか……こう言っちゃあ何だが、なずなは小説の手伝いが出来るほど頭が良い訳じゃない 手伝いなんて出来るのか……?
 それを乃莉ちゃんに聞こうと思った時、部屋から「律太さ〜ん!入ってくださ〜い!」と言うゆのちゃんの声が聞こえたので、遠慮なくお邪魔させてもらう事に

「よっ、なずな」
「い、いらっしゃい……」

 部屋に入った俺を出迎えたのは、なずなの怯えた声 さっきの乃莉ちゃんの表情と言い、何があるんだろうか……?
 奥に入ってなずなを探すと、何と宮子ちゃんの陰に隠れて何かに怯えてる様子だ もしかして俺、なんかヒドい事したんだろうか……?

「ほら、なずなちん!今の姿を律太さんに〜!」
「で、でもぉ〜恥ずかしいです〜〜〜(///)」
「なずな?どうした?」
「う、うん……」

 宮子ちゃんの陰に隠れて少し震えていたなずなだが、そうやってても無駄だと思ったのか、ようやく出て来た その姿は……

「メイドさん?」
「はぅあぅ……」

 そう 最近一部の喫茶店で働いてる女の子の主流の格好な……いわゆるメイドさんをなずながやっていたのである


 ピュアでほのぼの、そしていちゃラブシリーズ ひだまりスケッチ 律太×なずな編


「実は私の書いてる小説のヒロインが、メイドさんと言う設定なんです」
「成程なぁ……」

 キッチンでお茶の用意をしてるなずなを目で追いながら、紗英ちゃんに事情を説明してもらっていた

「律太さん、顔がニヤけてますよ〜♪」
「なずなちんの格好が可愛くてデレデレしてますな〜♪」
「ん!ゲフンゲフン!」

 いかんいかん 少々あからさま過ぎたか

「お茶、出来ました〜」
「なずなちん、それだけじゃ駄目だよ〜 ちゃんと『ご主人様』を加えなきゃ!」
「なんでやねん!」
「え、ええええぇぇぇぇ!」

 宮子ちゃんの言葉に、思わず入れた俺のツッコミと同時に、なずなの悲鳴が重なってしまう

「今回は思いっきり同感だね なずな!私を助けると思って!」
「は、はい……え、えっと……ご主人様……お茶が出来ました……」

 い、いかん……ここまで可愛いなずなは見たことも聞いたことも無いぞ

「な、なずなあああああああ!」
「律太さん、今すぐのハグは駄目ですよ〜 なずな、お茶持ってますから♪」
「ハッ!?」

 乃莉ちゃんの一言で俺は理性を何とか取り戻すことに成功する ……しかし乃莉ちゃんの声が妙に嬉しそうなのは、俺の気のせいと言う事にしておこう うん、気のせいだ

「それはともかく、律太さんや〜♪ なずなちんにご主人様として命令をしては如何でしょうか〜♪」
「わ! 私もそれ、見てみたいです♪」
「宮子ちゃんもゆのちゃんも何を言ってるか! しかも凄くうれしそうに!」
「え……命令……してくれないんですか……?」
「な、なずなぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 いかん!なんか雰囲気のせいか服のせいか、なずなが完璧メイドさんっぽくなってるよ!
 しかもなずな以外の5人がなんか期待してるっぽい目をしてるし! 仕方ない……

「それじゃあ なずな……こっちにおいで」
「は、はい!……はい!ご主人様!」

 むぅ……いつもの「律太さん」じゃなくて「ご主人様」と呼ばれるのは妙に照れ臭いな……
 俺の隣でちょこんと可愛らしく座るなずなは、いつもよりも数割増しで可愛く感じてしまう
 それで思わずなずなの頭を優しく撫でてしまう なずなの綺麗な髪は、手触りも最高で凄く安心する

「は、はふぅ……」

 俺に撫でられる事が嬉しさと恥ずかしさの両方が来るのか、顔を真っ赤にして可愛らしい吐息を吐く
 皆ニヤニヤして俺となずなを見ているその時だった

「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!」

 いきなり紗英ちゃんが叫びだし、なずなの淹れたお茶を飲み干した後に部屋を飛び出したのだ……何が起きたんだ?

「律太さんとなずなちゃんに小説家として何かしらのインスピレーションが起きたんですね」
「そう……」

 ヒロちゃんが事情を説明してくれたが……最早何も言うまい……

「じゃあ、私は紗英の夕飯を作るから、ここで失礼するわね 律太さん、可愛いメイドを大切にしてあげてくださいね♪」
「……ブルータスよ お前もか」

 にこやかに去っていくヒロちゃんに、俺はそれ以外のコメントは出来なかった
 ゆのちゃん達も口々に俺となずなをからかってから部屋を立ち去って行き、いつの間にか二人きりにさせられてしまっていた

「あ、あの……」
「どうした?」
「お茶……おかわりいる?」
「あ、ああ……淹れてくれるか?」
「はい、喜んで♪」

 まぁからかわれてもいっか! なずなが笑顔だし最高に可愛いし!

「じゃあ……ごほうびにナデナデしてくださいね……私だけのご主人様♪」
「だからご主人様は良いっての!」

 終わり

 おまけ
吉野家先生「ララ〜〜♪ ララララ〜〜〜〜〜♪」
桑原先生「よ、吉野家先生!?その格好、どうしたのさ!?」
吉野家先生「ええ〜♪ 今流行のモテモテ衣装ですよ〜♪ ラララ〜♪」
桑原先生「は、はぁ……メイド服がですか……」
吉野家先生「そうですよ〜♪」
校長先生「吉野家先生……」
吉野家先生「校長先生!?」
校長先生「あなたと言う人は毎度毎度毎度毎度!?もう少し場に会った服装と言う物をですねぇ〜〜〜〜〜!」

数十分後

校長先生「それでですね、吉野家先生! 聞いてますか!?」
吉野家先生「ふうぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜ん(涙)」

 本当に終わり

 あとがき
 今回のいちゃラブシリーズはひだまりスケッチのなずなと、ここから行けるゆきさんのブログでアップされてるSSのオリキャラの律太さんとのカップリングです 元々このカップリングなんですけどね
 今回は終始ニヤニヤしながら書いてました(苦笑) 人間、慣れるモンなんですねぇ ことみの時は無茶苦茶恥ずかしかったのに……
 しかし最後の吉野家先生は思いっきり蛇足だったか……?
 

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