「岡崎さんにお願いがあるんです!」

 出会いからもうすぐ二年、俺の彼女な女の子、春原芽衣が俺に真剣な表情で俺を見つめてる
 いい感じで駄目な兄を反面教師として育ってきたのかそうでないのか……しっかりしている彼女でもこんなに真剣な表情はかなり珍しい それだけ大切なお願いなんだろう

「どーしたんだ?改まって」
「はい……私高校生になりましたよね?」
「ああ、そうだな」

 どーしたんだろうか 今日の芽衣ちゃんは凄い真剣だ
 ハッ!まさか俺に愛想を付かせて別れ話をもちだすとか!?

「め、芽衣ちゃん!」
「はい?」
「俺に悪いところがあったら言ってくれ!全力で直すから!」
「は?」

 俺の言葉に芽衣ちゃんが思いっきり不思議そうな顔をする どうやらこれは違うようだ よかったよかった

「い、いや、俺の勘違いのようだ で、お願いって何?」
「フフっ♪」
「芽衣ちゃん?」
「私が岡崎さんの事嫌いになる筈無いですよ♪」
「め、め、め、芽衣ちゃん!」

 一瞬で真っ赤になる俺にクスクスと笑い声を上げる芽衣ちゃん 可愛い笑顔だけど今回だけはやめてほしかった

「話が脱線しましたね えーとですね……」
「ああ」
「さっきも言ったけど、私高校生になりました 初めて会った時よりちょっとだけかもしれないけど大人になりました」
「まだまだ綺麗な女性とは程遠いのは事実だが、春原より大人なのは事実だな」
「お兄ちゃんと比較して子供な高校生を探せと言うのが無茶ですよ」
「いや、そこはフォローしてあげるべきじゃあ……」
「事実ですから♪ それで、ですね……」

 芽衣ちゃんの真剣な表情が少し無くなり、代わりに緊張したような顔に変わる どうやら俺に甘えたいとかそー言う話じゃなく、真剣な話のようだ

「俺に出来ることだと良いんだが」
「はい えっと……私のこと、芽衣って呼んでほしいんです」

 芽衣ちゃんの真剣な表情とは裏腹に、お願いは簡単なものだった


  ピュアでほのぼの、そしていちゃラブシリーズ クラナド朋也×芽衣編


「えっと、私が岡崎さんの彼女さんになって、結構経ちますよね」
「ああ、俺は電気工に就職して、芽衣ちゃんは高校生になった」

 驚愕なセリフ(芽衣ちゃんにとって)を言った数分後、芽衣ちゃんは理由を話してくれた

「それで、私、少し大人な女の子になれたかな……?って思うようになって……」
「そうか……大人かどうかはわからないけど、芽衣ちゃんは結構しっかりしてるから、子供っぽいと思う事は絶対ないな」
「半分はお兄ちゃんのせいかもですね」

 俺の言葉にちょっとだけ苦笑いの芽衣ちゃん ううむ……芽衣ちゃんは笑顔の方が可愛いな

「それと、岡崎さんの彼女として皆にみられたいなーと思うようになりまして!」
「そっか」

 芽衣ちゃんが大人かそうでないかは分からないが、結構乙女チックな理由で可愛らしいと思う
 そうだな……いい方法が一つだけあるな

「条件が一つあるな」
「条件、ですか?」
「ああ 芽衣ちゃんが俺の彼女として見られたいんだろ?」
「はい!」

 俺の言葉に恥ずかしそうだけど、満点の笑顔で俺に答える芽衣ちゃん くそーこー言う笑顔が可愛くてたまらん

「じゃあ、俺の事を岡崎さんじゃなくて朋也って呼んで欲しいな」
「え……よ、よ、よ、呼び捨てですか!?」
「ん……?芽衣ちゃんの性格上、それは無理かもな 朋也さんでも何でもいいから」
「そ、そ、そ、そうですか……え、えっと……えっと……朋也さん……♪」
「ぐはっ!」

 ほっぺたを真っ赤にしながら笑顔で俺の名前を呼ぶ芽衣ちゃん 最高に可愛い表情をしてくれるぜ……!

「お、岡崎さん、大丈夫ですか!?」
「あ、あぁ、大丈夫だ それより呼び方が元に戻ってるぜ その……芽衣」
「は、はい! えっと……朋也さん」

 くはぁ……なんだこの付き合い始めたばかりの恋人トークは……
 しかし芽衣に名前で呼ばれると幸せすぎておかしくなりそうだ

「め、芽衣!もう一度呼んでくれ!」
「は、はい 朋也さん……」
「も、もう一度!」
「朋也さんっ」
「もう一度いいか?」
「朋也さん♪」
「もう一……」
「岡崎 気持ちは分かるが、それまでにしておけ」

 もう完全にバカップルっぽくなってるであろう俺達を止めたのは、俺の仕事の先輩にして愛の伝道師・芳野祐介だった

「よ、芳野さんだ……!」
「岡崎 大切な女の子に恋焦がれる気持ちは俺も良く分かる 俺も公子と恋人になった時は彼女を想った日は少なくないからな」
「は、はぁ……」
「だからこそ、岡崎 彼女を大切にしてやるんだ 俺の言いたいことは分かるな?」
「は、はい!」
「芽衣さん芽衣さん 今のは俺に対して言った言葉ですよ〜」
「はっ!」

 むぅ しっかりしている俺の彼女にここまではっちゃけた言動をさせるとは……恐るべし芳野祐介
 でも気持ちはわかるな 芳野さん外見だけでなく、性格もセリフ回しもいちいちカッコいいしな

「芽衣」
「は、はい!」

 さっきのミスのせいか、顔が思いっきり真っ赤である そんな芽衣が可愛くて愛おしいと思ってしまっていたりする

「まぁ、何だ そー言う芽衣もいいと思う 大人っぽい事に憧れる芽衣も、しっかりしてる芽衣も、春原になんだかんだ言って面倒見る芽衣も、な」
「は、はい!朋也さん!」

 俺の言葉で芽衣はさらに顔を赤くする さっきとは違う意味で
 そんな俺たちの近くで、芳野さんは「これこそ素晴らしい愛の形だな」とマジな表情で言っていた

 終わり

 あとがき
 いちゃラブシリーズ第七作 今回はクラナドの妹キャラ芽衣ちゃんで行ってみました
 なんっつーか可愛いですよ芽衣ちゃんは〜 こんな子にお兄ちゃんと呼ばれると悶絶しそう(笑)
 でも芳野さんはある意味蛇足だったか……?とちょっと不安になったりします

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