恋と言う物は不思議なもので、その相手の事を好きになるともっと好きになりたいと思う物である
相手の仕草一つとっても最高に好きな筈なのに、もっともっと好きになりたいのである
そして目の前に最も簡単な方法があるなら、その方法に飛び付くのが人間である
そう……それが悪い表現をすれば「悪魔のささやき」だとしてもだ
「宮沢、いるか?」
「あら?岡崎さん、どうかしたんですか?」
俺は愛する女をもっと好きになるために「効果の高いおまじない」と言う物を試してみようと思い、それを知ってる後輩宮沢に教えを請いに行ってみた
それがいわゆる悪魔のささやきだと言うのは分かっている だが俺は、あいつの事をもっと好きになりたい
キレると問答無用に辞書を投げて攻撃すると言う横暴で凶暴な女だが、料理は上手で笑顔は抱きしめたくなるぐらい最高に可愛い女だ
「宮沢、好きになった女をもっと好きになるおまじないを教えてくれ」
「成程……探してみるので、明日まで待ってもらえますか?」
「助かる 頼むぜ」
例えそれが悪魔の囁きだとしても、俺はあいつを……杏の事をもっと好きになりたい……!
流石に杏の事だけを考えて生きてけないが、それでもあいつ無しでは俺はもう生きていけないからだ……!
ピュアでほのぼの、そしていちゃラブシリーズ クラナド朋也×杏編
「で?その結果がコレな訳?」
「ああ……」
次の日、宮沢が教えてくれた方法を試してみると、俺と杏は放課後体育館倉庫の整理を頼まれた すると何故か外側から鍵をかけられたのである
「まったく……あたしを好きになるために変なおまじないに頼るなんて、アンタもおかしくなったんじゃない?」
「杏、愛してるぞ」
「し、知ってるわよ! だからここから出る方法を考えなさい!」
お、杏が少しどもった 成程、表現を少し変えれば良いんだな って確かに今はそー言う問題じゃない
「おまじないの有効期限は6時までらしいからな……杏さえよければ、それまでのんびり待つのが一番だと思うぞ」
「しょーがないわねぇ……椋に電話するわ 帰りが遅れるって」
「すまん!杏!愛してるぞ〜!」
「だ、だから知ってるってば!もぉ……」
倉庫の暗がりの中でも分かるぐらい、杏の顔は真っ赤になる あぁ……こりゃ可愛いわ……
「杏 ぎゅ〜ってしていいか?」
「ちょ、調子に乗るんじゃない!」
「駄目か?さっきも言ったが、杏の事をもっと好きになりたいんだ」
「う……ちょ、ちょっとだけよ?」
「やった〜♪」
ああもう!ホント可愛いぜ、こいつはよ〜!
俺がワガママ言ってるからな 苦しくならない様に優しく優しく……
「朋也……」
「?どうした?」
「もっと強くしてくれないの……?」
え?今、なんつった?強くしてくれったのか?
声も何時もの強気な声じゃなくて、蚊の鳴くような凄く可愛い声だったし……
「いいのか?」
「え?あ、あの……ちょ、ちょっとだけよ!ちょっとだけだからね!苦しくしたら許さないんだからね!」
「ああ、分かったよ」
杏の言う通り、抱きしめる力を強める すると杏の温もりと優しい匂いで俺の心はとても癒されてく
「暖かいぞ もっと強くしていいか?」
「もう、しょうがないわね!朋也じゃなかったらぶん殴る所なんだからね!」
「はいはい 愛してるぜ杏!」
「なっ!バッ!変なこと言わないの!」
そんなこんなで馬鹿な事をやってると、突然派手な音を立てて扉が開いたのだ
「お姉ちゃん!岡崎君!大丈夫ですか!?」
扉を開けたのは、椋とその彼氏勝平、それに当直らしい幸村だった! 杏のメールで椋が学校に来たのだろう 何たる最悪のタイミング……俺達が抱き合ってイチャついてる時に現れるなんて……
ああ、三人の顔が心配そうな物から、なんか凄い人をからかうような物になって行ってるよ……
「フフっ♪ 私たちはお邪魔でしたか?」
「椋さん、僕も後で抱きしめて良いかな?」
「はい、喜んで♪」
などとお喋りしながら、涼と勝平は外に出て行った
幸村も「まぁ、気を付けて帰るんだぞ」とだけ言って、戻っていった
「朋也?」
「は、は、は、ハイ!」
「この……お馬鹿!」
絶叫と共に辞書投てき 問答無用の一撃の為、俺は回避すら出来ず、そのまま食らってしまった
「全く……ホラ、帰るわよ!」
「はいはい……」
声こそ凄く怒ってたが、表情は声と違って凄く幸せそうなものだったのは内緒だぞ?
にしても、杏は暖かかった……機会があればもう一度おまじないを試してみますか!
終わり
あとがき
久しぶりのピュアラブシリーズクラナド編、いかがでしたか? 杏は書きづらい〜とか言いながら、ネタを思いついたらあっさり出来てしまいましたね
にしても杏のツンデレっぷりは普通すぎたか?とも思います こればっかりは精進でしょうね
それにしても何気に宮沢と勝平、幸村先生が初登場だったり……