「こーのくんに、おねがいがあります!」
偶然にも我が彼女・このみとのデートと、掃除当番が重なったその日に、唐突にその事件は起きた
普通に掃除を終わらせ、このみが待っている校門に到着すると、そのこのみを後ろから抱きしめて拘束(?)しながら、先ほどのセリフをのたまう我らが委員長小牧愛佳の存在がいたのだ
「……郁乃?」
「……暫く付き合ってあげれば、すぐに飽きるわよ、この姉は」
その真意が全くもって伝わってこなかったので、隣に心の底から呆れてます、と言わんばかりの表情で立つ彼女に視線を向けるけど……
全くもって良く分かんない答えを返されてしまいました
「……いーんちょ、とりあえずこのみを返して」
「あ、ご、ごめんね?」
「うわーん! たかくーん!!」
「ああ、もう……よしよし、こわかったなー……」
「アンタ、本気で心配はしてないでしょ? というより、もうどうでもよくなってきてるでしょ?」
もうどうしていいのか分からず、とりあえず適当に言った要求はすぐに達成させられる
そして、解放されたこのみは、涙目になりながら俺に縋りつくけど……本当、どうしていいのか分からず、最早適当な返事をするしか方法は残されていない
「……それで、お願いってなに?」
「えっとね、二人がデートしてる所を、見せて欲しいの」
「「…………」」
委員長の一言に、俺とこのみは思わず絶句してしまう
それに相対して、郁乃は……
「……ごちゃごちゃ騒いでないで、早く行きなさいよ」
どうも、俺たちのデートに興味津々なのは、姉では無くて妹の方だったようで
ピュアでほのぼの、そしていちゃラブシリーズ ToHeart2 貴明×このみ編
「それで、この二人は何?」
「なんと言うか……どうコメントして良い物か……」
そんなこんなで数分後、いつの間にか来ていたタマ姉が当然の一言を発する
そりゃあそうだろう……真剣な目で俺達を眺める女の子が二人 そんなんじゃ、誰だって何なのか問い質したいに決まっている
「あ、私達の事は、お気になさらないで下さい!」
「……お姉ちゃん、それじゃあ逆に気になるから」
それに対して、姉の方はなんともお約束な一言をのたまう
妹の方は……パッと見は何時も通りなんだよな…… 内面は姉と違って俺達を冷やかすタイミングを冷静に測ってんだろうけど
「ほら、二人とも……今日はデートなんでしょ? 早く行かないと、時間が過ぎちゃうわよ?」
「あ、はーい!」
「分かった」
そしてそんなこんなと色々姉妹にからかわれる……前に、タマ姉によってデートに向かわされる
このみはこれから俺とデート出来るんだ、と言うのをようやく思い出したのか、俺の腕に全力で抱きついてくる
「「「ほっほ〜う……」」」
その瞬間、声と共に冷やかすような視線が三つ……小牧姉妹に、タマ姉だ……
「あのね、二人とも……こんな人目の付く所から堂々とそうやっていちゃいちゃするから、からかわれるのよ?」
言葉そのものを聞けば、俺達を窘めるような一言だけど、タマ姉の口調は、絶対俺達をからかいたい、と言う欲求に満ちてる
このみもこのみで、タマ姉達に冷やかされて恥ずかしいのか、顔全体が真っ赤になっている
「今日一日、私達が見守ってあげるから、そう言う風に顔が真っ赤にならないようになさいな?」
嘘だ!絶対嘘だ! タマ姉は俺達がイチャつく度にいいんちょ達と一緒に俺達を冷やかすつもりだ!
だけど、タマ姉たちの前で堂々とひっついたのに、こうやって真っ赤になる俺達にも問題があるのも事実か……
このみも観念したのか、俺の手を取り、本来向かうべきだった所に歩き始めたのでした
とりあえず、タマ姉の言ってることは嘘ではありませんでした ……嘘では
三人とも、電柱柱の陰に隠れて、こそこそとニヤニヤ笑顔で俺達を見ていました
……トホホ……
おしまい
あとがき
今回のピュアラブはToHeart2から、このみとなりました
ひだまりメイドラプソディーでもこのカップリングを使ってますが、貴明に目立った活躍はほぼ皆無だから、ようやく書けた感は否めません
……と言いたい所ですが、コレは只単に二人が冷やかされてるだけですね まぁ、いーか(ぉ
次のピュアラブは……どうなる事やら 永遠のアセリアを書いてみたいと言う気持ちはあるのですが……