「…らぎちゃん!…き……ぎちゃん!」
「う……ん……」
寝ている私に、優しい声が聞こえてくる
……寝てる? ううん、寝てるんじゃなくて、授業でソフトボールをやってる時にボールが頭にぶつかって気絶したんでした
聞こえてくる声は……烈人君でしょうか……?
「ぁ……」
「よかった……」
私が目を覚ますと、最初に現れたのは、やっぱり私の大好きな烈人君の顔でした
こう言う時に不謹慎かもしれませんが、やっぱり烈人君は笑顔の方がカッコいいです
「大丈夫?起きられる?」
「あ、ハイ、大丈夫です!」
「ホラ」
差し出された烈人君の手を借りて、起き上がる
ちょっとだけ安心した様な烈人君のほっぺたに、ぺろりと一舐め
……一舐め?
「わ、わ、わ、私、烈人君に何て事を!」
「……?何言ってるの、如月ちゃん?」
私の唐突な行動に、何一つ疑問を持っている風じゃない烈人君 私はまだ夢を見てるんでしょうか?
烈人君の後ろにあった窓を見ると、そこには……
「え……ふぇぇぇぇぇえええええぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっ!」
私の頭に、なんと耳が生えていたのです!
ピュアでほのぼの、そしていちゃラブシリーズ GA 芸術科アートデザインクラス 烈人×如月編
「な……な……なん……なぁ……」
「……? 変な如月ちゃん」
完全にうろたえる私に、おかしそうに笑う烈人君 そんな表情も素敵だと思ったのは秘密ですよ? えぇ、秘密です
「目が覚めたか、如月殿」
「あ、みなさん!ご心配をおかけしました」
「うむ 大事が無くて安心した」
いつの間にかいたのか、キョージュさん達が心配そうに私の顔を覗き込んでました
「えと、それで……」
「うむ 如月殿の頭に耳が生えてることだな? 野田殿と友兼殿にハメられてこの本の催眠術を試すことになってな ちなみにそれはただの玩具だ」
「あぁ、キョージュ!ばらしちゃ駄目だってー!」
「あ……本当だ……」
つまりは私が気絶してるときにキョージュさんが野田ちゃんや友兼さんに頼まれて、私が犬か猫のような行動をするような暗示をかけるように頼まれたのでしょう
「赤野が特に何も言わなかったのは、如月にボールが当たった動揺もあったんだけど、如月が起きて安心したんだろう」
「お願い、言わないで……」
奈美子さんが補足説明をしてくれますが、その表情は烈人君をからかってる物です みなさんちょっと意地悪です
口々にからかうような言葉を残して、キョージュさん達は保健室を出て行きました
「如月ちゃん……」
「あ、はい!」
気がつけば保健室には烈人君と二人きり 恥ずかしいけど嬉しい気持ちの方が強いです
「大丈夫だった?とりあえず保険の先生は念の為に病院に行った方がいいって言ってたけど」
「あ……はい、問題は無いと思います」
「そっか……じゃあそれ、また付けてくれる?」
「それって……」
烈人君が「それ」と言う物は……ケモノ耳がついたアクセサリーの事でしょう
「いや、それ付けてる如月ちゃんが凄く可愛くて……出来ればもう一度見たいんだ」
「か、可愛い……ですか?」
「あ、ああ!凄く可愛かった!」
「じゃ、じゃあ……もう一度付けてみますね」
男の人はこう言うのが好きだって野田ちゃんが言ってましたけど、烈人君もそうなんでしょうか……?
ともかく耳を付けてみて、改めて窓を見ると、ちょっと不思議な気分です 落ち着いてみると、ちゃんと人間としての耳が見えるので、さっきは凄く動揺したんでしょう
「どうですか……」
「うん……凄く可愛いよ」
「良かった……♪」
嬉しそうな烈人君を見てると、もっともっと喜んで欲しい……そう思った私は、自分の気持ちをこめて烈人君のほっぺを一舐めしました
その時の烈人君の嬉しさと恥ずかしさの同居した顔は、つい可愛いと思ってしまいました
終わり
ちょっとしたおまけ
あーさん「全く魚住は……体育頑張るのはえーけど、怪我したら本末転倒やろ!」
魚住「すまん……」
あーさん「にしてもぶちさんはヒドいわー うちに魚住運ぶの押しつけおって……」
魚住「それはあいつなりに気を使ったんだろう」
あーさん「そ、それはそうやけど……あー!二月ちゃんやないのー!その耳どったのー?ごっつ可愛いやんけー!」
如月「え、えっと……ありがとうございます……(真っ赤)」
あーさん「二月ちゃん、耳触ってええ?耳触ってええか?」
如月「は、はい……」
魚住「それより俺の怪我を何とかしてくれんか?」
あーさん「あ、ごめん!忘れてた!」
魚住「俺……お前の彼氏だったよな……?」
おまけも終わり
あとがき
前回のなずなに続き、ゆきさんのオリジナルキャラが出たピュアラブものですが……今回はややラブ分が控えめな感じですね
にしてもおまけのあーさんの口調はやや関西系になりすぎてしまいましたが、まぁ良いでしょう メインは烈人と如月だし