(((((((だあぁぁぁぁぁぁ!!!!もぉぉぉぉぉおぉぉっぉぉおおおぅぅぅぅぅうぅうううう!!!!)))))))
彼らの名は……春原陽平他ラグビー部員大勢
普段の春原とラグビー部員は不仲であるが……この時ばかりは、その不仲さが信じられないぐらいに同じ気持ちを共有していた
それは、彼らが一つの部屋を覗き見していたからです……覗き見するのは良くて三人か四人ぐらいしか出来ないよ?と言うツッコミは無しの方向で(笑)
ちなみに彼らの視線の先には……
「く〜〜〜〜〜〜」
テーブルに突っ伏して、普段の勇ましい姿から信じられないぐらいに可愛らしい寝顔を見せる相楽美佐枝と……
これまた普段のバカさ加減からは信じられないぐらいの優しい表情で美佐枝を見守る岡崎朋也の姿だった
(ちょ、お前ら! とっとと岡崎けしかけてくださいよ!)
(無茶言うな、春原!俺達に何しろってんだよ!)
(そうだそうだ!)
部屋の中にいる二人に聞こえないようにはしている物の、春原とラグビー部員は激しい応酬を繰り返す
(お前ら、少しは静かにする、と言う事が出来ないのか? 二人に気付かれるぞ)
((((((((お、お前は坂上智代!)))))))
美佐枝に用があったのか、いつの間に来ていた生徒会長坂上智代がおり、二人の様子を眺めつつ、言い合いをしている春原達を窘めていた
(それにしても、朋也は……こんな時、キスの一つでもするのが男と言う物だと思うが……)
自分の制服のブレザーを美佐枝に着せて、ただそれだけの朋也に、智代はやや業を煮やしたような表情と呟きをしてしまいます
そんな時でした
「ん……岡崎ぃ……」
(((((((!!!!!!!)))))))
結構な距離がある筈なのに、美佐枝の寝言が聞こえて来て、春原や智代達の心臓が止まりそうな錯覚に陥っていた……
恋人達を見守る10題 その10 本人達が幸せならいいんだけどね
(全く朋也は……寝言で自分の名前を呼ばれたからって、あんなに嬉しそうな顔をして……)
止まりそうな心臓をなんとか抑えて、朋也の顔を見ると、智代は心から幸せそうな表情を感じてしまいます
そんな中、朋也は美佐枝の髪を撫で始めました
(朋也!良くやった!今夜は赤飯だぁっ!)
甲子園に優勝した投手の父親みたいな事を言っている……智代はそう思いましたが(小声とは言え)そう叫ばずにはいられませんでした
春原達も似たり寄ったりな事を考えてるのか(やはり小声とは言え)喚声を上げています
「ん〜〜〜」
「あ、美佐枝さん、起きた?」
「ん……岡崎……?」
目が覚めたのか、美佐枝は顔を上げて朋也の方を向ける
その動きも、先ほどまで眠っていたのか、普段のキレが無い
「岡崎ぃ……膝枕……」
「はいはい」
どうも脳の方は完璧に覚醒してないようで……美佐枝は普段の態度からは見られないような態度を見せる
朋也もそれが分かっていたのか、美佐枝をお姫様抱っこをしてソファーまで連れて行き、そのまま美佐枝のリクエスト通り、膝枕をします
朋也が何時までも美佐枝に何もしない行動に見ていた方は……
(うう……お、おかざきのあほー!)
(おかざきのばかー!)
(おかざきのへたれー!)
(おかざきのかいしょーなしー!)
(………やれやれ)
口汚く朋也を罵る春原&ラグビー部員の態度に、智代は呆れたような溜息をつく……
そして、智代は 改めて朋也と美佐枝の方を見る
(二人とも、幸せそうだな)
二人の表情から、少なくともマイナスの感情は見て取れない
それが二人の恋愛のペースなのだろう……智代はそう受け止めることにした
(美佐枝さんと色々話そうと思ったが、次の機会にするか)
美佐枝さんは幸せそうだし、それでいっか……智代はそう思う事にして、静かにその場を立ち去ろうとした
……しかし、その直後、智代が元々いた場所から、大きな音が聞こえ……
その音に吃驚して、その方向を向くと……春原達が部屋の中になだれ込んでいるのが見えた
春原達の声が部屋の方から聞こえるが、恐らくは朋也と美佐枝に言い訳にしているのだろう
「あんた達!そこに座りなさい!」
美佐枝の声に、春原達は部屋から出て来て……恐らく説教が怖くて、逃げるのだろう……
「まったくあいつらは……!」
自分の方向に来た春原達を確認した智代は……彼らを蹴り上げる用意をするのだった
終わり
あとがき
なんというか……もうちょっと表現の仕方があっても良かったんじゃあ……書きながらそう思ってしまいました(笑)
と言う事で、朋也×美佐枝ですが……ホント、コレで良かったのか?と自問自答しています 主人公もやや智代してんだし
まぁリベンジはピュアラブの朋也×美佐枝でするのがベタか ネタが落ちてくるとも限りませんが……