「あら……? ふふっ♪」
何時もより遅れてだけど、何時もの様に生徒会室に入ってみると、幸せそうに眠るカップルが一組
片方は私の大事な弟分の河野貴明、もう片方は私の一番大事な大親友久寿川ささら……
ささらがタカ坊に膝枕をして貰いながら眠ってるけど……その様子を見て、ささらの方も眠くなってつい、と言った所だろう……
「それにしても、まぁ……アレね……」
なんというか、どっちも子供っぽい寝顔と言うべきかしら?
タカ坊の方は、母親に甘える子供、と言うべきなんだけど……これはささらにも同じ事が言えるのかもしれないわね
「姉貴〜 飲みモン買うついでにチビ助も捕まえてきたぞ〜」
「う〜……今日はちゃるやよっちと約束有ったのに〜……」
そんな幸せそうな二人の時間は、私以外の乱入者によって破られてしまう
無論私の弟の雄二と妹分のこのみが入って来て、二人が起きた訳じゃない……
雄二とこのみは、タカ坊とささらの姿を見て、凄く意地の悪い表情に変化した
……でも……でも、多分……きっと私も似たような表情になっている……のかもしれないわね……
恋人達を見守る10題 その4 幸せは伝染(うつ)るって本当なのね
「まずは携帯写真でラブラブカップルのラブっぷりを激写〜♪ ちゃるとよっちに送ってあげよ〜♪」
親友との約束を破ったことに対して思いっきり不満と未練が表情に出ていたこのみは、一瞬の動作で携帯を取り出し、それを激写する
(お、おい、姉貴!アレ、止めなくて良いのか!?)
(あら、このみに冷やかされるささらとタカ坊……結構面白そうじゃ無い?)
珍しく殊勝な事を言いだす雄二の小声に、私はちょっと意地の悪い返事を返す
そんな騒がしい状況だって言うのに、二人の仲良しカップルは未だに夢の中 きっと素敵な夢でも見てるんでしょうね
「全く幸せそうな寝顔をしちゃって、まぁ……♪」
仲の良い二人を見てると、とても優しく、そして幸せな気分になる
その気分は、まるで幸せな二人の気持ちが感染するの如く
だけど、それと同時に、二人を冷やかして見たい、と言う気持ちがわきあがってくるのも、また事実
「あ、姉貴……その指をワキワキしながら二人に近づくの……止めないか?」
私の態度に、雄二は完全に引き腰となっている このみも私の態度に気付いたのか、雄二の背中に隠れてビクビク震えている
だけど、そんな二人の姿に気付いていても、止める事が出来ない
だって、幸せそうな二人にちょっとした意地悪をするの、楽しそうじゃない?
……だけど、そんな私の行動は……
「ま〜りゃんキ〜〜ック!!!」
唐突に生徒会室の入口が派手に開けられ、そこから入って来たのは、私達の大先輩・まーりゃん先輩だった
……って、そんな派手に入ってきたら……
「「……あ……」」
まぁ、当然の事ながら、眠っていたバカップルの目が完全覚醒 その諸原因である先輩の方に向けられる
「ほっほぉ〜〜う……たかりゃんとさ〜りゃんは毎度毎度仲良しですなぁ〜♪」
「「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜/////////」」
ま〜りゃん先輩に言われて、二人が私達に完璧に見られた事を理解したのか、もう首の根っこまで真っ赤になる
でも、そんな初々しい態度も、なんだか優しい気分にさせられる
「ふふっ♪ お二人さん?」
「「は、はい……」」
私に話しかけられて、ビクッとしながら二人
私達に見られて、完璧に居心地が悪そうな態度も、結構面白い
「今度は、もうちょっと場所を選びなさいな?」
「「は、はい……」」
「でもたまには堂々とイチャついてる所を見せてほしいけど、ね?」
私の言葉に、二人は只首を上下に下げることしか出来ない
でも、そうして貰わないと……こんな意地悪だけど、優しい気持ちにならないもの……ね?
終わり
おまけ
「あ、そういえば姉貴、二人に変な事しようとしてたよな〜?」
「雄二……どうやら痛い目見なきゃ分からないようね……某クロスSSみたいに筋力増強魔法は使えないけど……」
「あだだだだだだだだだだだだ!!!割れる割れる割れる割れる!!!!」
「地獄を見せる事は出来るのよ!?」
「だから割れるって〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
「雄二……状況を考えようぜ……」
おまけも終わり
あとがき
作者、ニヤニヤしながら書いてました こんな感じとなりましたが、どうでしょうか?
正直本編よりもおまけの方が好きだ、と思ってしまいました