「うにゅ〜〜〜…… おにーさーん……」

 お姉さん譲りの綺麗な金色の髪が特徴の、凄く可愛らしい女の子が、お兄さんの様に慕う恋人に頭を優しく撫でられて、幸せそうな笑顔を見せる
 それはまるで可愛らしい花が咲くような笑顔で、とても微笑ましい印象を受ける
 なのは良いんだけど……

「ねぇ、カレハ……何でボクたちは、こうコソコソ隠れて稟ちゃんとツボミちゃんの様子を見てるのかな?」
「だって、ツボミちゃんが幸せそうなんですもの これは是非見守ってあげなくてはいけませんわ♪」

 そのツボミちゃんのお姉さんでもあるカレハは、妹以上に嬉しそうな表情で、二人を見守っている
 ……ボクと一緒に草むらに隠れて、だけどね

「ツボミちゃん、お願いがあるんだけど、いいかい?」
「? なんですか?」

 稟ちゃんの言葉に、不思議そうに首を傾げるツボミちゃんだけど、耳元で囁いた稟ちゃんの一言で、一瞬でその顔全てを真っ赤に染めてしまう
 その様はまるで、白いバラが一瞬で赤いバラに変わるかの如く……

「亜沙ちゃん、それはちょっとロマンチックすぎると思いますわよ?」
「そ、そんな事はどーでもいーのっ! ほら、稟ちゃんとツボミちゃんの様子が大事でしょ!」

 にこやかな笑顔でボクにツッコミを入れるカレハの視線を、稟ちゃん達の方向に向ける
 ……そう言えば、ボクの思ってた事、何でカレハに伝わったんだろ? まぁ、どーでもいいか カレハだし


    恋人達を見守る10題 その2 花が飛んでいるように見えるんだけど


 ともかく、今大事なのは、カレハじゃなくて、目の前のドバカップル、だよね
 あんまり人に頼らない稟ちゃんが、一体ツボミちゃんに何をお願いしたのやら……
 お願いされた方のツボミちゃんは、緊張をほぐすように、深呼吸を何度か やっぱり凄く恥ずかしい事をお願いされたのかな? 稟ちゃん、たまに妙な方向でドSだし
 そして、意を決したかの様な顔になると、稟ちゃんの顔に近づいていって―――――!

「わっ……!」
「まぁ♪」

 何と、ツボミちゃんは稟ちゃんのほっぺに――――!

「カッ!カッ!カッ―――――!」
「まぁ、亜沙ちゃんったら! あんまり驚いちゃ駄目ですよ?」
「だ、だってぇ……」

 目の前の状況を見たボクの態度に対して、カレハは何時も通り……いや、いつもよりも凄く嬉しそうな表情になっている
 やっぱり妹が大好きな人の為に頑張ってる姿は、姉として嬉しいんだろうなー……
 それに対して、稟ちゃんは―――なんとも微妙な表情 やっぱりほっぺよりも唇にして欲しかったのかな?
 でも、優しい表情でツボミちゃんの頭を優しく撫でてあげる
 ツボミちゃんは、さっきのキスが恥ずかしかったのか、真っ赤になった顔を両手で隠している その、普段の活発さからは信じられないしおらしさは、多分男にとってはたまらない物があるんだろうなー
 そして稟ちゃんは、またツボミちゃんの耳に何かをささやいてる その一言で、またツボミちゃんが真っ赤になったけど、顔を隠していた手をそっと避けて行った
 それを待っていたかの様に、稟ちゃんはツボミちゃんの腕を取って抱き寄せて、空いた手をツボミちゃんの顎に添えて―――――!

「まぁ♪」
「―――――――っ! っ! ――――――ッ!」

 さっきよりも嬉しそうな声を上げるカレハに対して、ボクはなんとも形容しがたい叫び声を上げた
 だって! だって、コレはしょうがないよ! まさか稟ちゃんがツボミちゃんの大事な唇を奪うに飽き足らず――――!
 ツボミちゃんは突然の事に目を白黒させてたけど、徐々に目をトロンとさせて、稟ちゃんの行為を受け入れていく

「まぁ、ツボミちゃんったら♪ 強引な稟さんの行為を嫌がらずに応えてあげるなんて……まままぁ♪」

 唇を奪われてる女の子のお姉さんは、いろんな意味で暴走していました
 そんなボク達の状況に二人は気付かずに、長いようで短いキスの時間は終わりを告げた
 そして稟ちゃんは、またツボミちゃんの耳元で一言呟いているようだ
 その一言を聞いたツボミちゃんは――――― ボクが――――いや、カレハですら見たことのないような……花が舞い踊るような、と言う表現すら出来るような、最高の笑顔を、稟ちゃんの為に見せるのだった
 それを見たボクは……未だ妄想と言う名の深海に旅経ってるカレハの腕を引いて、そっとその場を離れるのだった

 終わり

 あとがき
 我ながら、なんとぶっ飛んだモンを書いてるんだ……楽しいから良いけど……(笑)
 ともかく、残り一つ……何時も通り、変にカオスなのを書きたいですね

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