夏休みが終わって暫く……彩井学園の生徒の大半が夏休みボケが終わり、文化祭、そして体育祭と言った二学期最大のイベントを楽しみに待っている感じの9月のある日……
「おい理樹、ちょっと良いか?」
二年ME科直枝理樹と二年KN科井ノ原真人及び宮沢謙吾の部屋に、三年TH科棗恭介が入ってきたのです
「どうしたの?」
「リトバスの第二試合だ 相手はなんと……あの内藤先輩だ!」
「な、なにぃぃぃぃぃぃいいいいいいいい! お、おい、恭介!大丈夫なのか!?」
「何だ真人……自信無いのか?」
真人の絶叫に、恭介はニヤリと口を歪める
しかし……
「いや、相手チーム、9人揃ってるのかよ?」
「僕もそう思う」
「そ、そっちかよ!?」
普段からリトルバスターズのツッコミ役として活躍している理樹はともかく、天然系なボケをかましやすい真人にまでツッコミを食らうと、恭介も多少ショックを受けてしまいます
「まぁ、そこの所は問題ない!内藤先輩が生徒会や風紀委員を中心に、大学部にも色々ノリのいい連中を集めてくれるらしいからな!」
「本気(マジ)かよ……」
「本気(マジ)だ」
恭介のセリフに、謙吾は呆れたような声を上げものの、恭介が言うと、考えを曲げる訳が無い……彼の性格を理解している理樹達三人は、諦めたように溜息を付くしかなかったのでした……
ひだまりメイドラプソディー!外伝 生徒会と野球勝負! プロローグ
「それで、紫苑さんにまりや……これはどーいう事ですか?」
目の前の状況に、風紀委員の仕事で書け廻っていた宮小路瑞穂は、隣にいる恋人・十条紫苑と幼馴染・神門まりやを睨みつけます
「やっだな〜、瑞穂ちゃんったら! 決まってるでしょ!野球よ、野球!」
「いや、それは知ってるけど……」
完璧に要領を得ないまりやの説明に、瑞穂は次に紫苑の方を睨みつけます
「棗さんと内藤先輩が計画した事ですわ」
「成程……」
「さぁ、お前ら!しまって行けよ〜!!」
よもや自分の名前を使われて、納得されてるとはつゆ知らず、恭介はリトルバスターズのメンバーを鼓舞しています
「僕としてはとりあえず、この試合を企画するのも、何時の間にか出場させられた事も、反対意見を出すつもりは無いけど……」
そう前置きをして、瑞穂はウォーミングアップをしている二人の人間に視線を向けます
「何で坂上さんと二木さんが、両方のチームに参加してるのかが、一番の疑問なんだけど……?」
「あぁ、それはこの話が来た時、真っ先にあの二人が参加を表明したからだよ」
いや〜……真面目に意外だったよ〜……そう言いたげな表情で、まりやが瑞穂の最大の疑問に答えます
「リトルバスターズ及び生徒会役員共、ウォーミングアップは終わりましたか?」
「……生徒会役員共って……」
「内藤先輩が付けた名前がそれですわ」
いつの間にかアンパイア姿で現れた、ソフトボール部のエースピッチャー・笹瀬川佐々美の一言に、瑞穂は思わず呟いてしまいます
「観客もそれなりに集まったので、両チーム、オーダー表を提出願います!」
「「応!」」
律太と恭介、二人から紙を受け取った佐々美は、それを確認すると、隣に来たソフトボール部員にその紙を手渡します
そして、その部員がチョークを持って、黒板の下に向い、それを確認しながら、それに文字を描き始めます
打順 | リトルバスターズ | 学年 | ポジション | 打順 | 生徒会役員共 | 学年 | ポジション |
1 | 二木佳奈多 | 高等部KN科二年 | サード | 1 | 坂上智代 | 高等部KN科二年 | サード |
2 | 来ヶ谷唯湖 | 高等部TH科二年 | レフト | 2 | 神谷雪花 | 大学部KN科二年 | セカンド |
3 |
棗鈴 | 高等部TH科二年 | ピッチャー | 3 | 南リリ | 大学部MG科二年 | キャッチャー |
4 | 直枝理樹 | 高等部ME科二年 | キャッチャー | 4 | 内藤律太 | 大学部KN科二年 | ピッチャー |
5 | 井ノ原真人 | 高等部KN科二年 | センター | 5 | 上野彩雲 | 大学部TH科二年 | センター |
6 | 宮沢謙吾 | 高等部KN科二年 | ファースト | 6 | 宮小路瑞穂 | 高等部KN科三年 | ファースト |
7 | 三枝葉留佳 | 高等部TH科二年 | ショート | 7 | 瑠璃・マツリ | 高等部KN科三年 | ショート |
8 | 神北小毬 | 高等部ME科二年 | セカンド | 8 | 久寿川ささら | 高等部ME科三年 | ライト |
9 | クドリャフカ・能美 | 高等部ME科二年 | ライト | 9 | 十条紫苑 | 高等部MG科三年 | レフト |
「なんと言うか……錚々たる面々ですねぇ……」
「う、うん……」
「確かにそーだよなー」
「うんうん」
その黒板に書かれたメンバーを見て、恐れ慄くなずなと如月達ですが……後ろから聞こえた声に、驚いてそちらをむくと……
真剣な表情ながらも、これから面白い事が起きると言う期待に満ちた笑顔で溢れる透夜と稟の二人が直立不動で立っていました
「まぁ、問題を一つ挙げるとしたら……だ」
「問題、ですか?」
「そう、問題」
その表情を崩さずに、透夜はその視線を生徒会の役員たち……特にささらと紫苑の方に向けます
「上野先輩もそうだけど、生徒会の会長さんと紫苑先輩がちゃんと野球なんか出来るのかよ?」
「まぁ、気持ちはわかるけど、あんまり深く考えない方が良いと思うぞ? ……草野球だし っと、始まるみたいだ!」
微妙にどうでも良いようで、どうでもよくないような……そんな会話をしていると、野球をやる皆がマウンドを挟んで整列をしたのを確認します
「生徒会役員先行で試合を開始します!」
『よろしくおねがいします!!』
「……あれ?」
「どうか、したんですか?」
「いや、鈴じゃなくて二木がピッチャーやってる」
「あ、ホントだ」
お互いに礼をして、守備を担当するリトルバスターズではあった物の……透夜が唯一違う部分を目ざとく見つけます
そう……黒板に書かれたスタメンには、リトルバスターズサイドのピッチャーは、棗鈴となっていた筈だったからです
「成程、風紀委員の二木がリトルバスターズについたのは、そう言う訳かい」
「? もしかして、坂上と勝負をしたいとか?」
「……多分ね」
呆れた様な感心した様な……透夜と稟のそんな言葉に、なずなは佳奈多と智代の表情を見ます
その二人は、これから始まる親友との勝負に気合を入れるかの様に、軽く体を動かしています
「試合、開始しますわ!」
(んじゃ、まずは……直球ド真ん中……二木さんの全力、坂上さんに見せるんだ!)
(当然ッ!!)
そして、佐々美の試合開始のコールと同時に……
目の前にいるキャッチャー、理樹の堂々と前にしたキャッチャーミットを前に、佳奈多は腕を振り上げ……全力でその方向にボールを投げ込むのでした……!
次回に続く
あとがき
つーことで、唐突に始まった外伝その二のプロローグ……何と、生徒会&風紀委員とリトルバスターズの野球勝負です
オーダーに関しては、超適当だったりします だってゲームのリトバスやった事ねぇんだもん!(ぉぃ
普通のバトルSSだってマトモに描写出来ない人間ではありますが、出来れば最後まで書ききりたい、と思います