「直枝と二木にしてやられたな、マツリよ」
「は……?」

 累進先であった2塁から戻り、守備に行こうとするマツリに、律太が苦笑を浮かべながら、そう声を掛けます
 一方、声を掛けられた方は、一瞬訳が分からない、と言わんばかりでしたが、直後にその意味を理解します

「坂上のバットの振りから見て、直江の指示は内角低めだったんだろう……」
「はい、ですが……」
「そうだ だが、実際二木が投げたコースは……」
「ええ、外角高め……見逃してたらギリギリボールのコースでした……」

 そう……先程智代が降った所とは別の所にボールが来ており……
 しかし言うまでもなく、理樹の指示と別のコースを投げて、理樹がボールを取れるわけではなく……
 別のコースに来たボールを、理樹が難なく取れたという事は、前もって理樹と佳奈多が打ち合わせをしていたといっても過言ではないのです

「だからこそ、次こそ尚更追加点を取らなきゃダメだな」
「そうね ……その前に、守備をしっかりやるわよ!」

 律太達もそれを理解し、次の攻撃に思いを馳せますが、リリが律太とマツリの肩を叩き、守備に就かせるのでした


  ひだまりメイドラプソディー!外伝 生徒会と野球勝負! 第十五話 勝負!(後編)


 □5回裏 1番サード 二木佳奈多 アウトカウント1

「やれやれまったく…… 流石は内藤先輩、と言った所ね」
「全くだ…… クドリャフカ君相手位は手を抜いてくれても構わないだろうに……」

 そんなこんなで、5回裏…… 正に捨てられた子犬の如く、理樹達の元に行くクドに、佳奈多と来ヶ谷は改めて律太が本気なのを実感します

「ともかく、私の相手は智代ですから、打ったら次、お願いするわ」
「もちろんだ、佳奈多君 期待してるぞ」

 そしてその律太が、ボールを智代に渡す姿を眺めた後に、佳奈多は来ヶ谷と頷きあってバッターボックスに向かいます

「坂上さん、大丈夫?」
「無論です、先輩 さっきの借りはここでしっかり返さなきゃいけませんからね」

 そんな佳奈多の姿を見ながら、リリは智代に先程のアウトを引きずっているかの確認を問いかけます

「どーも、さっきの完全敗北はそれほど引きずってる訳じゃあ無い、のかな?」
「……見た感じはそんな感じだな」

 その智代の姿に、透夜は先程の負けに対して酷いマイナスのイメージを持ってないのを確認し、稟や佳澄美達も頷いてそれに同意を示します

「じゃあ、二木先輩が有利、って訳じゃあ無いんですか?」
「まぁ、そうだわな…… そもそも二木はその場の状況で気持ちを上下させるのは、苦手な部分はあるし、な……」

 その目の前の状況に、なずなは透夜に問いかけますが、当の透夜は難しい顔で顎に手を当てます

「むしろ気持ちの問題は坂上の方だろ…… 見た目通りの状態なら、互角とみて間違いないだろうが」

 そしてどう続けるか、と言わんばかりの表情の直後、一発でフライを打ったという事がわかる、軽快な音が響き渡ります

「ラ、ライトフライっ!」
「く、久寿川先輩っ!」

 直後のリリと智代の言葉にはじかれるかに走りだすささらでしたが……

「ささらさん、任せてっ!」

 そんなささらと、一緒に走り出していた瑞穂が、それを制しながら飛び上がり……

「と、取った! 確認お願い!」
「はい、アウトです!」

 直後に手にしたものを証明するように、瑞穂はそれを佐々美の方向に向けるように堂々と手を伸ばしました

「どうやら、智代君のさっきの空振りの精神的ダメージはほとんどなかったようだな」
「ええ…… 来ヶ谷さん、申し訳ないけど……」
「うむ、微力ながら全力を尽くさせてもらう」

 そしてそんな智代のピッチングに感心するような溜息をつきながら戻る佳奈多に、来ヶ谷は鷹揚に頷くのでした……

 次回に続く

 あとがき
 という訳で、今回も智代VS佳奈多の一本のみとなってしまいました ちなみに言っておきますが、出番が無いからと言って、私はクドが嫌いという訳じゃないですよ?(ぁ
 原作と比較して、小毬は結構高いレベルになってるのに、クドは(恐らく)酷く変わってないですからねぇ…… でも、嫌いという訳じゃあないですよ?(ぁ
 まぁ、そんな理由で、前回のタイトルを微妙に変更だったり 流石にグダグダだったかな?とは思いますが(ぁ
 とりあえず、次回から後半戦、となる予定です ……まぁ、来週更新するかどーかは別として、ですが

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