□5回表 1番サード 坂上智代 ランナー1塁(マツリ) 2塁(瑞穂) アウトカウント2 得点 生徒会1点
 □ポジション一時変更 サード 佳奈多→葉留佳 ショート 葉留佳→鈴 ピッチャー 鈴→佳奈多

「……直枝め…… 何を考えてる……?」
「いえ、これは多分、佳奈多が提案したことかと思います」

 二つ三つ話合い、自分のポジションに戻った理樹を見ながら、律太は訝しげな表情になりますが、智代はむしろ佳奈多の表情を眺め、その表情の意味を探ろうとします

「ともかく、ここで追加点を取っておきたい ……頼むぞ」
「わかってます」

 しかし、智代はそれをしても無駄と判断し、律太に頷いて、そのままバッターボックスに向かいます

「プレイ!」

 そして、佐々美の言葉と同時に、智代はバットに力を入れますが……

「葉留佳!」
「了解デスよ!」

 その相手である佳奈多は、まず最初にサードに、そして次にファーストにボールを投げ……

「ボール!」
「なんで……?」

 そして第三球…… それは最初からストライクゾーンを大きく外しているのが理解できる、やや力の抜けた大暴投となりました

「ふん…… なーるほどな……」

 第四球こそストライクにしたものの、次の第五球をボールとなったその瞬間、律太をはじめとした、その場にいる一部の人間が、その佳奈多の行動を理解するのでした……


  ひだまりメイドラプソディー!外伝 生徒会と野球勝負! 第十五話 勝負!(前半)


「え? じゃあ、あれは鈴を休ませるため?」
「……多分、な」

 佳奈多のやり口を理解したような、やや苦い表情をする智代を見ながら、透夜は観客にリトルバスターズの戦術を説明します

「二木としては、坂上と勝負したいところなんだろうけど、あいつは敢えてチームの勝利を選んだ、って事だろう」

 そして、透夜は感心すると同時に、佳奈多に対する尊敬の表情を向けてしまいます
 しかし、その透夜の表情とは裏腹に、佳奈多はさらにストライク、ボールを一球づつ入れ、そのカウントを全てとします

「これで、フルカウント……」
「流石にここで坂上を送る訳にはいかないからな…… 二木としては、ここで坂上を落とすしかないだろう……」
「だけど風見先輩、ストライクゾーンは……!」
「うん」

 その状況に、なずなや如月達は緊張から冷や汗をかき始めますが、透夜は佳奈多がどう智代を倒すのか、興味深い表情を禁じえることができません
 そんな観客の思惑とは別に、智代はバットに力を入れ、佳奈多は両腕を振り上げます

(コースは内角やや低め…… これを打たなきゃ、私の負けだな……!)
(この一球で智代を倒す…… ここで……決めるっ!)

 そして、佳奈多の手から、ボールが投げられ…… 智代のバットは、そのボールめがけて振られました……!
 その直後……

「アウト! チェンジ!」
「な……!」

 バットが全力で外れる音、そしてミットから激しい音が鳴り響くと同時に、理樹がその中にボールの収まったミットを堂々と持ち上げ……
 この回における、智代と佳奈多の勝負の勝者が誰なのか…… それを態度で示すのでした……

 次回に続く

 あとがき
 という訳で、今回は智代と佳奈多の勝負一本となりました
 今回の勝負の細かい結果は、次回に上げさせてもらいますね
 まぁ、実際の試合じゃ、音が観客の元まで行くとは思いませんが…… 細かいツッコミだけはしないでくださいね(ぁ

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