「小毬先輩……リリ先輩……」

 4回裏終了後、小毬が律太の投げたボールを打ち返そうとしたものの……
 結果として、アウトになったものの、その過程で小毬の使ってたバットが折れ、その破片の一部がリリの顔に降りかかります

「……まぁ、心配する必要はない、とは思う」
「……え?」

 そして、打とうとして、腕を痛めた様子の小毬共々心配そうにするなずなや如月たちですが、透夜は楽観的な意見を口にします

「そりゃあ下手に打ち返したなら、神北の骨がイカれたかもしれんが、遠目に見た感じ、バットは綺麗に折れたみたいだし」
「そう、なんですか?」
「ああ、恐らく神北は腕がちょいと痺れてるだけだと思う」

 律太や佐々美に囲まれ、ちょっとした様子見や治療を受ける二人でしたが……
 暫しして、律太が透夜達に向かって、手を振ります

「どーも、リリ先輩の方も特に問題は無さそうだな」
「よかった……」

 その雰囲気から、二人共に問題が無く、観客は皆一様にほっと胸をなでおろすのでした……


  ひだまりメイドラプソディー!外伝 生徒会と野球勝負! 第十四話 中盤戦!


 □五回表 六番ファースト 宮小路瑞穂 得点 生徒会 1点

「どっちにしろ、生徒会から見ても、これからが厳しいぜ……?」
「え?」

 瑞穂がバッターボックスに入るのを確認しつつ、呟いた透夜の一言に、なずなと如月はその方向に視線を向けます

「つまりは、だ……さっきの神北の攻撃を見ればわかると思うが、何時得点を取られるかわかんない、という事だ」
「それに、鈴のピッチングもよくなってってるしね…… ここで最低でももう1点……できれば3点は欲しいかな?」

 そしてその視線に気づいた透夜と稟は、律太達の状況がそんなに甘いものでないことを説明します

「さらに……」
「ストライク!」

 さらに透夜が説明を続けようとした直後、かなり早いスピードを出した、と言う雰囲気を感じさせるミットとボールの擦れた音が成り……
 それを見ていなかったなずな達も、鈴の第一球が必殺・ニャットボールを投げた事を理解してしまいます

「そして鈴の第二球……よく見ておけ……?」
「は、はい!」

 そして、鈴の第二球を投げ様としたその直後、なずな達の目には、瑞穂がすぐさまバットを振るその姿が映し出されました
 いうまでもなく、それがストライクになり…… しかし、次の第三球、瑞穂はゴロながら打つことに成功するのでした

 □七番ショート 瑠璃・マツリ ランナー1塁(瑞穂)

「マツリ、頼むぜ!」
「はい!」
「流石は内藤先輩、見た感じは追いかけられてるプレッシャーは感じてないな」

 そして瑞穂の次にバッターボックスに向かうマツリに、あくまでも普段通りに声を上げる律太に、透夜は律太の肝の強さを感じます
 その律太の姿に、なずなも彼よりも自身の方が緊張し、いろいろなプレッシャーを感じてしまいます

(宮小路さんのさっきの打席…… ニャットとスローボールを織り交ぜてたみたいだけど……?)
(とりあえず、低め…… 打たせても内野止まりにするよ!)

 そしてバットを構えつつ、マツリは先程の鈴のピッチンクを思い返し、そのマツリを見ながら、理樹は鈴に指とミットで支持をだします

「ストラ……いえ、ギリギリ低めのボールです!」
「やはり…… 理樹の策、どーも理樹たちにとってリスクのある物だな」

 そして初球……マツリはバットを振らずに様子を見たものの、直後の佐々美の言葉に、透夜は納得したような表情になってしまいます

「えっと…… あっ!」
「多分、その通りだ ……さっきの謙吾の言葉、理樹たちのストライクゾーンにも影響を受けている」

 その表情に、なずな達はどういう意味か理解できませんでしたが、すぐにそれを理解します

(やっぱりギリギリはダメか…… 鈴、もうちょっと高めね)
(次は来る…… バット、やや低めに振るイメージで……!)

 理樹自身もそれを理解し、その理樹の表情からマツリはバットに力を入れなおします
 そして鈴が二球目を投げ……

「こまりちゃんっ!」
「謙吾っ! クドっ! フォロー入って!」

 直後の軽快な音に、理樹は立ち上がって、鈴と共に指示を出しますが、小毬がボールをとったその時には、マツリがセカンドに入っていました

「こりゃあ、前回同様凄いことになってきたな……」
「そうですね……」

 その状況に、なずなや如月だけでなく、透夜の手にもつい汗が滲み出してきます

「多分、久寿川先輩、及び紫苑先輩はアウトになるんだろうけど……」
「じゃあ、勝負は次の坂上先輩……?」
「恐らく、はな」

 そして、その透夜の言葉に、なずなと如月も手に力を入れてしまいますが……

「……俺が偉そうな事を言える立場じゃあないが」
「……はい?」
「とりあえず、肩の力を抜け それだと息切れして倒れる」
「あっ…… は、はい!」

 透夜の言葉に、なずな達は一度息をついて、肩の力を抜くのでした……

 次回に続く

 あとがき
 新年おめでとうございます 最初のSSはHML外伝野球と相成りました
 次も多分野球でしょう 今結構こちらのネタがノリノリで出てるので(ぁ

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