□四回裏 七番ショート 三枝葉留佳 アウトカウント2 ランナー2塁(理樹) 得点 生徒会1点
「さぁ来い!よっしゃ来い!」
(葉留佳ちゃん、気合が入ってるわね…… とりあえずやや低めで様子見、ね)
(よっしゃ)
謙吾とお互いに拳をぶつけあい、葉留佳が腕を全力で振りながら進んでくる姿に、リリは様子を見つつ、ミットを下にさげて行きます
「今の状況下、先輩達にゃあちょいと厳しい、な……」
「そう、なんですか?」
その様子を見、なずなは透夜のボヤキにも似た独り言に聞き返してしまいます
「ああ…… さっきの謙吾のプレイで、ちょっと厳しいコースは全部ボールにされちまうから、な……」
「理樹はそこを見越して、この回の最初に謙吾に指示を出してた、って事か」
そして、その問いに対して、稟が透夜の言葉を引き継ぎます
「しかも二塁に理樹がいるし、テクニカルな三枝、前回敬遠をした神北とバッターが続くしな……」
「そ、それって生徒会がすごくピンチ、ってことですか!?」
「ま、それでも2アウトだ…… ここでしっかりアウトを取れば、神北は次の最初のバッター…… そーなりゃ、怖くも何ともない」
そんな二人の解説に、なずな達生徒会の応援団は、思わず律太の方を向きますが、その律太が投げたボールが葉留佳にゴロを撃たれたその瞬間でした!
「ショ、ショート!」
「こっちは無理!」
しかし、そのボールはマツリによって軽々と取れますが、それでも葉留佳がファーストに、理樹がサードについていたその瞬間でした……
ひだまりメイドラプソディー!外伝 生徒会と野球勝負! 第十三話 勝負所?
□八番セカンド 神北小毬 ランナー1塁(葉留佳) 3塁(理樹) アウトカウント2
「こりゃ、生徒会はかなりキツくはなっちゃった……かな?」
「ど、どーなるんですか!?」
生徒会の状況に、透夜が渋い顔をしていると、如月が慌てたような表情で、その透夜に問いかけてしまいます
「ま、普通はファースト側にバント……つまりスクイズプレイを狙う訳なんだが…… 2アウトである以上、神北自身も生き残る必要が出てくる訳だ」
「じゃあ、今はどっちが有利、とかそーいう訳じゃないんですか?」
「多分、な 神北敬遠して、次のクドを抑える、と言う手段もある訳だしな」
透夜の言葉通り、小毬は前回同様、バントの構えを見せ…… 理樹も徐々に、徐々にと本塁ににじり寄っていこうとします
「先輩は力で抑えるか、それとも逃げてクドを抑えるか…… 恐らくはどっちも正解、なんだと思う」
「律太さん……」
そして、律太が振りかぶるその瞬間を、真剣な、そして何処となく楽しそうな表情で試合を眺める透夜に、なずなは思わず息をのんでしまいます
「ファール!」
その第一玉…… 小毬が打った玉は、そのまま一塁へと続くその線の、外側……つまり、ファールになってしまいます
「えっと…… このままファールだと、なんか不毛な勝負になりそうな……」
「いや、2ストライクの後、バントのファールはアウト扱い、と言うルールだ ……つまり」
「……まさか!」
そして、直後の小毬の二回目のバントの構えに、如月が目の前のイメージを透夜に聞くと、如月にとって意外な一言が飛び出します
「まッ、どっちにとってもここが勝負所の一つ…… 見逃したら損だぜ?」
「ファール!」
その直後の透夜の真剣な表情に、なずな達も再び試合の方に向き直りますが……
小毬の二度目のバントの挑戦は、再びファールとなってしまいます
(また、来る……か)
(面白い…… 受けて立ってやるッ!)
そして律太の第三球…… 周りの予想通り、小毬は三度バントの構えをし……
律太はその挑戦を真っ向勝負で受けるかのように、そのまま両腕を真上に上げ、投球フォームに入ります
「さぁ、神北よ、どーする……?」
「律太さん…… 小毬先輩……」
理樹達も、生徒会役員達も、そして……観客たちも……
その場所の雰囲気に、皆一様に息をのみ、事の推移を見守ります……
「これで…… 決めるっ!」
そして律太がボールを投げ、理樹が走り始めようとしたその瞬間――
「小毬先輩っ!」
「まさか、前回と同じっ!」
なんと、小毬がバントの構えを解き…… キャッチャー……リリめがけて飛んでいくボールを打つ動作に入ります――
そして、そのボールに吸い寄せられるかのように、バットが流れて行って――
「――っ!!」
その直後、リリは目の前に、激しい音と共に飛んでくる無数の物体に思わず目を瞑りながら、ミットに力を入れます
「アウト! チェンジ!」
「――しゃあ!!」
その数秒後……リリが耳にしたのは、自分がちゃんとボールをとらえた、と言うはっきりとした実感でした――
次回に続く
あとがき
という訳で、コマリン大活躍でした ……でいいのかな?(ォィ
ともかく、原作と比べると、コマリンが凄いことになってますが…… こんなの俺の知ってるコマリンじゃあない、と言う批判は受け付けませんので、ご了承を(笑)