□四回表 二番 ショート神谷雪花

「……で、打っちゃて良いの?」
「……そりゃあ、打った方が良いんじゃないの?」

 攻守変更し、四回表の最初のバッターとなる雪花が、白く燃え尽きてる律太を見ながら、自信の後ろに立つリリに問いかけます

「そりゃあ、妹さんもいなくなってるし、あなたの活躍が見せれないのが、アレなんでしょうが」
「いや、そーゆーつもりで言った訳じゃあないんだけど……」
「バッターラップです!」

 そして、リリの冗談にどうコメントして良いのか、と言いたげになりますが、佐々美の言葉に結局バッターボックスに入ることになります

(流石に内藤先輩みたいにはいかない、か…… まぁ、こっちが普通なんだけど)

 そんな雪花を見上げながら、理樹はミットを真ん中に構えます

(初球はストライク、ね…… その華奢な外見と違って、我が道を行くタイプなのかしら?)

 そして、その初球の玉筋を外側から見て、リリは自分たちの状況を顧みて、それでもマイペースに物事を進める理樹のやり方に、感心と呆れ、両方の感情を持ってしまいます

(どっちにしろ、打たなきゃ勝てない、わね)

 そんなリリの思いとは裏腹に、雪花は鈴が投げた第二球を打ち返します
 しかし、それはあっさりとファーストゴロとなってしまったのでした……


  ひだまりメイドラプソディー!外伝 生徒会と野球勝負! 第十話 復活?


 □三番 キャッチャー 南リリ アウトカウント1

(流石にまだ無理、か……)

 上野と瑞穂の手によって、無理矢理ネクストバッターサークルに連れられて言った律太を横目に、リリはつい小さく溜息を付いてしまいます

(もしかして、今回は凡退で言った方が良いんじゃないかしら?)

  そして、そんな律太の姿に、ついしなくても良いネガティブな感情になってしまいます

 (まぁ、アウトになったら、それはそれで、と言うことで……)

 ……無論、そんな精神状態で打ったところで、良い結果が出てくる訳が無く……会えなくピッチャーフライとなってしまいました

 □四番 ピッチャー 内藤律太 アウトカウント2

「おい、理樹……アレはアウトにして良いのか?」
「……多分……」

 あまりに生気の無い律太のその姿に、鈴は思わず理樹にそう問いかけます

(と言うよりも、柴田先輩あたりに変わってもらえば良い、と思うんだけどなー……)

 そして、その鈴に同調しつつも、理樹も、心の中で同調するのですが……

「あ、間に有ったぁー!」

 そんな時でした…… 透夜達の後ろの方から、女の子の叫び声が響きわたりました
 理樹達が…… 否、その場にいた皆がその方向を向いて見ると…… 野田がなずなの手を引いて、無理矢理理樹達の方向に走ってきているのが、見えてきます

「あいつら…… まさか、あの格好は……ッ!」

 そして、その場にいた者全ての気持ちを代弁するかの様に、透夜が上ずったように声を上げます

「野田、お前なぁ…… なんっつー格好させてんだ……」
「えー、良いじゃないですかー ねぇ、このみちゃん?」
「そうだよねー」

  そして、野田の陰に隠れて恥ずかしがるなずなを見ながら、透夜は呆れた様な声で、彼女に声を掛けます

「つーか、それ、そんなに何処で手に入れた?」
「奏ちゃんとこですよ〜?」
「奏ちゃん…… って、演劇部かいっ!」
「てか、風見! それ! それっ!」

 そして彼女たちが着ている物の入手先を聞いているうちに、律太がそれに気付いたのか、なずなを指さしつつ透夜に尋ねます

「野田さん、それってもしかして…… チアガール、ってやつ?」
「そうですよ〜 かっわいいでしょー?」

 興奮を抑えられない、と言わんばかりの律太に相対して、普通に普段通りの理樹が尋ねますが、その疑問の通りの答えが返ってきます

「ほら、なずなちゃん! 恥ずかしがらずに出てこようよ!」
「で、でもぉ……」
(((かっ…… 可愛い……)))

 そんな中でも、野田の背中に隠れて恥ずかしがるなずなでしたが、その場にいる皆が皆、同じ印象を持ってしまいます

「よし……!」
「あ、やば……」

 そんななずなの姿に、律太の瞳に、炎が宿ります
 その律太に、生徒会側は安心を覚えますが、それに相対してリトルバスターズは多少なりとも危機感を覚えてしまいました

「おい、りき……これはどーしたら良いんだ?」
「……ぜんぜんわかんにゃい」

 そして、鈴は律太に対する対策を理樹に聞きますが……少々要領を得ない答えが返ってくるだけでした――

 次回に続く

 あとがき
 と言う訳で、律太さん復活編です 多少あっさりしすぎ感も否めないでしょうが……(ぁ
 ともかく、次回は律太さん大暴れ編となる予定です ……多分(笑)

 それはともかくとして、雪花って結構天然な部分があるんですよねぇ…… 妹・朝露が拾った変わった猫を「可愛い」と評したり、その彼女の忘れたノートを放課後に持ってきたり……
 出来れば、そんな彼女を表現したいですが…… ううむ、難しい……(笑)

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