「さて、坂上があっさり空振りに落とされて、三回裏か……」
「なずなちゃん、なずなちゃん!」
「……野田ちゃん? それにこのみちゃんに唯ちゃん?」

 智代があっさりアウトになり、攻守交替しようとしたその時でした
 いつの間にか来ていたのか、野田がこのみや唯と共に、何かしらの悪だくみをしている様な表情を、なずなの前で浮かべます

「敬愛すべき律太さんの応援に、最も効果的なブツがあるんだけど……如月ちゃんと一緒にどうだい?」
「……お前ら、友達を大事に想ってんなら、まずその怪しい笑顔を止めろ つーか、なずなの腕を取るの止めろ」

 問い掛けつつ、なずなと如月の腕を掴む野田に、透夜はどう対処していいのか分からない、と言う表情になります

「まぁ、良いじゃないですか、先輩! とりあえず、蘇芳先輩たち共々預かって行きますね〜♪」
「……おい、野田…… 当の本人達の了承を得ないで連れてくのは、誘拐罪になるぞ……?」
「透夜、それもう遅い」

 そして、言葉と共になずな達を誘拐し、透夜はそんな野田に注意をしますが、いつの間にか野田達はいなくなっていました

「まぁ、問題になるようじゃ、後で通報だな」
「そう言うことだ」
「さて、まずは二木だ…… 頼むぞ」
「はい!」

 そして、その透夜達の視線は、佳奈多を相手に気合を入れる智代の方に向かいます

「おい風見! なずなや応援団の女の子たちはどーした!」
「なずな達なら、さっき野田達に拉致されましたよ?」

 そしてその違和感の理由に気付いた律太は、その理由を透夜達に問いかけます
 その問いに対しての答えを聞いた瞬間……

「……………………………いなく…………なった?」
「え………っと………先輩?」
「そう、か……俺達の試合、つまらなかったのか……」
「い、いや、先輩? だから、風見はさっき……」

 その透夜の言った言葉が、律太の脳内で変な方向に曲解されたのか、律太の表情が一目にも二目にも落ち込んでるとしか思えない様な表情になってしまいます

「えーっと……坂上さん、内藤君は見ての通りだから、今回……三人まとめて相手、お願い出来るかしら?」
「……みたいですね……」

 そして、智代はそんな律太の誤解を解こうとしますが……リリの一言によって、なんとも微妙な気分にさせられてしまいました、とさ


  ひだまりメイドラプソディー!外伝 生徒会と野球勝負! 第九話 変化?


□三回裏 一番 サード二木佳奈多

「……なんと言うか……いいの?」
「しかたないよ さっきの透夜の言葉を良い方に取れば、戻ってくる可能性は高いみたいだし……」

 このまま続けちゃって良いの? ……律太の態度に、佳奈多はそう言いたげに理樹に問いかけますが、理樹が出した結論は、続行と言う物でした

(ともかく、なずなちゃんが何時戻ってくるか分かんないし……投球数を出来るだけ少なくして、坂上さんの疲れを出さないようにしなくちゃ、ね)
(外角高め、ですか…… 出来る限りファーストの方に持ってく訳ですね?)

 そして「まぁ、直枝の言うことも最もね」と、バッターボックスに付いた佳奈多の姿を確認しつつ、リリは佳奈多から外側高めにグローブを持って行きます

「ファール!」
「ふぅ…… 先輩があんな状況だからこそ、外角高め、と言うことですか」
「文句があるなら、内藤君の方にゴロを打つことね」

 そんなリリの指示に従った智代のボールをなんとか打ったものの、それはファールになってしまいます
 しかし、リリの言う通りに、サード……律太の方に狙おうとする物の……佳奈多のその努力は、ショートゴロで終わってしまいました

 □二番 レフト来ヶ谷唯湖 アウトカウント1

(来ヶ谷さん、か…… 厄介な相手だ)
(フライを打たせて、一発アウト…… 行ける?)

 そして、佳奈多の次の相手……来ヶ谷を見て、智代はその対処を考察しますが、リリの指示に頷き、すぐさまボールを投げます

「まぁ、これは当然だが……」

 そんな智代の態度に、来ヶ谷は不敵な笑みを僅かに浮かべ、そのボールを軽く打ち返します

「うわっ!」
「おっと!」

 しかし、その打ったボールは、今は二人に減少した観客……透夜と稟の方向に向かっていきます

(流石は来ヶ谷さんだ…… だがっ!)

 そんな来ヶ谷のバッティングに感心しつつ、智代は第二球を続けざまに投げ込みます!
 その第二球も、来ヶ谷は軽々と打ち返し…… なんと、そのボールは、二球目は無い、と油断していた透夜の頭に直撃してしまいます!

「済まない、透夜君…… わざとじゃあないんだ ……わざとじゃ」
「大事な事かもしれんが、二度言うと逆にわざとやってる様に聞こえるんだが……」

 その透夜に謝る来ヶ谷ですが、そんな彼女に、透夜は苦笑だけで済まします
 そんなこんなで第三球となった物の……それはやはりショートゴロとなってしまいました……

 □三番 ピッチャー棗鈴 アウトカウント2

「鈴、分かってるね?」
「ああ、外角高めで来るんだろ?」
「うん 一発目から打つ必要は無いけど、ホラ、サードが……」
「分かった 狙ってみる!」

 理樹の指示に、鈴は何時も通りのマイペースな態度を崩さずに、バッターボックスに向かいます

(……どうしたものかしら、ね……)

 そんな鈴に、リリはしばし考えを巡らせますが、すぐにミットをある場所に構えます
 その指示に、智代は頷き、そのまま構え――

「しまッ……!」

 その球のコースを決めつけていた鈴は、その場所に向かってバットを振ろうとする物の……
 唐突に別方向……内角高めに向かう球に、思わずバットを軌道修正させます
 そして、鈴はそのボールに当てることに成功させますが、それは真っ直ぐ上に昇って行き……

「アウト! チェンジですわ!」

 そのまま、リリのミットに収まって行きました――

 次回に続く

 あとがき
 と言う訳で、生徒会サイド、トラブル発生です(ぁ それでも、まだ試合は動かいんですが……
 野田達の企みが何なのか……それは、次回で〜

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