□4番 キャッチャー直枝理樹 ランナー二塁(来ヶ谷)

「さて、バッター理樹か……」
「なんていうか……ヒョロヒョロした感じの人ですね〜」
「の、乃莉ちゃん、失礼だよぅ……」

 しっかりと……堂々とした歩きでバッターボックスに向かう理樹を見て、乃莉は正直な意見を言います
 その正直すぎる意見に、なずなと如月は焦ってその口をふさごうとしますが、透夜達は苦笑を浮かべるだけで、それを止めようとはしません

「ま、良ーく見ておけ…… あんな成りの人間が、どんな結果を出すのか、をね……」

 しかも、その代わりに、透夜は不敵な笑みを浮かべ、そんな表情に乃莉は思わずその表情に気圧され、そして真剣な表情でバッターボックスに視線を戻します

(さて、ゴロを打たせるわよ……?)
(理樹君、低めだ……)
((ま、当然か……))

 そんな外野とは別に、キャッチャー、そしてランナーの女性二人の微妙な動きに、ピッチャー、バッターの男性二人は、納得した表情になってしまいます
 そして、律太がゆったりとした動きで投球動作に入り、第一球をリリめがけてほおりこみます

(……ッ! 速い……ッ! だけど……ッ!)
「ボール! ギリギリボールです!」

 対して理樹は、そのボールを打つためにバットを振ろうとしますが、そのコースをギリギリで見切り、理樹は途中でバットを押し戻します

「あら、良く見たわね……?」
「いえ、今のは只の様子見ですよ」
(……二人とも、余裕あんなぁ……)

 そして、直後に軽口をたたき合うリリと理樹に、透夜は心の中で溜息を付くのでした……


 ひだまりメイドラプソディー!外伝 生徒会と野球勝負! 第四話 リーダー!


(直枝の奴め……打てる自信「だけ」はあるみたいだな……)
(もう一回、低めよ……?)

 律太も律太で、リリの軽口に応える理樹に、呆れるやら感心するやら、微妙な表情をしますが、リリの動きに二球目をほおりこみます
 しかし、その投球の直後、軽快な音が響きわたりました――!

「ファール!」
「って、打ったのかよッ!」
「……風見先輩……直枝先輩の力を知ってたんじゃなかったんですか……?」

 その球はリリや佐々美の後ろに行ってしまいますが、透夜はその理樹の行動に、思わず叫んでしまいます
 そんな透夜の言葉に、乃莉はついついツッコミを入れてしまいます

「いやー……吃驚した…… あの理樹が二球目から打ちに行くとは……」
「あ、成程……打つタイミングの速さに吃驚したんですね……?」
「ああ、まーなー……」

 しかし、透夜の言葉に、なずな達は透夜が理樹に対するイメージは「慎重派」だと言う事を理解します

「しっかしまぁ……それでも正直に言わせてもらえば、結果こそファールだけど、今回は良く打った、と見るべきなんだろうな……」
「……風見先輩って、直枝先輩を評価してるのかしてないのか、良く分かりませんね……」
「リーダーとしてのあいつは、凄く評価してるさ ……棗先輩とは違うタイプの、リーダーとしてのあいつは、な」

 透夜の発言に、乃莉はどうコメントして良いのか、難しそうな表情をしつつ応え、その言葉に含む疑問に応えた透夜の一言に、なずな達は納得した様なしてない様な、微妙な表情になってしまいます

(さて、今ので直枝が本当に油断できない相手だと分かったし……生徒会のリーダーの意地にかけて、倒しに行かせて貰いますか……!)
(来る……! 本気だ……!)

 そんな観客の(やや)グダグダな状況とは裏腹に、律太は第三球の投球フォームに移行し……
 それに相対する理樹は、来ヶ谷から大体のコースを教わっており、その通りにバットを振り、向かってくる球に当てることに成功します

「ファーストッ! 宮小路ッ!」
「久寿川さん、フォローッ! 雪花はファーストッ!」

 しかし、その球は前に行った物の、その球はファーストをようやく越すぐらいの距離と勢いであり、瑞穂は落ちてきた球をやすやすと拾い上げ、丁度一塁に付いた雪花に投げますが……
 結局は理樹が一歩先に一塁に到着し、結局はセーフとなってしまいました

「……結果としちゃ、1ベースヒットだが……理樹としちゃ、満足の行く結果じゃあないよな……?」
「ああ、そうだな……」
「……? そうなんですか?」

 理樹の出した結果に、透夜と稟は頷きながら言いますが、なずな達はそんな二人の言葉に、どう言う事かと視線を向けます

「理樹としては、出来ればもうちょい飛ばして、久寿川先輩がまごついてる隙に来ヶ谷を生還させて一点取りたかっただろうさ そうすりゃ次の真人は、普通に打てばさらに一点だからな」

 そんな一年達の視線に、透夜は三塁ベースにいる来ヶ谷に視線を向かわせつつ答えます

「ま、リーダー対決の結果は次の真人の出来次第……かな?」

 そして、その視線を、バッターボックスに向かう真人に向け、透夜は楽しそうに笑うのでした……

 次回に続く

 あとがき
 と言う訳で、律太対理樹、両方のリーダー対決と相成りました ……と言うより、「それだけ」になってしまいましたが……(笑)
 ともかく、次で二回に突入とさせて貰いますね ……本編の方も、しっかり更新したいですが、ね

inserted by FC2 system