□一回裏 1アウト 二番レフト 来ヶ谷唯湖

「二番、来ヶ谷さん……ですか」
「中々に頭の切れる奴だからな……さっきの固い二木と一緒にしたら、まずいよなぁ〜」
「です、よねぇ……」

 生徒会対リトルバスターズの野球勝負、まだまだ始まったばかりで、観客は気楽な観戦気分でのんきにわいわいやっています

「だがなぁ……俺が心配してるのは、別の所なんだよ……」
「? どう言う事よ?」
「いや、だってキャッチャーが……」

 しかし、腕を組みつつ、透夜が眺めた方向を稟達がみると……
 その華奢な体からは信じられない様な、重そうなプロテクターをその身に付けてる、リリの存在がありました

「MG科のリリ先輩が、KN科の内藤先輩の速球を上手く取れるかどうか……はっきり言って俺は心配だ」
「……確かに……」

 透夜の言葉に、佳澄美や楓、なずな達も思わず納得した様な表情になってしまいます
 しかし、そんな透夜の心配とは裏腹に……

「セカンッ!」
「上野君ッ! 久寿川さんッ! フォロー!」

 律太の投げた低めのボールを来ヶ谷が上手く捕え、その勢いよく返した球は、セカンドを守備する雪花の隣をすんなり通り、センターとライトの間を悠々へと向かって行きました……


 ひだまりメイドラプソディー!外伝 生徒会と野球勝負! 第三話 イメージ!


 □一回裏 1アウト 3番ピッチャー 棗鈴 ランナー2塁(来ヶ谷)

「流石は来ヶ谷、と言うべきか…… 上手い所に転がして行きやがった……」
「律太さん……」

 関心したように溜息を付く透夜とは裏腹に、なずなは心配そうな表情で律太を見つめます

「次は鈴か…… やっぱコレって、理樹のリーダー権限発動、と言うイメージが有るんだが……」
「透夜、それぶっちゃけすぎ」

 そんな観客側の雰囲気とは裏腹に、ネクストバッターサークルに座っていた鈴が、何時も通り……プレッシャーも何も無い様な雰囲気で歩いていきます

「正直に言わせてもらえば、鈴の目と足の良さを考えるなら、あいつは1番打者をやらせて、二木か来ヶ谷に3番やらせりゃあ、とは思うのも事実なんだよねぇ……」
「そうなんですか?」

 思わず呟いた透夜の一言に、なずなや如月達……一年生の応援組の視線が透夜に集まります

「1番打者ってのは、得てしてそう言う奴が有利、って話らしいからな 3番から5番は出塁した1番2番を上手く返せる力の持ち主の方が良いらしいしな」
「成程……」

 透夜の解説を聞きつつ、なずな達は鈴のバッティングを眺めます
 その鈴は、律太の投げるストライクの場所を上手く打つものの、その全てがキャッチャー……リリの後ろに行ってしまいます

「ふぅ……ん…… 鈴め……何だかんだでしっかり打って行きやがる、な」

 その鈴の様子に、透夜は感心した様な表情で呟きます
 そんな中、律太の投げた12球目のボールは、誰の目から見ても分かる様な、ワンバウンドのボールとなり、フルカウントとなってしまいます
 そして、リリから返されたボールをミットの中に一回入れ、そのまま両手を振りかぶり……

「ストライク! バッターアウト!」
「上手いッ! 恐るべし、内藤先輩ッ! 恐るべし、リリ先輩ッ!」

 その球を、鈴が打ちとった……誰もがそう思ったその直後、佐々美の宣言は、その場にいた………律太とリリ以外の全ての人間の予想とは真逆の言葉を発していました……
 そう……鈴が予想して、そのバットを振った所は、律太の投げたボールのコースでは無く……そこからボール二個下のコース……
 つまり、鈴がバットを振らなければ、フォアボールで、1アウト一塁二塁となっていたのです!

「理樹……」
「惜しかったね、鈴 次、リベンジだ!」
「……分かった!」

 その律太の戦術に、見事引っかかった鈴は、俯きながら、ベンチに向かいますが……
 その途中、理樹に優しく肩を叩かれ、普段通りの彼女らしい……野良猫を連想する様な笑顔を浮かべるのでした……

 □一回裏2アウト 4番キャッチャー 直枝理樹 ランナー2塁(来ヶ谷)

「さて、理樹か…… リリ先輩が問題無い事が分かったけど……」
「何か問題でもあるんですか?」
「ああ、理樹本人に関しちゃ、特に問題は無いのさ」

 バッターボックスに向かう理樹を眺めつつ、難しい表情をする透夜に、なずなは気になってしまいます

「問題は次のバッター……真人さね」
「……なんか、凄く力が有りそうな気がしまうが……」
「まぁ、そりゃそうだが……」

 透夜の言葉に、なずな達は次のバッターである、真人を見て、その外見からの印象通りの言葉を出してしまいます

「真人が上手くその力を使えれば、生徒会側は厳しくなるぜ……?」
「透夜、顔が完璧悪役になってるって」

 透夜の一言に、なずなは少々不安そうな顔になる物の、稟はそんな透夜にツッコミをいれて、その行為を止めようとします

「まぁ、まずは理樹さね 正直筋肉バカの真人よりも、あいつの方が厳しいからな…… あいつをアウトにすれば、生徒会としては万事オッケーさね」
「技術無き力に、正義を求める事無かれ、と言う事さ まぁ、真人もそれは知ってると思うから、油断は出来ないけどね」

 とりあえず、試合を見ておけ……言葉以上に、そう言いたそうな二人に、なずな達は試合に集中するのでした……

 終わり

 あとがき
 と言う訳で、久方ぶりに野球編となりました 本編が重くなる為、気分転換、と言うのもあるんですが(ぁ
 んで、今回は鈴と真人に対する……と言う意味でのタイトルですね 鈴は華奢だし、真人は本編の透夜のセリフにある通り、筋肉バカだし……(笑)
 そんな透夜ですが、なずなが律太を応援してるのを知ってて、弄って楽しんでます 原作でも少々そんな場面はありましたが、やりすぎたか……?(ぁ

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