「…………」
「どーしたよ、真鍋…… 普段よりも真面目な面見せて」

 なずな達が綾井学園に入学した年が終わるまで、一週間を切ったその日……
 生徒会の手伝いに来た律太の目に、普段以上の真面目な表情をしている和の姿が見えました

「……真鍋?」
「あ、はい、内藤先輩?」
「真面目にどうしたよ?」
「い、いえ、この書類なんですが……」

 その律太の声が暫く聞こえなかった物の、何度目かの呼びかけにようやく気付いた和は、持っていた書類を律太に手渡します

「……なんだ、こりゃ?」
「え、えっと、今年度の予算と、内藤先輩が生徒会長していた時の予算の書類です」
「いや、それは俺も分かってる」

 それを暫し眺めた後の律太の台詞に、和はその説明をしますが、それに対する律太の言葉に、和も「そうでした」と言わんばかりの表情になってしまいます

「もしかして今年度、こりゃあ結構ヤバいんじゃあないのか?」
「そうなんですよ……」
「うーむ…… 久寿川とマツリは計画的に金を使ってると思う……いや、思いたいんだが?」

 そう……今となっては、「前」生徒会長(及び「前」副会長)と呼ぶべき、ささらとマツリに視線を向ける律太に、その二人も頷いてそれの答えとします

「俺の時も、俺の前の代の時も、生徒会の金はちゃんと使ってたはずだが……」

 その二人のリアクションに、律太は顎に手を当てながら、自身が生徒会長を、そして副会長をやっていた時の事を思い出します

「……あの、先輩……もしかしてまーりゃん先輩が……」
「……言うな…… 今それを否定したい気持ちなんだから……」

 そんな律太に、ささらは自身の前会長にて、律太の次の会長である、まーりゃんが生徒会の資金の横領の疑惑を口にしようとし……
 そのささらに対し、律太はおでこに手を当てて、心の底から頭が痛そうな表情になるのでした……


 ひだまりメイドラプソディー!外伝 生徒会役員の日常! 第二十五話 資金難?


「ともかく、今は生徒会の資金難を何とかすべき、なんだろうな」
「そう、ですね……」

 とりあえず、資金難に置ける原因究明よりも、律太たちが直面している状況の打破を話し合いに意識を変更します

「そもそも、普段お前らが何に金を使ってるかの再確認だが」
「えー……っと…… 基本は業務中の飲み物に、紙とインクとペンですね」

 そして、次の律太のセリフに、その場の面子はテーブルの上にある物を確認します

「んで、俺達がこの紙とインクを使って、生徒たちの要望なんかの書類を作成してたっけな」
「はい 部活の足りないもの、各学科で必要になったもの等を記録して、って感じですね」

 その道具を確認しながら、律太は自身の高等部の生徒だった時を思い出し、その律太にマツリは頷いて同意します

「……で、三月までイケるか?」
「……どうでしょうか? 風紀委員用のお金を使いつつだったら、なんとかイケるとは思いますが」
「……そうか……」

 そのマツリの答えに、律太は顎に手を当てますが…… 不意に何かを閃いたような表情になります

「なぁ…… 宮小路のあの長い髪をバッサリ行って、それをファンの女の子に売りつけるとか、どーよ?」
「……いや、流石にやめてくださいよっ! お願いですからっ!!」

 そして直後の律太のセリフに、生徒会の面子は総じて立ち上がり、その行動を止めようとします

「さーりゃん、さーりゃん!」
「オウ、朝霧…… どーしたよ?」

 そんな時でした……
 正に扉を蹴破らん限りの勢いで、まーりゃんが生徒会室に入ってきました

「実はさーりゃんに着てほしいブツがあるんだよ!」
「……まさかと思うが、朝霧よ……?」
「なんですか?」

 そのまーりゃんが、生徒会に入ってきた理由を問いかけると、その脇に抱えた物……彩井学園指定の制服よりも、数段際どいメイド服を自慢げに前にだし……
 その行動に疑問を持った律太が、問いかけます

「その服を買った金の出所は何処よ……?」

 そして、その問いかけをした直後、まーりゃんはその場にいた皆から全力で視線を外しました

「やっぱり生徒会の金を使い込んでやがったな! 返せ! 今すぐ返せ!」
「そ、そんなぁ! 冤罪! 冤罪ですよ〜!」
「だったらその服の金の出所を今すぐ説明しろ!」

 その瞬間、律太はその視線の意味を理解し、まーりゃんの胸ぐらをつかみ……
 その律太に対し、まーりゃんは最初その疑惑を否定しましたが、自身が可愛がっているささらのジト目に、結局は白旗を上げるのでした……

 そんなこんなで数時間後……
 まーりゃんが使い込んでいた資金の一部の返却を確認したのを、律太に報告しようとしたささらが目にしたのは……

「瑞穂先輩! 抑えてください! いや、真面目に!」
「放して! 僕はこの人を斬らなきゃならないんだっ!」
「あー、真面目にスマンって……」

 何処から情報が流れたのか……
 自身の髪を切って、それを売ろうという律太の企み(?)を聞いた瑞穂が、律太に切りかかろうとし、それを透夜に羽交い絞めにされながら止められている姿でした……

 次回に続く

 あとがき
 という訳で、今回は生徒会の資金難のお話でした ま、原因は業務上横領と言うやつなんですけどね(ぁ
 ちなみに瑞穂の髪を切ってそれを売る、と言うのは、原作乙女はお姉さまに〜の4コマにあったネタだったりします(マテ
 もちろん、律太は冗談で言ってた事を、ここに明言しておきますね

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