後一週間でクリスマスとなった、その日……
 生徒会の手伝いの為に、生徒会室に入った律太とリリは、その目の前の光景に、正直戸惑い以外の感情を持ち得ることができませんでした

「ぱぱ〜 おしっこ〜!」

 そう……何故か地面に座った河野貴明の膝の上に座り、子供がそうするような駄々をこねるささらの姿……
 その周りには、その対処に困っている、智代とマツリ、和と曽我部、そして環とこのみの存在……
 貴明の様子を、心の底から羨ましそうに眺める雄二…… そして、それを楽しそうに眺める、まーりゃんと、TH科二年……ミステリー研究部なるものを立ち上げる、笹森花梨(カリン)の姿がありました

「おい、これはなんだ?」
「私に聞かれても……」
「ま、ママー!(泣)」
「あー、ハイハイ 世話が焼けるんだから……」

 律太が隣にいるリリに、状況の説明を求め、その答えに(当然ながら)困るリリに気づいてるのか、気づいてないのか……
 貴明に助けを求められた環が、未だだだをこねるささらの手を引いて、生徒会室から出ていきます

「も〜 これからが楽しい時なのになぁ〜」
「先輩、これからですよ〜 これからが本番なんよ〜」

 その環とささらの姿を眺めながら、正に私達の世界のテレビで放送される、時代劇の某悪代官と越後谷の会話をするような、まーりゃんと花梨に対し、マツリ達はどう対処していいのか、わからないと言わんばかりの表情にしかなりません

「んで、お前ら…… いい加減説明してもらおうか?」

 そんな貴明達の姿に、律太は一歩前に出て、声を張り上げ…… その声に、雄二、まーりゃん、花梨以外の6人は、驚きその身を跳ね上げるのでした……


 ひだまりメイドラプソディー!外伝 生徒会役員の日常! 第二十二話 催眠術!(前変)


「クリスマスの余興で使う、催眠術だぁ?」
「……らしいです……」

 それから数分後…… (何故か)トイレから帰ってきた環から事情聴取を終えた律太は、どうリアクションをしていいのか、と言わんばかりの答えを返すしかありませんでした

「はーい、ささらちゃん、あーん」
「あーん♪」
「なるほど、それで久寿川さんは、今現在4歳児で、そのパパが河野君、そしてママが環さん……な訳か」
「なんというか……シュールとしか言いようが無いな、おい……」

 そして、リリが別の方向……このみにクリスマス料理の試作品(平沢唯特製)を食べさせて貰っているささらを見ながら、現状を理解し……
 その状況に、律太もどうコメントしていいのかわからない、と言わんばかりの表情になりますが……

「そんじゃ、今すぐ元に戻せ」
「「えー」」
「……なるほど、そうすればよかったんですね……」
「いえ、環さん……これができるのは、先輩だけですから」

 直後、未だ貴明の膝の上に座ってるささらを指さし、律太は花梨とまーりゃんに命じ……
 その命令された方こそ不平を言うものの、環とマツリは、その律太の(多少横柄ながらも)あっさりとした行動に、何とも言えない微妙な印象を持ってしまいます

「そうかそうか……そんなに元に戻すのが、嫌か……」
(あ、なんか嫌な予感が……)

 そんな環とマツリの気持ちをよそに、律太はとても……そう、とても穏やかな笑顔を浮かべ…… 和には、その笑顔に、思わず嫌な予感がし、数歩後ずさりしてしまいます

「どうしても嫌だ、と言うのなら…… お前ら二人、今からBS科ん所にある溶鉱炉に突撃な」
「いやいや、先輩…… 冗談ばっかり〜♪」

 その和の嫌な予感は、最悪の方向に当たりました……
 そう……律太は、今まで彼らが見たことのない最高の笑顔で、まーりゃんと花梨に死刑宣告を出したのです!
 そんな律太の宣告に、まーりゃんは頬を引きつらせながらも、冗談として受け止めるしかありません

「それが嫌ならお前ら二人、顔の原型が無くなるまでに徹底的に殴って、手足を切り落として、バインドミストで動きを封じてから、桜の木の下に埋めるから」
「「ごめんなさい!」」
((((先輩、それ素で怖いです))))

 しかし、直後の律太のセリフに、まーりゃんと花梨は、一秒で土下座の体制をとり、律太に許しを請うのでした
 もちろん、その場にいた、その他の皆は、その律太の宣告に、和同様、ドン引きとも言える程に、数歩後ずさりをするのでした

「許してほしかったら、焼き土下……」
「内藤君、それは冗談でしょ?」

 そんな二人の態度に、満足した律太は、笑顔で宣告しますが、そこは隣にいたリリに、スナップの聞いたツッコミをもらいます

「とりあえず、もう一回やって、元に戻せて、クリスマスの余興として使えるかどうか、試させてもらいます 二人とも、いいかしら?」
「「は、はい……」」
((((いーのかな、いーのかな……))))

 そして、リリの一言に、まーりゃんと花梨は怯えながらもそれを了承し…… その場にいた、その場の面子は、それでいいのかどうか…… 微妙な気分でいました、とさ……

 次回に続く

 あとがき
 という訳で、今回はクリスマスの準備・ミステリ研生徒会申請編です 言うまでもなく、今回も前変ですよ〜
 んで、今回ToHeart2から、花梨が初登場〜 こいつはやっぱ、まーりゃんとコンビで組ませるのが、べたなんでしょうねぇ……
 ともかく、後変…… 今回以上の展開となりますよ〜(マテ

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