「うーむ……うーむむむむむ……」
「……ゆの先輩? 何で唸ってるんですか?」
「え? ああ、なずなちゃん……」

 二学期が始まってから一週間経った日の夜……
 部活から返ってきたなずなが見た物は、部屋の真ん中で雑誌を読みながら唸っているゆのの存在がありました

「あ、あのね……これ……」

 なずなの問いに、ゆのは読んでいた雑誌の表紙をなずなに見せてくれます

「……身長が簡単に伸びる方法?」
「そーなんだよー!」
「何か、あったんですか?」
「あ、あのね……夏休みに帰省したでしょ?」

 ゆのが説明するには、一月と少し前、ゆのが実家に帰った際に、父親から「ゆのはあんまり変わらずに安心した」と言われたそうです
 彼女の父親は、勿論ゆのを凹ますために言った訳では無く、恋人ができなくて安心した、と言う意味では無かった物の、それが身長にコンプレックスを持つゆのに伝わる筈も無く……
 彼女の表情を見る限り、それから身長をのばすための努力はしている様子ではある物の、その結果が出ていない、というのがなずなにも理解出来てしまいました

「いやー、美味しかった美味しかった」
「あ、宮子先輩、おかえりなさい」

 そんなゆのの精神状態を理解してしまった直後、お腹を軽く叩きつつ宮子が帰ってきました
 その宮子のとある二つの部分に、なずなとゆのの視線が蠢いた後……

「宮ちゃん、酷いよ……」
「宮子先輩、酷いです……」
「な、なにゆえー!?」

 宮子は涙目になったなずなとゆのに、精神的な意味で徹底的にボコボコにされるのでした


 ひだまりメイドラプソディー!外伝 生徒会役員の日常! 第十二話 身長!


「で、俺の所に来たって訳か」
「う、うん……ごめんね、律太さん……」
「いや、構いやしないが……」

 宮子がなずなとゆのに色々言われた数分後、寮の食堂で律太を見つけたなずなとゆのは、早速身長をのばす方法を聞くことにしました

「まぁ、牛乳は基本だよな」
「カルシウムだね!?」

 どうしたものか、と律太は自分が勉強を見ていた透夜や稟と目を合わした後、三人を代表して律太が口を開きます

「後たんぱく質とか、亜鉛が必要だって話を聞いたことがあるな……」
「だからヤモリの干物を食うと良い」
「ヤモリ……」

 律太の言葉を引き継いで、稟が口を開きますが……直後の透夜の一言に、なずなとゆのの体が固まります

(信じてる……)
(信じるんだ……)
(信じてやがる……)

 そして息を呑むなずなとゆのの態度に、律太達は思わず閉口してしまいます

「か、風見君は食べた事あるの?」
「……馬鹿かお前 ……そんなモン……食ったに決まってんじゃないか」
「え!?」
「お、おいおい、風見……」
「すごーい!」
「凄いです……」
「「マジでッ!?」」

 ゆのの真剣な問いに、冗談で返す透夜に、律太と稟は呆れてしまいますが、それを本気にするなずなとゆのに、二人は感心するやらあきれるやら……どうすればいいのか分からないと言う表情になってしまいます

「じゃ、じゃあ土見君と先輩は!?」
「……いやいや、ヤモリは風見の冗談だっての……」
「「え!?」」

 そんな透夜の冗談と、律太と稟の心情を理解していないゆのは、さらに律太達に聞こうとしますが……そんなゆのを少々可哀相になり、ネタばらしを行う事にします

「風見君はどーしてそうやって人をからかうの!?」
「……宮子の奴が昨日、プリムラや三枝や友兼の妹と一緒んなって納豆に砂糖やらマヨネーズやらを入れて食ってたけど……アレって絶対邪道だよな」
「話逸らさないで!?」

 そして律太の言葉の意味を完全に理解したゆのは、憤然とした態度で抗議をしますが……透夜は只々上手く話をかわすだけで、明確な返答をしません
 そんな二人の態度に、稟となずな、そして律太は溜息を吐くことしか出来ませんでした

 次回に続く

 あとがき
 と言う訳で、久方ぶりにゆのっちが登場した今回、いかがでしたでしょうか?
 今回は完璧にどこぞのファミレスのちびっこ高校生とゆのが同じ声だから、と言うので出来た奴です(笑)
 透夜のポジションはモロに佐藤さんですが……声優的には、どちらかと言うと、某スパロボの方向音痴なオリジナルだったりします パッと見も似てるし……
 次は……どうなんだろ? 本編もいい加減更新したいし……

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