それは、後数日で夏休みになる、快晴のある日でした
「……風見……土見の奴がなんか真っ白になってるが、何があった」
学校に到着した律太が見たのは、少し遠目に見ても、全身が真っ赤になってる楓と、それをなんとかしようとしている佳澄美と桜、そして透夜の三人
そして、戦い終えたどこぞのボクサーのように真っ白になっている稟の姿がありました
「……楓と色々あったんですよ ……そう、色々と、ね……」
「……色々? ……芙蓉の顔を見る限り、喧嘩をした訳じゃなさそうだが……」
透夜の説明は要領を得ず、仕方ないので佳澄美と桜に視線を向けますが……
その二人は、只顔を赤くして、律太から視線をそらすだけでした
「なんと言うか……昨晩の楓は、戦闘でも無いってーのに、戦闘態勢だったんですよ……いや、真面目な話」
「……は?」
「主に俺の理性的な意味でヤバかったので、止めようとしたんですが、その時の楓は聞く耳を持たず……」
いきなり語り出した稟に、律太はどうリアクションを取ればいいのか分からず、只首を傾げるだけでしたが……稟はそんな律太を無視して、語り続けます
そしてそんな稟に対して、楓は今にも倒れそうになり、透夜は笑いをこらえるような表情になり、佳澄美と桜は只顔を真っ赤にするのでした
「いや、結果としては、俺の個人的なノズルから、熱いシャワーがほとばしったんですけどね」
「個人的なノズルって、土見……お前、そりゃ、確かにストレートな表現は出来ないだろーけどさー……」
稟の言ってる事を完璧に理解してしまった律太は、只々溜息を付くことしか出来ませんでした
ひだまりメイドラプソディー!外伝 生徒会役員の日常! 第九話 煩悩!
「真面目な話、男ってやっぱ煩悩の生き物ですよねぇ……」
「……唐突だな」
そして昼休みになり、たまたま透夜達と昼食を取る事になった律太でしたが……
「まぁ、昨晩の稟は稟だとして……」と前置きし、しみじみと透夜が呟きます
「それで、土見はまだ復活してないのか」
「いや、一度は復活しましたよ?」
「あ?」
その言葉を丁重に無視しつつ、律太はその隣で未だに真っ白になっている稟に視線を向けます
しかし、その透夜の答えに、律太は頭に「?」を浮かべてしまいます
「いや、前の授業紅女史のだったんですよ」
「……そりゃ今日の土見にとっちゃ、地獄以外何物でも無かったな」
透夜の説明に、律太は自身の高校時代をつい思い出してしまいます
その頃の自身は、当時の担任にて、現在の透夜達の担任・紅薔薇撫子による熱血と言う名の地獄の毎日だった、と律太はつい懐かしんでしまいます
「まぁ、それはそれとして、風呂場でいきなり裸の美少女が入り込んできたら、男としてはきっついですよねー」
「……上手く逸らせたと思ったが、甘かったか」
「と、透夜君! 昨日の話はもうやめましょう!」
そんな郷愁に浸っていた律太ではありましたが、現実はそう甘い物では無く……透夜の一言に、律太は只溜息を付くしか出来ません
その原因である楓も、未だに全身を赤くして、只恥ずかしがっています
「ま、俺も佳澄美に裸で抱きつかれたら、色々と嬉しいですが」
「…………」
透夜の一言に、律太の脳裏に浮かんできたのは……
自分の前で裸になって行き、無邪気な笑顔で抱きついてくる、何時も妹のように可愛いと思ってるとても可愛い女の子でした
「煩悩退散!煩悩退散!煩悩退散!」
「わっ! 先輩!いきなり何をしだすんですか!?」
直後、律太はそんなイメージを払しょくするように、透夜達の制止を振り切って、何度もテーブルに頭を打ち付け始めました
そんな時でした
「内藤……お前……」
「ゲッ……紅女史……」
律太達の視線の先には、先ほど律太の回想の中にあらわれていた、紅薔薇の存在でした
その表情は、一目にも二目にも完璧に怒ってると言うのが理解できる表情でした
「べ、紅女史! そんなに怒ってたら、美人が台無し―――!」
「放課後グラウンド500周だ!」
「……はい……」
なんとか怒りを逸らそうとした律太ではありましたが……結局火に油を注ぐだけの結果となってしまいました……とさ
そして、律太は決意します ……これから何があっても、土見みたいに煩悩なんかに負けてたまるか―――と
次回に続く
あとがき
マズ最初に……なんと言うか、色々申し訳ない 特にオリキャラの律太さんを作ったゆきさん、ほんっとーおに申し訳ない
なんと言うか……今回は只々このネタを書いてみたかった、と言う欲望に負けたんです それ以外の理由はありません
最初の稟の台詞は、訳分からん、とお思いかもしれませんが、目の前に裸の美少女(と言うより楓)が現れた時の原作のセリフみたいです
ともかく、次の外伝は、久方ぶりのバトル回となる予定です いい加減本編も更新しなきゃ、とは思いますが……