「……おい」
「……なんだ?」

 周りにある状況に、律太は目の前に座っている無精髭の男にて、高校の時には同じ生徒会役員だった、大学部TH科二年、上野彩雲に声を掛けます

「俺達は、一体ここで何をしに来たんだ?」
「何って……」

 律太の一言に、上野は思わず「何を今更」と言いた気に応えを返します

「ここは川だ ……そして俺達は釣竿を持っている……つまりは」
「ああ、分かってる ……だがな……」

 無論、律太もそれを理解していない訳では無い ……しかし、彼の心が納得が出来てないので、苦虫を噛む様な表情で上野に聞いているのである
 ……何故なら……

「何で俺と上野と柴田と朝霧とリリとみさと以外じゃあ、高等部の生徒会役員共なんだ!?」

 律太が声を荒げながら指を明後日の方向に向けると……
 高等部における、現生徒会長である久寿川ささらを始めとした、生徒会の役員の女の子たちが釣竿を持って、それを川にたらしていたのである!


 ピッピッピッ! ピッピッピッ!(←やはり生徒会役員共のノリで)

律太「彩井学園生徒会会則……ふたぁ―――つ!! 釣ってぇ〜!釣ってぇ〜!釣られてぇ〜!釣ってぇ〜!!」
リリ「……それの何処に、会則の要素を求めればいいのよ……」


 ひだまりメイドラプソディー!外伝 生徒会役員の日常! 第一話 魚!


「す、すいません、先輩!」

 絶叫の後、息を荒げる律太に、何故かささらが全力で、律太に頭を下げます

「謝るぐらいなら、何故お前らがここに来てるのか、教えてほしいんだが……」
「え、えっと……以前、私がオオサンショウウオを直接見てみたい、と言ったら、上野先輩が今日……」
「な、成程……つまり、朝霧がここにいるのは、久寿川が今日ここに来るのを分かってたからだな?」

 溜息と共に出た言葉に、まーりゃんは「そのとーり!」と言わんばかりに、その小さな胸をそらしてふんぞり返ります

「まぁ、あーだこーだ言ったって、もう来たのはしょうがないとして、だ……上野、お前今日は何を狙うんだよ?」
「……ナマズ、だ」
「……ナマズ?」

 上野の言葉に、律太の脳裏にはナマズともウナギとも言えない生物が舞い踊っていました ……ちなみに、作者はナマズとウナギの区別が付かない時が有ります リアルに

「だってよー 柴田がナマズの髭が四本だって言い張るとよ ……俺は六本だと思うとによー」
「……あのー……それって…………わざわざ釣りにこないで、図鑑で調べた方がいいのでは…………?」

 上野の一言に、律太の隣にいた生徒会唯一の神族である生徒会副長――瑠璃・マツリが、さらにその隣にいた和と目を合わせた後、至極最もな疑問を口にします

「フン 図鑑に書いてるのが全部真実とは限らん ……この目で見ん事にはな」
「ほう……? それなら久寿川の件もあるし、協力すべきかもな」

 上野の言葉に、律太が感心した様な声を上げます
 ……しかし……

「くそぉッ! あげん子供だましの絵なんかにッ!」
「……四本だったのかよ……」
「……と言うより、調べたんですね……?」
「……その前に、図鑑を子供だましって……」

 上野の悔しそうな声に、律太、マツリ、和の三人は、只呆れたような声を上げるしか方法はありませんでした

 ともかく、上野の目的はどうでも良くなった生徒会&生徒会OB組ではある物の、未だささらの目的が達せられて無いのも事実の為、釣りを続けることにしました

「まったく……こんなことなら、寮に残った雪花と一緒にに買い物に行った方が良かったわ」
「ぼやかないぼやかない 釣れてない訳じゃないんだし ……あ、また釣れた」
「…………」

 何だかんだと言ってボヤくみさとと、それを諫めるリリ……彼女らの近くにあるバケツには数匹の魚が所せましと泳いでいます
 そんな状況に、上野は少し不機嫌な表情になっていっていきます
 彼のバケツには、未だたった一匹の魚しかいなかったりするのですから……

「まぁ、なんだ……サンショウウオとナマズ釣れないだけ、皆一緒だ……」
「…………」

 そんな彼をなだめる律太に、上野は只頷くことしか出来ませんでした……そんな律太のバケツにも、数匹の魚が泳いでいましたとさ

 そんなこんなで数時間後……
 目的であった二匹を釣れることは無く、釣った魚を食すことなく川に戻し、寮に戻ることにしました

「さて、結局目的の二匹を釣る事が出来ませんでした!」

 律太は帰ってから十分後、釣りに行った皆を食堂に集めた後にそう一言声を上げます

「それは単に敵の情報を理解していなかったからにならない……俺はそう思います!」
「敵って……」

 律太の表現に、和は思わず呟やきますが、言ってることは概ね間違って無い為、これ以上言う事はありません

「と、言う事で、さっき図書室でコレ借りてきた 次に向けて勉強するぞ」
「ハイっ!」
「おうよ」

 やっぱりもう一回行くのか……その場にいた面子の大多数はそう思った物の、ささらと上野の一言に、なにも言う事が出来なかったのでした……

 次回に続く

 あとがき
 不定期更新――とか言いながら、二回連続で外伝更新です(ぉ)
 別に釣りに限った事じゃありませんが、誘う側よりも誘われた側が物ごとにのめり込む事がありますよね? 今回はそう言った話でした
 んで、今回SHUFFLEシリーズから、神王様の右腕(?)マツリが初登場となりました 原作では生徒会長だった物の、こちらではささらが会長なので、一つ格下げとなりました
 次は……ネタ次第ですね 本編も更新したいですし

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