この世界における、大陸中央にある王国・聖地主催……彩井学園生徒参加の武闘大会に置ける予選会は、二日目に入りました
 コレは350人前後の出場者を、本大会に出場できる78人に絞るために行われてる物です
 その人数故に、言うまでもなく一つの闘技場では時間がかかり過ぎる故に、その会場は、聖地中央議事堂と呼ばれる場所の東西南北4つにそれは置かれています

「……? 律太さん、あれ何? 普通の屋台とは違うみたいだけど」
「? ああ、あれか」

 その闘技場の一つに向かっている元生徒会チームでしたが、その中で唯一の初参加者であるなずなが、その入り口で食べ物を扱うのとは微妙に違う屋台を見つけました

「アレは公営の賭博屋だ」
「賭博屋?」

 律太がそのなずなの視線を追い、その答えを端的に答えると、なずなの脳内にある一定のイメージがあふれていきます

「えっと、つまり……」
「たぶん、お前が想像してる通りだ」

 そしてその理由が分からないものの、何故か沸騰した頭で、なずながそのイメージを言葉にしようとすると、律太はそのなずなに同意するように頷きます

「で、でも、いいのかなぁ……?」
「世の中なんざ、そんなもんだよ」

 そして、何とも微妙な表情をするなずなに、律太はあっけらかんと答える以外の選択肢を取ることはしないのでした……


  ひだまりメイドラプソディー外伝 激闘!武闘大会! 第三話 戦楽器魔法!


『予選前期二日目、東方闘技場第一試合、KN高等二年土見稟選手、KN高等一年赤野烈人選手、時間ですのでリングに上がってください』
「いきなり赤野の出番だ!」
「よっしゃー! ぶちかましたれぇー!」
「相手に血ぃ見せたれい―!」
「今年の一年は怖い物知らずだなー」
「いや、先輩…… なずなみたいのもいるんで、一概には言えませんって」

 そんなこんなで観客席に付いた律太達は、そこで友兼や野田、律と共に見学することになったのですが……
 その三人の言動に、吉野屋は只呆れることしかできず、なずなもそれをどう言って止めていい物か、と言う表情になってしまいます

「セコンドは赤野がプリムラと山口、土見は芙蓉と神界のお姫さんか……」
「ね、ねぇ、律太さん…… リムちゃんが澪ちゃん並みに緊張してるんだけど……」

 そんな三人を無視して、律太はリングに上がる二人…… 烈人と稟の後ろにいる計4人の少女の内を確認しますが……
 なずなはそのうちの一人の魔族の少女が、某軽音部のベーシスト並みに緊張してる姿が気になってしまいます

「そりゃあ、相手のセコンドに、何時も優しくしてくれてる憧れのお姉ちゃん達がいるからな」

 しかし、その問いに答えたのは、律太ではなく、彼らの後ろから来た透夜でした

「先輩方、ご一緒しても?」
「ああ、もちろん ……赤野の偵察がてら、土見の応援か?」
「ええ、まぁそんな所です ……昨日は五戦全勝なので、稟に関しては心配する必要もないとは思ってますが」
「心配なのは井ノ原の方、か?」

 とりあえず、馬鹿騒ぎしている野田達を無視することにした律太達は、透夜を迎え入れて、真面目な表情に戻ります

「そういえば、井ノ原先輩、昨日は赤野君に速さで負けてましたよね……」
「まぁ、な 故に赤野はしっかり偵察をすることになった訳なんだが……」
「問題は赤野自身じゃなくて、やっぱプリムラになる訳か」
「あ、そこでリムちゃんの話に戻るんですか」

 しかし、話の急展開に、なずなはついていくのに必死になっていきます

「とりあえず、なずなも今のプリムラみたいな部分はあるし、試合の前はとりあえず屈伸運動をしておけばいい」
「う、うん、そうだね ……あ」

 そんななずなに、律太はあっさりと話を纏めますが、その時なずなの目にある物が映ります

「ね、ねぇ、律太さん…… アレ……楓先輩たちの後ろにあるの…… 楽器?」
「ああ、あれか…… ま、見ての通りアレはハープさ」
「? ……? なんであんなところに?」
「見てればわかるさ ……って時にどうやらファーストラウンドが終わったようだな」
「しまった ……よく見てなかった」

 そのなずなが目に留まった物の正体を、律太が肯定した時、いつの間にか始まってた試合の第一ラウンドがあっさり終了していました

「ともかく、土見の方をよく見ておけ 面白い物が見れるぞ」
「は、はい……」

 そして、律太の言葉に、なずなは稟達の方を向くと、そこにはシアがそのハープを持ち上げ、それを弾きはじめていました

「え? え? なんで?」
「ま、いわゆる戦楽器魔法、と言う奴さ」

 なずな……否、一年である野田や友兼から見ても、奇怪にしか見えないシアの行動に、律太はあっさりとそれの意味を答えます

「勿論、怪我や打ち身は直せないけど、体力回復だけを求めるなら、治癒魔法よりもあっちの方が少ない魔力で行使できるしな ……治癒促進も多分にあるしな」
「そ、そんなことができるんだ……」
「まぁ、細かいことは、来年度……来月から、さめちゃん先生か伊吹先生あたりに聞いてみるんだな」
「う、うん……」

 そして、律太の説明に、なずなは只々目を丸くして、シアの行動を眺める事しかできません

「ってーと、今回赤野は負けるってこと!?」
「まだだ野田! あきらめたらそこで試合終了だぞ!」 
「んで、なんでこいつらはここまで言える訳?」
「……昨日も赤野は謙吾や杏先輩に負けたのにねぇ……」
「あ、あはは……」

 しかし、その説明を聞いても、赤野の勝利を信じて疑わないような言葉を発する野田と友兼の二人に、律太達は只呆れるような表情しかできないのでした……

 次回に続く

 あとがき
 という訳で、今回武闘大会編初のバトルにようやく着手、のつもりでしたが…… ま、こんな展開になっちゃいました(ぉぃ
 ともかく次回の武闘大会、予選中盤の予定です あ、今回の勝負ですが、言うまでもなく稟の勝利ですよ? ……一応言っておきますが(ぉぃ
 それと同時に、今回シアが使ったハープですが、両手で持てる程の大きさの奴です すごく大きい方じゃないです、よ?

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