「先輩! 選手登録、完了しました!」
「わかった」

 なずなが律太達元生徒会メンバーから、闘技大会の元生徒会チームのセコンド役として勧誘されてから、次の日の放課後……
 その元生徒会の面子となずなが一堂に会している場所に、前回の生徒会長である久寿川ささらが一枚の紙を持ってやってきました

「さて、セコンド役とは言え、今回武闘大会初出場のなずなに、大会の細かい説明をさせてもらう」
「は、はい! よろしくお願いします!」

 その受け取った紙を軽く眺めつつ、吉野屋はなずなを呼び出し、そんな吉野屋になずなは全力で頭を下げます

「まず知っての通り、本日から一週間の間、選手登録となるのは、さめちゃん先生から聞いてるな?」
「はい!」
「まぁ、殆どの奴は初日に登録するんだが…… ともかく、平年の出場者の平均人数は、大体350人となっている」
「……多いですね……」
「まぁ、高等部のKN科一学年の人数の平均50人弱だからな…… この人数は普通だ、という事だ」

 そしてなずながメモするものを取り出したのを確認すると、律太と吉野家の二人は武闘会の説明を始めます
 そんな説明の中、なずなは一つの疑問がよぎります

「えっと、確か出場資格は『彩井学園の生徒すべて』でしたよね?」
「いい所に気づいたな、なずな その通りだ」

 その疑問を思わず口にすると、律太が嬉しそうにそれに応えます

「まぁ、単純な話さね…… この武闘会に負けて、騎士になることや、各国の有力者に仕える事を諦めた奴が、彩井学園を辞めてって、大学部の一学年の人数が減ってるって、だけだ」
「あと、何かしらの原因で怪我をしたり、病気になったりするやつもいる、と思ってくれればいい」
「な、成程……」

 そして、その律太と、吉野屋の説明に、なずなは思わず納得してしまいます

「話を戻すぞ ともかく、この数じゃあ、多すぎるからな…… 登録締め切りからの次の日から、予選会を行って、その約二割……78人にまで減らすわけだ」
「78人……少ないですね……」

 そして次の吉野屋の言葉に、なずなは思わず足に力が少しだけながらも、抜けていくのを実感するのでした……

「その予選会以外に、一定試合を免除する生徒が24人いる ……つまり、シード選手、という訳だ」
「……シード選手?」

 そんななずなを予想した律太は、ちょっとだけ苦笑しながらも、彼はなずなに補足を加えるのでした


  ひだまりメイドラプソディー外伝 激闘!武闘大会! 第一話 ルール!


「まぁ、シード選手ってのは、一回前に誰の目にも納得できる程の活躍をした奴が一部試合を免除される権利、って事だ」
「その権利を得られる奴は、それだけの実力を持ってる、と思ってくれればいい」

 シード権、と言う聞きなれない言葉を聞き、首をかしげるなずなに、律太と吉野家は、細かく説明を始めます

「もちろん、シード権にも、予選免除のサード、一回戦免除のセカンド、そして二回戦免除のトップの三つのレベルに分類されるんだ」
「ほんとに複雑ですね……」

 そして、その二人の説明に、なずなは少しだけ複雑そうな表情になりますが、ハタとある疑問がよぎります

「ちなみに俺達元生徒会チームは、全員シード選手だから、予選に出る必要はない、ってことだ」
「じゃあ……律太さんはどの段階なの?」
「うっ……」

 その疑問を思わず口にすると、律太は急に胸に手を当てて、うめき声を上げ始めます

「内藤先輩は去年、セカンドシードだったんだけど、一回戦環さんに勝った風見さんに少々酷い目に合わされて……」
「その次の三回戦で、ダメージが残っていた内藤君は、私に負けて、今年はサードシードに格下げされちゃったのよ」

 勿論、それでなずなに隠すことは無理であり、マツリとリリの二人が律太の代わりに説明したのです

「じゃ、じゃあ優勝するのって、そんなに簡単じゃないんですね……」
「そうですね 最初の出場……高等一年の方だと、予選を通過するのも相当大変だと思います」
「まぁな…… 去年優勝したこの吉野屋先輩も、高等一年の時には、相楽先輩相手に惨敗して、吉野屋先生に大泣きされた過去がある、と実しやかにささやかれてるしな」
「内藤、何故それを知ってる……」

 その説明に、なずなは武闘大会の厳しさを実感しますが、その気持ちとは裏腹に、会話の内容が変な方向を向き始めます

「え、えっと、それでシード選手の内訳って何人なんですか?」
「あ、あぁ……えーと…… サードが10人、セカンドが8人、トップが6人だな」

 そして、その方向性に、やや不穏なものを感じたなずなは、律太の腕を取り、その雰囲気をもとに戻そうと努力します

「ま、後は予選を見学しながら、おいおい説明するとして、だ……」
「そうだな……皆予選に出る必要は無いとはいえ、武闘大会は待ってくれないぞ! 準備運動終了と同時に、皆優勝に向けてミッションスタート!」
『…………』

 そのなずなの努力(?)が功をそうしたのか、そうでないのか…… 取り合えず、その場の空気が真剣なものに戻ります
 直後、吉野屋のセリフで、その場にあった空気が、とてつもなく冷たい物になってしまいました

「すまん…… 一度してみたかったんだ……」
「まぁ、そうでしょうね」

 そんな空気の中、吉野屋は顔を逸らし、つい謝罪をし、律太もそれに同意します

「ともかく、来週から予選開始だ! みんな、気合入れて鍛錬を始めるぞ!」
『はい!』

 その言葉で、その場の空気が元に戻り、吉野屋は右腕を高々と掲げ、その場にいた皆に激を飛ばすのでした――

 次回に続く

 あとがき
 と言うわけで、今回は前回に続いて、ちょっとしたルール説明、と相成りました
 とりあえず、参加選手は(本戦もそうだけど)大量になっちゃいましたが、まぁ、良いよね?とか思ったり(何
 ともかく、次回から予選開始、となりますが…… 誰から活躍させよっかなー?って感じですね(何

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