「うー…… うぅ――……」
「ねぇ、なずな…… これ、ウザいから殴っていい?」
「だ、ダメだよ、乃莉ちゃん! 穏便にぃー!」

 なずな達の二年生が始まってから二日目の夕食時……
 ひだまり壮の食堂の片隅の席で、頭を抱えて唸る空に、乃莉は握り拳を構えますが、それはなずなに制されます

「でもまぁ、悩むのはわかるけど、さぁ……」

 しかし、制されながらも、乃莉はその表情を崩すことは無く…… それだけに、なずなも乃莉のその表情だけには、只共感を覚えるしか選択肢はありません

「で、どーするの?」

 とりあえず、頭を抱えるだけの空をスルーし、乃莉はなずなにどうするのかを問いかけますが、なずなも只首を横に振る事しかできません

「だったらなずなちゃん! ここはひとつ、軽音部に!」
「……唯ちゃん?」
「えっと……」

 そんな中、唐突に後ろから声がかかり…… 思わずその方向を向くと、ドヤ顔でギターを構える唯の存在がありました

「えっと…… その心は?」
「……………………」

 そんな唯の行動の理由を、乃莉が問いかけますが、その唯はそのまま視線を二人から外します

「りっちゃーん! 失敗したよー!」
「だから言ったら? 澪に任せて置きゃよかった、ってさ」
「二人とも…… ちょっと頭冷やそうか……?」

 直後、唯は近くにいたらしい律に泣きつき…… そんな二人に、乃莉は握り拳を構えて、なずなも只呆れたような表情になったのでした


    ひだまりメイドラプソディー! 第八十一話 選択!


「それで? こんな時間に学校に忍び込んで、どうする訳?」

 数十分後…… 夕食を食べたなずなと乃莉は、軽音部の4人に連れられ、校内の音楽準備室に連れられます

「えっと、ちょっとお悩みのなずなちゃんに、私達からアドバイス……みたいな?」
「へぇ……アドバイス、ねぇ…… ムギはともかく、なずなより成績の悪い唯がねぇ……?」
「何時もの事ながらバッサリだな、おい……」

 その行動に、なずなも乃莉も問いかけますが、その答えに乃莉は呆れと感心、両方の感情を表し、その乃莉に対し、律はドラムセットを用意しつつも、思わず苦虫を噛むような表情になってしまいます

「まぁ、唯が言ったようになずなの為、ってのもあるけど、とりあえずムギが作った新曲の批評もしてほしいんだ ……聞いてくれるか?」

 そんな乃莉と軽音部のやり取りに、どうリアクションしていいのか分からない表情をしていたなずなでしたが、その律の言葉に、なずなは思わず緊張に顔を強張られます

――霧深い森眠る蕾さえずり起こすように 仲間と心と心響かせましょう

 しかし、唯や律が、そして澪や紬が音楽を奏で、歌い始めると、なずなはリラックスできるようになり、真剣な表情でその歌に耳を傾けます

――本当に大事なもの 見えなくて触れないけど だから壊さないで永遠にも出来る

 そして、唯たちからのその言葉に、なずなは少なくとも、気持ちがグダグダしなくなったことを自覚します

――キラリまぶしい笑顔には自分から歩み寄って その一歩が未来 出会いは掛け替えない宝石

(うん、唯ちゃんたちも頑張ってるんだ…… 私も、頑張んなきゃ……)

――夢伝え合い誓ったら 後は支え合うだけ 私で叶う事は何でも力になる何時も

 そして、次の日……

「なずなさんと紬さんは音楽…… 唯さんは作法ね? はい、受け取りました」
『はいっ! ありがとうございます!!』

――ひかり輝く奇跡ならドキドキの向こうに果敢に挑戦 日々は小さな荘厳な冒険

 なずなは、唯たちの歌を聴いた直後、自分でも吃驚するほどの決断を下し……
 それでも、そのその選択には後悔しない自信も、なずなは何故か持ち合わせていました

――羽根広げたら深呼吸 そして深呼吸

「でもまぁ、それだけ昨日の唯たちが凄かった、って事じゃないの? ……いつもは律と一緒にムギのおやつガチ食いしてるだけなのにねぇ……」
「あはは……」
「まぁ、私としては、美術選んでほしかった気はするけど、今回は唯たちに譲ってあげるっ」

 その気持ちを乃莉に伝えると、なずなとしてはリアクションに困る返答を返してくるのでした……
――私はきっともっと遠く遥かな空へ行ける――

 次回に続く

 あとがき
 第八十一話挿入歌 けいおん!キャラクターソング 琴吹紬編「Humming Bird
 という訳で、今回は唯大活躍編でした この子、原作に比べると結構頑張るわー(何
 それはそれとして、今回なずなに音楽を選ばせましたが、ある意味軽音部らしいグダグダ感を出すために、あえて別の教科を、とかも思いましたが、結局普通の展開に終わらせてしまいました(汗)

 ともかく次回…… 本編は原作ひだまりの進み具合ですねぇ…… 缶蹴り編もちゃんと終わらせなきゃだし、闘技大会編も進めたいだし……

 と思ったら、今回律太出してなかったよっ! まぁ、たまにはこう言うお話も

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