「さぁー、今日から二年生!! なずな!唯!このみ!如月! 気合入れていくわよー!!」
「おー!」
「おぉー!!」
「「お、おー……」」

 なずな達が彩井学園に入学してから、丁度一年…… これから二年生となるなずな達の前に、乃莉がそのなずな達に気合を入れるように、全力で拳を上げ……
 それに応えるように、唯とこのみも同じくして拳を上げますが、なずなと如月の二人は、そのテンションについていけないように、控えめに拳を振り上げます

「気合を入れるのは良いけど、アンタら…… 今日と明日は始業式と入学式しかないっての、覚えてる?」
「とりあえず、無視しておけば問題ないわ ……どうせ途中でダレるんだし」

 そんな乃莉達の姿に、ありきたりなコメントをせざるを得ない奈三子に対し、和は唯との長年の付き合いらしい、何とも達観した意見で奈三子を校内に導きます

「何言ってるのさ、和! 一年の計は、とは言わないけど、それでも入りは結構大事だと思わない!?」
「なんというか、乃莉…… 正直ウザいから離れてくれないかしら……」

 そんな和に、乃莉はもう暴走状態、と言わんばかりに和の肩に手を回しながら校内に入っていきますが……

「乃莉ちゃん…… 私、二階まで毎日行くなんて、くじけそう……」
「同じく……」
「……唯ちゃん、このみちゃん、正直情けないと思うんだけど……」
「二人とも、去年一年間何してきたのよ……」

 各々の教室まで行くまでの道すがら、唯とこのみの二人が正に体力切れです、と言わんばかりにひざに手を置き……
 そんな二人の姿に、乃莉や和は言うまでもなく、なずなですら只呆れた表情にしかならないのでした……


  ひだまりメイドラプソディー 第八十話 二年生!


「えー、ME科高等二年の担任となる、宇佐美真由美です 今年度もよろしくお願いします!」

 そんなこんなで始業式も終わり…… 新たな教室となるその場に戻ると、一年の時同様担任となった宇佐美が、生徒たちをまっすぐ見据えて改めて挨拶をします

「まぁ、生徒は一年の時と変わらないので、明後日から始まる授業の話をさせてもらいますね〜」

 しかし、その挨拶もそこそこに、宇佐美は教室に入る際に、持っていた紙を取りに来るように、生徒一同に言い渡すのでした

「細かいことはその紙に書かれてる事を読んでもらうとして、簡潔に言うと、二年生から始まる強化選択授業の事です――」

 そして、その紙を、皆が取りに来たのを確認すると同時に、宇佐美はその内容を細かく説明し始めるのでした……


「乃莉ちゃん達もそうなんだー……」
「そうなんだよー……」
「難しいもんだいですなぁ……」

 そんなこんなで数時間後…… なずなとこのみ、そして奏の三人は、乃莉やプリムラ、由香里と一緒に喫茶店・ハチポチでお茶をすることにしたのですが……
 6人の話題は、専らなずな達だけでなく、他の学科でも出てきた、強化授業の話でした

「自分の長所を伸ばすか、それとも短所を補うか……って事なのかな?」
「多分、そうなのですよ〜」

 それぞれお茶を飲みながらも、難しい表情でそれぞれに渡された紙を眺めますが、それぞれが自分の道を決められない、と言わんばかりの表情のままでした

「料理の他に、礼儀作法に音楽、美術に武術、か…… 私、正直ME科って料理作ってればいい物だと思ってた……」
「乃莉ちゃん、それは流石にアバウトすぎるのですよ〜……」
「そうだよ、乃莉ちゃん…… それだと、このみちゃんは落第生になってるよ?」

 しかし、そんな中、乃莉は隣にいるなずなの紙を見て、自分のイメージをざっくりと語りますが、それは奏と由香里に呆れられてしまいます

「でもさぁ、このみって礼儀作法も音楽も美術も武術も出来るの?」
「あぅぅぅぅぅ………」
「もうやめて、乃莉ちゃん! このみちゃんのライフはもう0だよッ!?」

 そして、そんな二人に撃墜されたこのみは、乃莉の一言でとどめを刺されてしまいました
 そんなこのみの姿に、プリムラは乃莉の口を押え、なずなは苦笑を浮かべるのでした

「プリムラと由香里の方は?」
「THは魔術と武術の二教科しかなかったかな? その代り、必須強化は沢山有るらしいけど」
「えっと……音楽と武術の他に、MG科は宝石学、っていうのが面白そうかな?とは思うけど」
『宝石学!?』

 そのプリムラから解放された乃莉は、向かいにいる由香里に視線を移しつつ問いかけると、そのプリムラから意外な答えが返ってきます

「さっきネリネお姉ちゃんやリコリスお姉ちゃんから聞いたんだけど、ロッドってあるでしょ? あれの先端につけられてる宝石の使い方と装着の仕方を覚えるんだって」

 そんななずな達の驚く声に、プリムラは、少し前に姉と呼ぶ少女から聞いた事を、そのまま伝え、その言葉に、彼女たちも納得したような表情になります

「なんていうか…… 宝石集めてみんなに自慢するのかと思ったよ」
「……乃莉ちゃん、それMG科とどんな関係があるの?」

 そのプリムラの説明に対する乃莉のコメントに、なずな達は呆れるよりも、その考えに只感心するしかなかったのでした



「あはは…… 懐かしいなー」
「ゆの先輩も、悩んだんですか?」
「なんというか、ゆの先輩らしいですね」

 そんなこんなで寮に帰り、さっそくゆのに相談することにしたのですが、乃莉からすれば、それはまさにイメージ通りと言わんばかりのリアクションをされました

「なずなちゃんは、どうしたいの?」
「えっと…… 料理は部活でもやってるので、除外と考えています」
「あ、そっか なずなちゃん、料理研究部だもんね まぁ、私も似たような考えだったけど」

 とりあえず、ゆのはなずなの気持ちを聞くと、その答えに納得するように頷きます

「ゆの先輩も料理を外したんですか?」
「あぁ、私は美術 私、美術部員だから」
「なずなぁ…… 気持ちはわかるけど、素でボケるの止めようよ……」

 その答えに対してのなずなの一言に、乃莉は多少の呆れを持ってしまいます

「まぁ、とりあえず提出は来週だし、のんびり……って訳じゃあないけど、急がずに考えてね」
「「はいっ!」」
「とりあえず色々考える前に、先輩から一つ忠告ッ!?」
「「?」」

 そんな中、ゆのがその場の空気を引き締めるかのように、手を叩いた直後……

「いくら難しい問題だからって、宮ちゃんみたいにあみだで決めるのはなしだからね?」
「……ゆの先輩、私たちをなんだと思ってるんですか……」
「……と言うより、宮子先輩はあみだで決めたんですね……」

 とりあえずのまとめを言った後、乃莉はゆのの自分たちに対するイメージに疑問を持ち、なずなは宮子に(多少の)呆れの感情を抱くのでした……

 次回に続く

 あとがき
 という訳で、今回から本編は二年生編開始となります 心機一転!頑張るぞ、おー!

 ともかくまぁ、今回はメイン原作ひだまりらしいネタから まぁ、メイドのイメージが単に「萌え萌えーキュン!」にしたくないのもあったのですが(何言ってんだ
 それと同時に、これから(多分)鼻血率が大幅に上がる可能性がありますが、ご了承を〜 いうまでも無く、かの人物のせいですよ?

 んで、今回出た宝石云々ですが、これはロマンシングサガから来たイメージです 火のルビーとか、水のアクアマリンとか、そんな感じで
 いうまでも無く、宝石は私達の世界での「高価で綺麗」で済むものじゃない、と思っていただければ問題ないですよ〜

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