「つーことは、クリスマスの時の平沢の次は、年度末のなずなかいな」
「う、うん……」

 目の前で繰り広げられる光景に、透夜は隣で色々と用意をしている佳澄美に面白い物を眺めるような表情で問いかけます

「でもまぁ、料理の事に詳しくない……と言うか、俺と父さんと稟の料理を楓や桜やお前にまかせっきりの俺にあーだこーだ言える権利は無いと思うが……」
「? なあに?」

 しかし直後に不意に真面目な物に変えると、その方向から、恋人の方に向きなおします

「流石にヒロ先輩やゆのに手伝ってもらうとは言え、数日中に唐揚げの他に色々なお菓子を勉強して強化するのは、難しくないか?」
「だから透夜ちゃんを呼んだんだよ?」
「? なんだそりゃ?」

 そしてその問いかけに対して、佳澄美の方は、透夜がリアクションに困る様な言葉で返します

「料理を作る際の火の属性の魔法の扱い、と言うのをなずなちゃんに教えてもらおうと思って」
「……それはカレハ先輩かシアに頼んだ方が、大正解だと思うんだがな、俺は つーかお前ら、今までそれ教えてなかったんかいな」

 その理由を説明すると、透夜は只呆れたといわんばかりの表情にはなってしまいます

「それと補足をすると、俺は一応紅薔薇撫子門下だぜ?」
「? それがどうしたの?」

 そして、次の透夜の言葉で、佳澄美はその言葉の意味を問いかけますが……

「いや、魔法にしろ、剣にしろ、結構なスパルタにしかならんイメージが……」
「あ……」

 その直後の言葉で、佳澄美は色々と選択肢を間違えたような、何とも微妙な表情になってしまうのでした……


  ひだまりメイドラプソディー 第七十七話 集大成!(前編)


 そもそもこの事の発端は、この日の前日…… なずなに一通の手紙が来た事が原因でした

「ゆ、ゆの先輩…… 助けてください……」
「? なずなちゃん、どうしたの?」

 そして、その手紙に目を通した直後、たまたま隣で美味しく夕食を食べていたゆのに、唐突に助けを求めたのです
 そんななずなにその理由を問いかけるゆのに、なずなは持っていた手紙を、ゆのに差し出すことを、その答えとします

「な、成程…… つまり、なずなちゃんはご両親にお料理を作ってあげたいんだね?」
「は、はい……」

 その手紙に目を通した後、ゆのはなずなの言わんとしていることを、完璧に理解します

「でも、ヒロ先輩もそうだけど、私たちが今なずなちゃんに教えることは無いと思うけど…… 小毬ちゃんたちもいるんだし」
「え、えっと……それが……」

 しかし、それでもゆのが頭に浮かんだ事を口にすることにしたのですが……


「つまり、先代……亜沙先輩の時もそうだったけど、神北が部長になってから、お菓子作りを中心の活動が顕著になった訳か」
「それに、火の使い方は、なずなちゃんは授業でもあまりやったことないみたいだし……」
「なるほどな」

 そのゆのが頭に浮かんだ疑問…… つまりは授業、及び部活で料理の勉強の量や質をなずなに聞いたのですが……
 それに対する答えは、透夜が思わず納得する内容であり、それと同時にため息をついてしまうものでした

「っても、俺が偉そうに何か教えることはないだろう…… プリムラ、火の使い方は、お前が教えてやれ」
「えぇっ!?」

 そして、腕を組みながら数秒思考にふけた後、透夜はなずなの親友である、魔族の少女にあっさり丸投げを決定するのでした

「で、でも、私自身教えたことが無いよ! 透夜が教えてあげてよ!」
「俺もちゃんと見ててやるし、少しは手伝ってやるから、まずはお前がやってみると良いさね」
「で、でもぉ……」

 しかし、そのプリムラは、透夜の提案に只渋い顔をするだけでしたが……

「…………来月から桜が咲くけど、その樹の下には死体が埋まっててな…… それは人間じゃなくて、魔族でも問題ないと思うんだよな……」
「な、なずなちゃん、一緒に頑張ろうね!?」
「う、うん……」
「透夜ちゃん、それ脅迫だと思うんだけど……」

 直後の透夜の言葉に、プリムラは全身に冷や汗を吹き出しながらなずなの手を取り、そんなプリムラになずなはどう答えるのか分からず、只々頷くのでした……

 次回に続く

 あとがき
 という訳で、なずな的には「親の前で一年の成長を披露する」と言う展開の、前半部分となりました
 まぁ、クリスマス編における唯と同じ展開、ともなりましたが、今回はひだまりの原作にあったエピソードを、ある程度使わせてもらってます
 んで、次が終わったら、4月バカになるかな? ホワイトデーは外伝の方で書けばいいし(何

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