それは、年度末テストの返却が終わり、なずなや乃莉達1年生が皆無事に進級ができる、とホッと一息ついた、その日の放課後の事でした……

「なずな? どーしたの?」
「あ、あそこ…… あの茂みの中……」

 お互い部活もお休み、という事で、乃莉とプリムラ、そしてなずなの三人は、とりあえずハチポチでお茶でも、という事になったのですが……
 校舎から出てすぐの茂みの中に、なずなはふと一つの違和感を覚えてしまいます

「んー…… 確かに変だよね 今冬だし、あんなに生い茂る訳がない筈無いのに……」
「あれって……」

 そんななずなの不思議顔に同意するように首をかしげる乃莉でしたが、プリムラの方はその茂みの中に微かに輝く金色に、何かしらの覚えがあるかのように、頬を引きつらせます

「とりあえず、酷く悪いことを考えてる訳じゃあ無いっポイ……って、プリムラ! 危ないよ!?」
「……だいじょーぶだいじょーぶ ……多分、『自称』稟お兄ちゃんのストーカーだから……」
「「土見先輩のストーカー?」」

 そしてプリムラは、乃莉の静止も聞かずに、いい感じで呆れたような表情でその茂みに近づきますが……

「プリムラ! 引け!」
「え?」

 直後、なずな達の後ろから叫び声が聞こえ…… 近くにあった大木の枝の上に溜まっていた雪が、プリムラの頭上に落ちて行ったのでした……!

「プリムラ! 大丈夫!?」
「うぅー…… 何とか、生きてる……」

 一瞬、その状況に驚くものの、それでもとりあえずプリムラの無事を確認しますが、とりあえず問題が無い事を理解し、ホッと胸をなでおろします

「それで、ツボミちゃんはだいじょーぶ?」
「は、はい、なんとか……」

 そしてその無事を確認されたプリムラは、彼女自身が押し倒して、大量の雪から守ったらしい、ツボミと呼ばれる神族の特徴である尖った耳の少女の無事を確認しました

「とりあえず、雪まみれになっちまったな ……二人共、俺のヒートフロアで暖めてやるからこっち来なさい」
「あ、風見先輩!」
「う、うん、わかった」
「なるほど、さっきの叫び声は風見先輩だったんですね」

 そして、彼女たちのうしろから歩み寄り、雪まみれになった少女たちを手招きしながら、透夜はちょっとだけ呆れたような表情を浮かべるのでした


  ひだまりメイドラプソディー 第七十六話 後輩?


「んで、ツボミは今回何故にあんなところにいたんだ?」
「……ツボミちゃんが彩井学園にまで来てやることは一つだと思うけど……」

 とりあえず、雪まみれになったせいで、濡れた制服を透夜の魔法で乾かした直後、透夜はツボミと呼ばれる、その明るさと純粋さが一目でわかる少女に問いかけます

「え、えっと、今日は稟お兄さんに用があった訳じゃあないんです」
「何?」

 しかし、プリムラはそのツボミの要件がある程度予想してた表情ではあった物の、直後のツボミの言葉で、透夜共々意外な表情になってしまいます

「えっとですね、前にお姉ちゃんが言ってた、料理研究部の副部長さんのなずなさんって人に会いに来たんです」
「お姉ちゃん? ……お姉ちゃんって、まさか……!」

 そしてそのツボミの説明に、なずなは自身の前任者である女性の姿を思い浮かべます

「多分、お前の想像通り…… こいつのお姉ちゃんはカレハ先輩だ」
「やっぱり! えっと、私がカレハ先輩の言うなずななの よろしくね、ツボミちゃん」
「は、はいっ!」

 そんななずなのイメージを、透夜が肯定し……
 そしてその透夜の言葉に、なずなは手を差出し、ツボミもそれに元気よく応えます

「じゃあ、ツボミは料理研究部に入るの?」
「はい! 今はお姉ちゃんみたいに出来ませんけど……」

 そんなツボミに、乃莉は問いかけ、相対するツボミはさらに明るい笑顔で答えます

「なずなは羨ましいですなぁ〜 こんな可愛い後輩が持てて〜」
「そ、そんな、可愛いだなんて……」
「もう、乃莉ちゃんったら……」

 そして直後の乃莉のニヤニヤ笑顔に、ツボミは慌て、なずなはちょっとだけ呆れたような表情になってしまいます

「ふむ、先輩になる不安や心配はなさそうだな」
「あ、そっか ツボミや憂が彩井に入るってことは、私達も先輩になるってことですよね」

 そんななずな達の態度に、透夜は少し安心したような、穏やかな笑顔を浮かべます

「そういやゆのはお前らが入学する数日前、二年になったくせに『私達以外の一年がルームメイトになるんですか?』って杏子さんや美佐江さんにいったらしい」
「……なんか、そんなゆの先輩、凄くイメージしやすいんですけど……」
「の、乃莉ちゃん、それちょっと失礼だよぉ」
「……なずなちゃんも結構失礼だと思うよ? ……多分」

 そしてそんな穏やかな笑顔で、なずなと乃莉の尊敬する女生徒の補足を語り、その言葉になずなも乃莉もプリムラも激しく納得するような表情になってしまいました、とさ

 次回に続く

 あとがき
 という訳で、前回一年の集大成、と書きましたが、その前に思いついたネタを一つアップという事になりました
 そして今回、SHUFFLEシリーズから、プリムラと双璧を成すロリキャラ・ツボミが初登場です(何
 缶蹴り編でもそうですが、彼女が憂(けいおん!)や姫(あっちこっち)なんかとどう絡ませるか…… それが問題だったりします(何

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