「よーし、次は野崎だ!」
「は、はい!」

 3学期に入ってから3週間…… 特に休みボケによる脱落者も出ることもなく、それと同時に目立ったトラブルもなく、皆一様に普段通り過ごしていたその日でした……
 そんな中、なずながたまたま鍛錬場を通ると、そこから普段以上に激しく厳しい声が響いてきます

「あぁー…… なずなー……」
「の、乃莉ちゃん、そんなに疲れてどーしたの!?」

 なずながその声を気にならない訳が無く、そこに行ってみると、最初に目に付いたのは、そこで激しく動いたことを雄弁に語っている乃莉の姿でした

「え、えっとね、再来週にはもうテストでしょ……? だから……」

 そしてなずなの問いかけに、乃莉は言葉と共に視線を鍛錬場に向けると……

「まだまだッ! もっと根性入れて打ち込んで来いッッ!!」
「は、はいっ!」
「か…… 風見先輩?」

 そこには、もう熱血教官と言わんばかりの表情で、奈三子と剣を交える透夜と……
 近くには、その透夜によって、乃莉同様グロッキーにされてブッ倒れている澪の存在がありました

「とりあえず、実技の面倒を、見てもらうように、お願いしたんだけど…… まさかここまで熱血だったなんて……」
「ま、そこん所は、紅薔薇撫子門下を馬鹿にするな、って所さね ……良くも悪くも」
「あ、律太さん!」

 そんな状況に、息も絶え絶えで事情を説明する乃莉でしたが、そこに後ろから、様子を見に来たであろう律太が、苦笑を交えて声を掛けるのでした


  ひだまりメイドラプソディー 第七十四話 年度末!


「でもまぁ、テストの対策をするのは、偉いもんだ ……うん」
「あ……ありがとうございます……?」

 そんなこんなで20分後…… 休憩がてら、なずなの持ってた水筒のお茶を楽しみながら、乃莉達は疲れを癒していました
 その中での律太の言葉と表情の微妙さから、乃莉達のリアクションも少々微妙なものとなってしまいます

「えっと……KN科に何か、あるの?」
「いや、年度末試験に関しちゃ、特に何もない」

  その律太の態度に、なずなは脳に浮かんだ疑問を率直に問いかけますが、律太は片手をあげて説明を始めます

「と言うよりも、KN科に限って言えば、年度末はそんなに成績に関係なかったりする」
「え、えぇぇ――!」

 しかし、その直後の律太のセリフにより、乃莉は思わず不平の声を禁じえることができません

「っと、説明が足りなかったな ……とりあえず、新聞でこの時期毎年読んだことがあるだろ?」
「あ……!」

 その乃莉の声に、律太は再び手を上げて、説明をつづけ、その言葉に乃莉だけでなく、その場にいた1年三人はあることが脳裏に浮かびます

「そ、KN科にとっては最も厳しい祭典…… 彩井学園 主催の武闘会と時期がやや被ってるが故に、さ」
「つまり、そこで今年度一年間の成果をちゃんと示せ、という訳ですか?」
「それだけじゃあないさ」

 その表情と奈三子の言葉に頷き……その律太の態度を引き継ぐように、今度は透夜が声を上げます

「その武闘会は、各国の王族や超有力貴族が見学に来てな…… その成績いかんじゃ、就職や出世に大きく左右される、ってわけだ」
「つまり、KN科はこの時期のテストの成績に関係なく、進学できるんですねぇ……」
「と言うよりも、正確にはむしろ1年間いつも通りちゃんとやってれば、KN科は特に問題ない、と言った方が正しいな」
「なんかいいなー」

 そして透夜の説明に、乃莉と奈三子は色々と納得したような表情になり、同時になずなが少々の羨みな表情になりますが……

「沢山の人が見てる中で…… もうヤダ…… 帰りたい……」
「澪ちゃん!?」
「……こいつ、大丈夫か? ……いろんな意味で」

 唯一違うのは、彼女…… 澪が隅に顔を向け、震えている、と言った所なのだろう……

 次回に続く

 あとがき
 という訳で、今回なんだかんだで本編の更新と相成りました(何
 まぁ、正確に言えば、外伝の盛大な前フリなんですけどね、今回は(何
 とりあえず、こういうやつをやってる以上、武闘会的な何かをやりたい、とは思ってたので、ある意味ナイスな……って違いますね
 ともかく本編の次回…… リアルの今の時期に重要なアレの予定です そろそろやんなきゃダメでしょうし

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