「……えー……っとぉ……」
「なずな、ここで考えてもしょーがないよ ……気持ちは激しく理解できるけど」

 さて、そんなこんなであっという間に1月1日……
 私たちの世界同様、この世界にも所謂「年末年始」と呼ばれる時期があり……
 流石に年越しそばと言う風習こそないものの、それでも新年独特の空気があり、なずなと乃莉は、その空気に導かれる様に外に出たのは良いのですが……

「で、でもどーやって声かけたらいいんだろう……」
「まぁ、そうだけど……」

 とりあえずは、ハチポチでお茶でも、と思って商店街に向かったその先で、二人は軽音部の4人を見かけたは良いものの……
 その中の二人、紬と澪の二人が顔を覆ってさめざめと泣いてる姿があり……
 それ故に、二人は彼女たちにどう声を掛けたらよい物か、と思案しています

「オウ、どーしたよ?」
「あ、風見先輩に佳澄美先輩!」

 そんな軽音部の面子に対して、どーしようかと悩む二人に、後ろから声がかけられます
 その声の方向を向いてみると、新年初のデートに出たは良いけど、軽音部の妙なオーラが夫婦(?)共々気になった、透夜と佳澄美の姿でした

「なるほど、琴吹があーなら、秋山もそーいう事なの、か?」
「……多分」
「「……風見先輩?」」

 そして、なずなと乃莉は、その二人に視線で説明すると、透夜はいろんな意味で理解したような表情になり、佳澄美もそれに大体の同意を示します
 そんな二人の態度に、なずなも乃莉も、首を傾げますが……

「とりあえず、お前らも女なら、あの二人の気持ちをわかってやれ ……おい琴吹、昨日の今日で外に出て、大丈夫なのか?」

 そんななずな達に、透夜は一言注意をし、軽音部の4人に声をかけるのでした……


  ひだまりメイドラプソディー 第七十二話 新年!


「まぁ、琴吹や秋山はともかくとして、去年は楓共々佳澄美が世話になった 今年もよろしく頼む」
「いっ、いえっ! こちらこそよろしくお願いします!」

  とりあえず、紬と澪を泣き止ませ、次に透夜はなずなに頭を下げ、そんな透夜になずなも下げ返します

「それと琴吹、ほんとに昨日の今日で大丈夫か?」
「はっ、はい、大丈夫です……」
「……? どーしたんですか?」

 その後の透夜の行動に、なずな達は顔を見合わせ、その中を代表して、唯が透夜に問いかけます

「ああ、昨日な…… 俺の従姉の母……つまり、伯母の家でパーティーをやったんだがな、そこにこの琴吹が親父さんと一緒に招待されたわけよ」
「パッ…… パーティー!?」
「パーティって、もしかして……」

 そして、その透夜の答えに、紬以外の5人が驚いたような表情を浮かべますが……

「つ、つまり昨日、ムギは風見先輩と一緒に、魔王や竜王を……」
「え? えぇ!?」
「……ごめん、それ、多分誰かが言うと思った つーか、現存してる魔王は、別の意味で撃破は無理だ」
「りっちゃぁん、訳が分からないよ……」

 直後、律が驚いてる物の、とりあえずボケをかますことにし……その言葉を掛けられた方は、もう訳が分からない、と言わんばかりの表情になり……
 透夜と澪はその言動をある程度予想してるような顔になるものの、なずなと乃莉は、只呆れる事しかできませんでした

「まぁ、それはそれとして、琴吹は立場上、いろいろ食わなきゃならなかった、という訳なんだが」
「ほ、ほんとにごめんなさい!」
「なんで平沢は琴吹や秋山に頭を下げるんだ?」
「うん、私もそれ知りたい」

 そして、透夜の説明に、紬と澪が泣いていた理由が、ある程度なずなにも理解はできますが……
 それでも、透夜の次の言葉にも、なずなには同意を示さざるをえなかったりします

「えーっと、実はですね…… 三日前から昨日まで実家にいたわけなんだけど……」
「……もしかして、世話の全部を憂にしてもらって、唯は三日全部ダラけてたとか……?」
「でも、それじゃあ唯ちゃんが謝る理由にならないよね……?」
「あ、そっか」

 そんな透夜達の疑問に答える唯でしたが、しかしその言葉になずなと乃莉の二人は、少々納得いかない表情になりますが……

「実はこいつ、その三日間だらけ続けてても、体重が増えなかったんだとよ」

 そして、その二人に、唯の代わりに律が説明すると、なずなと乃莉の表情が一変します

「……唯ちゃん、酷いよ……」
「うん、唯はほんとに酷いよ……」
「ほんと、平沢は酷いな ……それで太らないんだから、ある意味凄いけど」
「あー、とりあえず謝っとけ……」

 直後、なずなと乃莉は涙目になりながら唯を非難し…… 透夜は別の意味で感心し、唯はそんな二人に再び頭を下げるのでした……

 数時間後…… なずなと乃莉から話を聞いた如月とゆのとヒロが、その二人同様に憤慨するのでしたが……

「へっ! 筋肉を身につければ、痩せやすい体になるんだぜ! 太りたくなかったら、俺と一緒に筋肉革……」
「わかったからお前は黙ってろ」

 彼女たちに、筋肉革命と言う名の大魔王の影が覆いかぶさろうとしていました、とさ ……その影は謙吾によって潰されてましたが

 次回に続く

 あとがき
 という事で、今回でとうとう新年となりました 原作でこそあまり描写はされてませんが、なずなも(乃莉もですが)きっとこういう部分で悩んでる、と思ったお話でした(ぁ
 んで、今回の透夜の言うパーティは、当然魔王を倒すとかのパーディではありませんよ?
 原作ライブレードではともかく、こちらでの透夜は、父親が宮廷魔術師、母親が騎士とそれなりの家系に属してるので(ぁ
 その縁で、紬とはそれなりに仲が良い、と言う設定だったり ちなみに紬は、自宅から見て、学校が結構遠い場所にあるため、寮生活をしていたり〜

 んで、本編次回…… 3学期に入るべきか、それとももう一つ入れるべきか…… 如月で一つやってみたいネタはありますが、さて……

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