「ほう、副部長に任命か」
「そ、そーなの…… どーしよー……」

 なずなが亜沙からの料理研究部副部長任命から、1時間と30分……
 寮の食堂で、律太達を見つけたなずなは、その時に有った事を相談することに決めました

「まぁ、いーんじゃねーの? こいつだって、2年前は何だかんだで生徒会長をやってたぜ」
「上野五月蠅い」
「暫くエビフライね」
「ムグーッ! ムグーッ!」

 そんななずなに、上野はアバウト過ぎる答えを返し、律太に殴られて、リリに猿ぐつわをされた揚句、両腕両足を後ろに縛られ、その両方をさらにロープで繋げられてしまいます

「まぁ、そっちはともかくとして、問題は部長を選ぶことで悩んでるんだな?」
「う、うん……」

 そんな上野の状態が気にならない訳では無かったものの、なずなは今現在の悩みに集中しよう、と決め、それをとりあえず頭の片隅に追いやります

「えーっと、確か今の料理研究部の二年は……」
「蘇芳佳澄美先輩に、芙蓉楓先輩、神北小毬先輩に、小牧愛佳先輩だよ?」
「ああ、そーだったそーだった」

 そして、そんななずなの態度に、律太達も上野を一時無視し、その現状を確認すべく、なずなに問いかけます

「それで? なずな自身はどーしたい、と思ってるんだ?」
「え、えっと……実は、もう決まってるんだけど……えっと……」

 しかし、その問いかけに、なずなは思わず口ごもり、その身を固めてしまいます

「成程、なずなちゃんは、指名した人に責任を押し付けてしまうのに、ちょっと躊躇してしまってるのね?」
「……ッ!」

 そんななずなの態度の理由を、リリは正確に理解し、そんな彼女になずなは目を見開いて驚くのでした


  ひだまりメイドラプソディー 第六十三話 新任?(後編)


「ま、なずなの性格上、そう言うのは分からない訳じゃあないが……」

 目の前のなずなとリリのやりとりに、律太はため息混じりながらも、にこやかな笑顔で見守ります

「そうよな…… ちょっと意地の悪い事を聞くが…… 良いか?」

 そして、そんな優しい笑顔も一瞬のうち 不意に真剣な表情になり、なずなに問いかけます

「これからなずなが部長に選ぶ奴は、なずなに選ばれて、文句をぶー垂れる奴なのか?」

 その問いになずなが頷くのを確認した律太は、自身が聞きたかった事を、はっきりと問いかけます
 そして、その問いに、なずなは首を横に振ることで、その答えとします

「ま、そー言うことだ 俺も二年前に朝霧に生徒会の後釜として指名したが…… まぁ、色々問題はあったが、当の朝霧本人に文句を言われた事は無かったな」
「内藤君…… 確かに『当の本人』に文句は言われなかったけど……」

 律太の言葉に、リリは色々と言いたそうな表情にはなりましたが、そんな律太の言葉に、なずなの気持ちは固まったのでした……

 そして、次の日の放課後…… 料理研究部の皆の前で、なずなが次の部長となる人間を指名する時がやってきました

「なずな、どうやら決まった見たいね」
「……はい」

 そして、部室……家庭科室に入って来たなずなの表情を見て、亜沙は、なずなの決意を理解します

「それじゃあ、発表、お願いします!」
「神北小毬先輩、部長をお願いします!」
「うんッ! わかったよ〜♪」

 亜沙の指示に従い、緊張と不安の入り混じった表情で、次に部長をやって貰う人の前に立って、なずなが頭を下げると……
 当の本人……神北小毬は、普段通り……おっとりのんびり、その表情を見るだけで、とても安心する様な笑顔で答えました

「それじゃあ、小毬? 新部長として、挨拶をお願いね〜」
「は〜い! えっと、新部長となった、神北小毬です 頼りない所があるかもしれませんが、よろしくね♪」

 そして、亜沙に促され、小毬はなずな達に向き、笑顔で挨拶をします
 そんな小毬に、なずなは自分の選択が間違って無かった事を実感したのでした……

「どうやら、心配する必要は無かったようだな」
「その様ね」

 そんななずなを影で眺めていた律太達は、ホッと胸をなでおろしていたのでした、とさ……

 次回に続く

 あとがき
 と言う訳で、新部長決定編となりました〜 まぁ、二年生四人は、能力的には似たりよったりではあるのですが(ぁ
 ともかく、次回からは、暫く時期的な物となります どっちかって言うと、明るい物になるかと〜

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