プリムラ関係のゴタゴタが終わり、一週間とちょっとが立ちました
 そして学園祭の片付けそのほか諸々も終わり……冷たい風と白い雪が支配する冬になろうとするには、まだ少々早い11月……
 彼ら彩井学園の生徒達は、穏やかに勉学に、そして部活に打ち込んでいました

「なずな そこの玉ねぎをみじん切りにしてくれ」
「はーい リムちゃーん! フライパン、もう一つ大きいのも用意お願い〜」
「分かったー」

 それは彼女たち……料理研究部に所属する一年……プリムラと周防院空、そして美空なずなの三人も同じでした
 その三人の姿に、佳澄美や楓たちは、数日前に自分たちが行った行動が、決して間違っていない、と言う事を実感します

「こんにちは〜」
「あ、まなちゃん、今日はこっちなんだ〜」

 そんな中、生徒会と兼任の部員、小牧愛佳が、一枚の紙を持って入ってきます

「先輩〜 これ、生徒会からの通達です〜」

 そして、そんな愛佳から受け取った紙を見て、亜沙の表情が面白い位に真っ白になって行きます

「みっ! みんなッ! 今作ってるの一段落したら、集合! 集合ーッ!」

 そして、家庭科室の外にまで漏れるのでは、とつい心配になる位の大きな声で、部員達を集めるのでした……


  ひだまりメイドラプソディー 第六十三話 新任?(前編)


『引き継ぎ?』
「そーなんだよー……」

 そして十分後……亜沙の説明に、愛佳以外の部員の声が、見事なまでにハモりました

「いやー、私達、文化部でしょ? だから、文化祭が終わったら後輩に部長の引き継ぎしなきゃなんないのよ……」

 そして、亜沙の説明に、皆一様に納得した様な表情になります

「勿論、私もカレハも大学部に進学予定だから、特に部活に出ても特に問題は無いんだけど…… こう言うのは早めにやった方が良いですよ、って校則で決まってるんだよ」

 新しい部長も、早めに就任した方が慣れるのが早くなる、って話だからね…… そう言いた気な亜沙に、なずなはその言葉に納得しました

「つーことで、なずな 副部長、お願いね」
「あ、はい、分かりました!」

 そんなこんなと考えていたなずなは、突然に呼ばれ、驚きながらも答えを返すことに成功します

「…………………………………………副部長?」
「そう、副部長 ……カレハの後任」

 しかし、その言葉の意味を理解し、それをオウム返しの如き一言に、亜沙は笑顔で答えます

「むっ! 無理ですっ! 副部長なんて、無理ですっ!」
「えー…… じゃあ、なずな部長ね」
「もっと無理ですっ!」
「はぁ…… 部長さん、無茶苦茶だよ……」

 そして、顔を全力で左右に振るなずなと亜沙のやりとりに、小毬は呆れた様な声を上げてしまいます それと同時に、楓と佳澄美も、それに同意するように、頷いてしまいます

「だが、なずな……これは何事も経験だ 鉄も私に色んな事を試してみるように、と何時も言ってたぞ」
「うう…… なんか、変に他人事みたいな言い方……」

 しかし、そんなグダグダな空気の中、風は亜沙に同調する様な言葉を掛けます

「ね、なずな…… 私はなずなが一番向きだと思ったから、こーしたの ……ちょっとやってみてダメだったら、小毬達の誰かにお願いするから……ね?」
「……ねぇ亜沙…… なんか口調はともかく、言ってる内容が、妙に横暴な気がするのは、私だけ?」

 そんななずなに、亜沙は諭すように、お願いするように優しい口調で言いますが、そんな亜沙の態度に、プリムラは色々疑問を持ってしまいます

「分かりました ……とりあえず、やってみます」
「ん、お願いね ……えーと、それから……」

 しかし、そんなプリムラの呟きが聞こえたのか、それとも聞こえなかったのか……なずなの答えは、亜沙にとって色よい物でした
 それが嬉しかったのか(少なくともプリムラにはそう見えた)亜沙はさらにもう一つのお願いをしよう、と言う表情になります

「えっとね、なずなに次の部長さんを、二年の中から選んで欲しいなー……と、思うんだけど……」

 そして、直後の亜沙の一言に、その場にいた、カレハ以外の皆の体が固まります

「……ダメ?」
「あらあら♪」

 そして、亜沙は可愛らしく首を傾げながら、なずなに問いかけますが……その言葉に応えたのは、隣にいる、カレハと言う名の彼女の相棒だけでした……

 次回に続く

 あとがき
 と言う訳で、今回は、部長引き継ぎのお話です 本来なら、この学校ではもうちょっと早くやってたのですが……
 勿論、殆どの生徒が大学部に進学するこの学校では、この引き継ぎは八割方形式上の物なんですが、ね
 ともかく、時期部長は次回決定と言うことで〜

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