「と言う訳なんですが、手助けをお願いできませんか?」
「……ふむ……」

 数時間後、透夜と稟は、生徒会室に律太を始めとした、生徒会及び風紀委員の役員を集め、稟から聞いたことを伝えました

「そう言う事情なら、お前たちに付く必要性が高いな」
「ありがとうございます!」

 律太の言葉に、稟は只々頭を下げるしかありません
 しかし……

「しかし、だ」
「「?」」

 次の律太の言葉に、透夜と稟は目を合わせて、首を傾げます

「坂上、それから二木、適当な時になったら、マツリを縛り上げて、こいつの部屋の片隅に放置しておけ」
「えぇ!? 私ですか!?」

 そして、次の言葉に対しての智代と佳奈多が頷き、その二人のリアクションに対して、マツリは只驚くしかありません

「文句は言わせんぞ ……お前の親父は確か、神界において重鎮だった筈 そんなお前を俺達と一緒に行動させる訳にはいかないからな」
「あ、あのー……これからネリネ達にも、手伝いをお願いしに行こうと思ってんですが……」

 律太の一言に、透夜は自身のイメージする戦術を提示し、反論しますが……

「そりゃあ、お前さんのやり口を聞く限り、お姫さん達の力を借りなきゃならんのだろうが……そうでない限り、マツリみたいなのは極力関からわせ無い方が、いいんじゃないのか?」

 下手すっと父親と戦わなきゃならんのだろう……? 律太の一言に、透夜と稟はおろか、マツリも只頷くしか方法は有りませんでした……


  ひだまりメイドラプソディー 第五十八話 お別れ…?(後半)


「私が、魔王が発案した魔法技術向上の素体の一つだ、って言うのは、透夜や稟お兄ちゃんから聞いてるよね……?」

 透夜や稟が律太達と共に、何かしら不穏な行動をしているその頃――
 なずな達は、プリムラが何処かに行く、と言うことの理由を聞いていました

「それでね、この前の魔法の成功で、私の魔力のレベルが一定のレベルまで達したから、って判断されたらしくて、私は魔界に帰らなきゃならなんだって」
「そ……んな……」

 そして、その説明に、なずな達は只ショックを受けるしか無く、言葉を失ってしまいます

「ヤだ」

 しかし……一人だけ……
 唯だけは、友達との別れを立った一言の言葉にし、自分たちの気持ちを、プリムラに伝えます

「リムにゃんとお別れなんて、ヤだ」
「唯ちゃん……」 

 その、意外なほどはっきりとした唯の言葉に、プリムラは勿論、なずな達も驚いたように彼女を見つめます

「リムにゃんが、どうしても帰んなきゃならないって言うなら、私も魔界に行く!」

 唯の決意に満ちた言葉に、律と紬もそれに同意し……残りの3人……澪と乃莉、そしてなずなも控えめながら、それに同意します

「ありがとう……」

 そして、そんななずな達の言葉に、プリムラは笑顔で応えました

「それでも、ごめんね……」

 しかし、その直後の一言に、なずな達はプリムラに詰め寄ろうとしますが、しかしその体は指一本動かすことが出来なくなっていました

「あんまり、こう言うことはしたくないけど……」

 プリムラの一言に、なずな達は自分たちの周りに、薄いながらも霧が立ちこめているのに気付きました
 それが、対象の動きを縛る、水属性の魔法・バインドミストであることに、律は一瞬で見抜きますが、それでもその束縛から抜ける事が叶いません

「何で、何でここまでしなきゃならないの? もう、絶対あえなくなるんじゃないんでしょ?」

 プリムラが、これから自分たちになにをするのか…… なずなには到底想像が出来ませんでした
 それでも、思わずそう叫ばずにはいられませんでした

「マナよ、我が求めに応じよ……」

 そして、プリムラは己の感情を押し殺すかの様に、魔法の詠唱を始め……

「リムちゃん、ダメぇ―――!」

 そんなプリムラに、なずなは叫びますが……
 直後、なずな達は、頭の中に、何かしらの違和感が出てきた様な錯覚に陥ります

「なずなちゃん、みんな、本当に、今までありがとう……」
(え……何……?)

 その言葉の直後でした なずな達のその違和感がはっきりしてきたのは……

(この子、誰だっけ……?)

 そう、目の前の女の子が、とても大切な存在だった筈なのに、それがはっきりと思い出せなくなったのです

(そう、私はこの子を知っている…… 知っている筈……)

 そして、その女の子の事を思い出そうとしますが、それをしようとすればするほど、頭の中の違和感が強くなっていきます

「皆、今の魔法で私の事は忘れちゃうと思うけど…… 私、絶対に忘れないから……」
(なんで、この子はこんなに哀しそうなの……ッ?)

 涙を堪え、笑顔でいようとする女の子に、なずなはどうしようのないもどかしさを覚えますが……
 何時しか、なずな達の脳内は、光に溢れ、そのまま意識を失っていくのでした――

 次回に続く

 あとがき
 と、言う訳で、よーやく本編更新です いや、我ながら苦労した苦労した(汗)
 まぁ、それでも色々ツッコミどころとか、予想出来る部分とかはあるんでしょうが、あんまり細かいことは言わないでくれると、助かります(汗)
 あ、ちなみに次回から、主人公・なずなは暫く登場しません スラムダンクやダイの大冒険だって、主人公が出てこない所があったでしょ?(ぁ

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