由佳里に案内され、なずな達がその場所に付くと、その場は物々しい雰囲気で溢れていました
 壁際に奏と乃莉の二人がいて、それを囲むように十人はいるであろう上級生の女子生徒が立っていました

「乃莉ちゃん! 奏ちゃん!」
「あ、なずな!」
「なずなちゃん……」

 しかし、奏はなずなだけでなく、乃莉の出現すら予想していなかったのか、頭が働いていないかの様な表情になっています

「奏ちゃん、大丈夫? 保健室行こ、保健室」
「は、はい……」

 そして奏と乃莉の二人を囲んでいた生徒達を無視して、奏の腕を掴んで、なずなは無理矢理にでも保健室に連れて行こうとします
 奈三子とそんななずなの行動を予測してたかのように持っていた剣を鞘から出し、如月も「もしもの為」と奈三子と澪に(無理矢理)持たされたモーニングスターを持ちあげます

「ちょ、ちょっと! 何しようとしてるのよ!」
「それはこっちのセリフですよ なんで奏にこんな真似をしてるんですか?」

 そんななずな達の行動に慌てた女子生徒は、なずなの腕を掴んで止めようとしますが、その生徒の肩に奈三子の剣が置かれ、結局何も出来ません
 しかしなずなもなずなで、他の女子生徒に囲まれて結局身動きが出来なくなってしまっています

「よくも邪魔してくれたわね! こうなったら、まとめて……」
「ほう……頭数を大量揃えて、少数相手にどうしても自分の意見を押し通そうってのか……それなら、こっちも考えがある」

 そんな時でした
 その場にいた全ての者が、声がした方向を向いていると……
 俺はド○えも○じゃないから、と言う理由でなずなに力を貸してあげない、と言っていた筈の、風見透夜その人でした!


  ひだまりメイドラプソディー 第五十一話 いじめ?(後半)


「ちょ、ちょっと! アンタには関係ないでしょ!」
「そうだな……そこの一年共に任せておきゃ、問題無いんだろうけど……」

 その女子生徒が喚き散らす一言に、透夜はその不機嫌さを隠そうともせずに答えます

「やっぱ、ムカつくんだよな……お前らみたいなのが、同じ紅女史の生徒だってのが、さ……」

 そして、その視線を、一部の女子生徒……KN科の二年らしき女子に視線を向けます
 その一言に、なずな達は理解します 同じKN科二年として……そして、同じ紅薔薇撫子の生徒として、彼女達の行動が許せなかったのか、と
 そして、彼女達は同時に思います アンタどんだけ紅薔薇先生尊敬してんだよ……と

「だから、やっぱ自分で潰す」
「それまでだ」
「まったく……急ぎ過ぎよ」

 でも、やっぱ止めた方がいーんだろーなー……透夜の手から出てる魔法陣と、そこから溢れる雷に、なずなと乃莉は思いますが……その行動前に、透夜の両肩に一つずつ手がおかれます
 その手の正体は、彼と同じKN科二年の女子生徒であり、生徒会役員の一員である坂上智代と、同じく風紀委員の二木佳奈多でした
 その二人の後ろには、彼女達を呼んで来た澪と、彼女にとって軽音部以外での一番の親友である和、そして風紀委員長の瑞穂の存在が有りました
 奏をいじめていた女子生徒達も、瑞穂を見つけ、その表情は少しばかり青ざめます

「皆、そこで何をやってるの?」

 瑞穂はゆったりとした口調で、その女子生徒に詰問します そのゆったりとした口調が逆に恐ろしさを感じます

「自分達のやってる事が本当に正しいと信じてるなら、もっと堂々と出来る筈だよね?」

 瑞穂の問いに答えない……いや、答えることが出来ない女子生徒達に対する彼のその一言に、透夜は思わず「きっついなー……」とは思いますが、それでも瑞穂の言ってる事が正しいのも事実なので、口を挟みません

「わ、私達……その……」
「黙りなさい!」

 それでも言い訳を続けようとする女子生徒達に、ついに堪忍袋の緒が切れたのが、瑞穂の声が高らかに響きます

「僕の言ってる事が理解も納得も出来ないと言うのなら、仕方ないよね……透夜」
「はっ……はは、はいっ!」

 その一喝に怯えるような表情の女子生徒達を無視し、瑞穂は透夜に向き直ります
 透夜は透夜で、自分に声がかかるとは思って無かったのか、思わず飛び上がって、変な声が上がります

「後は君に任せるよ 彼女達や校舎がどうなろうと、構わない……好きなように切り刻んでも良いし、黒コゲにしてもいいからね?」
「……はい……」

 瑞穂の一言に、只素直に返事をするしかない透夜ではありましたが……
 それってつまりネリネとおんなじ事をすれと言いたいんだよな……と、つい数分前に自分がそれをしようとしていた事を忘れ、つい思ってしまうのでした

 一方その頃……

「全く……どいつもこいつも俺に仕事を押しつけやがって……」
「気持ちは分かりますが、過保護は駄目ですよ? ここはなずなさん達を信じて」
「かもしれんがな、マツリよ……もしかして俺、尊敬されて無いとか?」
「気のせいですよ ……多分」
「多分かよ! 多分なのかよ!」

 なずなの事が一番心配なのに、智代や和に仕事を押し付けられ、生徒会業務をする羽目になった律太が、マツリやささらと一緒に業務をこなしていました……とさ

 次回に続く

 あとがき
 学校トップクラスの問題を扱った今回ではありますが……私の腕では、コレが限界でした(ぉ それはそれとして、オチの律太さんは余計だったかな?
 ともかく、次の本編は学園祭です 勿論澪のアレも有りますよ? ……その予定ではありますが……

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