「あれ? 風ちゃん?」
「む、なずなとプリムラか」

 稟達……と言うより、緑場と向阪から逃げたなずな達、とりあえず部活に向かう事にしましたが……
 その部室である家庭科室の前で、風と会いました

「どうしたの?家庭科室にご用?」
「うむ、奏が料理研究部の部室がここだと言ったのでな」

 風のその一言で、なずなとプリムラは主に精神的な意味でその時間を止めてしまいます

「えーっと……あのー……風ちゃん、もしかして料理に興味が、ある……の?」
「? 変か?」

 思いっきり意外だ、と言わんばかりのなずなとプリムラの表情に、風は少々心外だと言わんばかりの表情になります

「えっと……風ちゃんのイメージに、ちょっと合わなかったから……」
「私は料理は出来るぞ」

 そんななずなに同意するようなプリムラの言葉に、風は声だけは普段通りの声で答えます

「疑うなら、これから証明しよう 鉄平仕込みの私の腕をな」
「そ、それなら、私も楓お姉ちゃんとシアお姉ちゃんと魔王仕込みの腕を見せてあげるもんッ!」
「り、リムちゃん……変に対抗しちゃ駄目だよぅ……」

 その鉄面皮とも言える風の表情からも分かる自信に、プリムラは豹を連想するような表情で、対抗心を露わにするのでした


  ひだまりメイドラプソディー 第四十七話 完璧主義?


  そして二時間後……
 プリムラとなずなを始めとした料理研究部の面々の前には、豪勢な料理の数々が鎮座していました
 それを目にしたプリムラの「負けた……」と言いたげな表情に、風は「どうだエッヘン!」と言わんばかりの表情になっています

「な、なんで!? どーして!?」
「師匠の差だろう?」

 風の作った物を次々と胃に収めて行きながらも、プリムラは信じられないような表情で風に問い詰めて行きます
 それに相対する風は、只単純に鉄平の動きを見ていただけなのに、あたかも鉄平から技術を学んだかの様な表現で、偉そうにふんぞり返ります

「風ちゃんに料理を教えた人は、相当の達人です……私にも教えて欲しい位です……」
「楓先輩も、ですか? 楓先輩の作ったのは、部で一番美味しいのに……」
「ふふっ お母さんや亜麻さんに比べれば、私の作った物なんで、まだまだですよ?」
「と言うより、なずな! 部で一番ってことは、ボクよりも楓の方が美味しい、って事!?」
「え!? えっと、その……」

 楓に対するなずなの一言に、亜沙は詰め寄るようになずなに近づきます

「じゃあ、二番目は誰ですの?」
「えっと……佳澄美先輩……かなぁ……?」
「うがぁ〜!」

 カレハの質問に、真剣な表情で答えたなずなでしたが、直後に亜沙が叫びあがります

「彼氏か!? 彼氏がいるから、こんなに美味いのか!? 胸が大きいのも腰がくびれてるのも、全部男がいるからなのか〜!?」
「ふ、ふぇぇ〜 部長さんがご乱心だよぉ〜」
「小毬先輩、落ち着いてください……」

 いきなり暴れ出した亜沙を宥めるために、一時その場は騒然するのでした……


「と、ともかく、リムちゃんも風ちゃんも、この料理研究部に入部希望ね?」
「ああ」
「はーい」

 数分後、なんとか落ち着いた亜沙は、風とプリムラの二人から入部希望の紙を受け取りました

「でも、なずなじゃないけど、風ちゃんがこの部を選ぶなんて、正直意外ね……どうしてか教えてくれる?」
「私がかの孤児院に入った時、最初に食べた鉄平の手料理の美味しさが忘れられない」

 亜沙の問いに、風は嫌な顔をする所か、真顔で答えます

「鉄平は、自分が作った物よりも、もっともっと美味しい物があると言う ならば、私はそれを知りたい すべての食を制して、その言葉が本当か、確かめたい」

 言葉を終えると、風は自分の言ってる事は正しい、と言わんばかりに頷きます

「ねぇ、リムちゃん……風ちゃんってもしかして、完璧主義者なのかな?」
「……多分……」

 そして風の静かなる闘志に、なずなとプリムラは、それなら納得だ、と言う顔になるのでした

 そして数日後……

「そうか……佳澄美は部で二番目か……」
「と、透夜ちゃん、私は透夜ちゃんにとって一番なら、それで十分だから……ね?」

 何処から聞いたのか、なずなの言葉を思いっきり気にして、教室の片隅でいじける透夜の姿が確認されました……とさ

 次回に続く

 あとがき
 と言う訳で、今回は風&プリムラ入部編です プリムラをもうちょっと活躍させるべきだったか……?
 次は……律太さんの外伝……かな? ガーデンバードは……まだだな(ぉ

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