「今日はよく来たね、なずな……」
「え? えぇ!?」

 7月に入り、外の暑さが本格的になったある日の放課後……なずなが所属している料理研究部の部室である家庭課室に入ると……
 同じ料理研究部に所属している、時雨亜沙、カレハ、芙蓉楓、蘇芳佳澄美、神北小毬、小牧愛佳の六人が一つのテーブルに集まり、各々が顎に手を当て肘を付き、真剣な表情をしているのです

「あ、あの!?皆さん、どうかしたんですか!?」
「なずな……再来週から、何が始まるか……知ってる?」
「え!?えぇっと……あ!」
「気付いたようね」

 なずなの表情に、亜沙はその(珍しく)真面目な表情を、ニヤリと嬉しそうに歪める
 そう……それは一週間前の朝、なずなだけでなく、彩井学園の全校生徒が各々の担任教師から言い渡された事……
 それは……

「テスト、ですね!」
「そう、テスト! 我らが料理研究部は、伝統的にテスト期間に入ると、実技試験の勉強に入ります! はいっ、拍手!!」

 亜沙の一言で、なずな以外の5人が手を叩く……控えめにだが

「もう、みんなノリが悪いぞ〜!! 元気よく行ってみよ〜〜!!」
「そ、それより、聞いていいですか?」
「どうぞどうそ〜」
「えっと、料理研究部で実技のテスト勉強って事は、やっぱり料理とかですよね? でも部長はTH科だから……」
「その心配は御無用です!」

 なずなの質問に、亜沙は仁王立ちになりながら、ふんぞり返ります その様子に、なずなはつい某軽音部の部長を連想してしまいます

「私にはノートを貸してくれる、頼りになるクラスメイトがいるのですよ! 棗君とか!まりやとか!紗英とか! MG科だけど圭さんや紫苑さんとか!」
「ね、ねぇ、カエちゃん、小鳥遊先輩と紫苑先輩がどうやってTH科ノートを取るんだろうねぇ?」
「さ、さぁ……やっぱり魔法でなんとかするんじゃないんですか?」
「圭さんと紫苑さんだからねぇ……」
「圭先輩と紫苑先輩だもんねぇ……」

 今にも「アーはッはッはッは!」と笑いだしそうな亜沙ですが、小毬、楓、佳澄美、愛佳の二年生四人は、MG科の上級生の顔を思い浮かべて、戦慄を覚えます
 ちなみになずなは、その二人の名前から「あぁ、雨が降った時に奏ちゃんをてるてる坊主にした二人か」と、その二人を思い出していましたが

「それより亜沙ちゃん、早くなずなさんと勉強を開始しましょう!」
「そうだったそうだった……なずな、これから暫く勉強漬けになるけど、付いてこれる!?」
「は、はいっ! 頑張りますっ!!」
「それじゃあ、今日の部活動……開始っ!!」

 亜沙の一言で、なずなは教科書を取りだそうとしますが……

「なずなストップ!実技の勉強だから、教科書要らない〜〜!」
「ハッ!そ、そうでした〜!」


   ひだまりメイドラプソディー 第二十六話 テスト勉強


「うん、コレは凄く美味しいよ、なずな!」
「ホント、デザートも楽しみだよ〜」
「なずな殿、感謝いたすぞ〜」
「あ、ありがとうございます……」

 結局部活で料理を作りすぎたなずな達でしたが、食べきれなかった分は顧問宇佐美及び顧問代理笹本、そして軽音部や美術部等に持って行ったのですが……
 それでも作った料理を全て処理しきれなかったので、各々の部屋に持ち帰ることにしたのです

「この調子だと、テストは特に問題無いみたいだね、なずなちゃん!」
「えっと、実技はこのまま行きたいんですけど、後筆記があるので……」
「あ、そっか〜……私は逆に実技が不安なんだよねぇ〜 美術部は筆記を優先的に勉強させてるから」
「そうだよね〜 宮ちゃんなんか、勉強中何時も眠そうにしてたよね〜」
「ゆ、ゆのっち!それは言わないって約束〜!」
「クスクス……」

 宮子の一言で、その場には楽しそうな笑い声が響きます

「あ、ゆの先輩、筆記で聞きたい事があるんですけど……」
「え?どこどこ?」
「えっと、ここなんですけど……」
「さて、私は奈三子さんの所に行ってくるよ」
「私紗英さんとこ〜」
「あ、二人ともごめんね〜」
「すみません……」

 立ち上がった二人に、なずなとゆのは頭を下げるのですが……

「乃莉っぺ、私とデートは〜?」
「いやいや、それは無いですよって」
「え〜 乃莉スケさんは何気に酷いですな〜 ゆのっちに振られた私を慰めてよ〜」
「いや、まずはなずなに振られた私を慰めてくださいよ〜」

 と、二人の言葉が聞こえてたのか聞こえて無かったのか、乃莉と宮子は不穏な言葉を残して部屋を出て行ってしまいました

「「……………………」」

 そして部屋の中には微妙な空気が流れたのですが……

「勉強、しよっか?」
「お願いします……」

 結局二人は、勉強に逃げる、と言う選択肢を撮らざるを得なかったのです……

 そしてテスト前日……軽音部では……

「あ、テスト勉強忘れてた」
「りっちゃんも? 私も忘れてた〜」
「ちょ……おおおおぉぉぉぉぉぉぉい!!」
「あらあらあらあらまぁまぁまぁまぁ♪」
「ムギは何でそんなうれしそうなのぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 澪の絶望的な絶叫が響いていました、とさ……

 終わり

 あとがき
 二十五話のあとがきでネタが降りてこなかったら、夏休みに入る、と書きましたが……はい、見事に降りてきました てか、普通はコレを思い浮かばなきゃ駄目なんですけどね〜
 次は本番をすっ飛ばしてテスト結果となり、二十八話にイチロー!で出したいキャラを出してから夏休み、と言う展開になる予定です

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