何度も何度も言ってウザいと思われるかもしれませんが、ここは剣と魔法と魔物が支配するファンタジー世界です
 そんな世界にある彩井学園ではあるが、我々の世界にある学校同様、生徒会や風紀委員と呼ばれる組織は当然ながら存在します

「はぁ……」

 その生徒会が使っている教室の一角にて、一人の眼鏡をかけた女子生徒が溜息を吐いています
 彼女はKN科二年の坂上智代と言い、基本的には真面目で誠実、生徒会に入るために生まれて来たのではないかと思わずにはいられない女の子です
 しかし女の子らしさを妙な方向に曲解してるフシがあり、そのギャップを周りの人間に感じさせてしまったりする部分も有ります

「智代、いい加減、未練と言う物よ」
「む、分かっているのだが……」

 その智代をたしなめるのは、智代と同じKN科二年の曽我部(そかべ)恵と言い、智代と同じく基本的に真面目で誠実な女の子です
 彼女は一度何かにハマるとトコトン突き詰めていかなければ気が済まない性格ですが、それが悪い方向に行かなければ良い、と周りに心配されています

「さあさあ皆さん、おしゃべりはそこまでにして、お仕事の続きをお願いしますね」
『は〜い!』

 あれだコレだとお喋りを楽しみ周りを、手を叩いてたしなめるのは、ME科三年で、生徒会長の久寿川(くすがわ)ささらです
 パッと見は清楚な美人さんで、会長と言う立場から来るストイックさと両生類を愛するが故の天然的奇行が妙なアンバランスさを醸し出しています

「会長、ちょっと良いですか?」

 そんな時、生徒会室のドアが開き、一人の女生徒が入ってきます

「あら、二木さん どうかしましたか?」
「はい、ちょっと智代を、貸してくれないでしょうか?」
「私か?」
「ええ、あなたにとって、悪い話じゃないと思うんだけど?」

 智代に応える佳奈多は、少しだけ意地の悪い表情を作っていた


   ひだまりメイドラプソディー 第十二話 設立!(後半)


 場所は変わって音楽室 ここでは一人の女生徒が、周りの生徒達に思いっきり睨まれていました

「だあ〜かぁ〜らぁ〜!悪いっていってんじゃんかぁ!」

 彼女は田井中律 様々な理由があって、軽音部設立の野望を持っています
 しかし細かい作業を苦手とする性格や、様々な事情が重なり合って、未だ軽音部を分としての活動を認められていないのです

「全く律は……自分が出すって言った以上、今日はしっかり出してもらうからな」

 そんな律を叱りとばすのは、彼女の幼馴染の秋山澪と言い、律に巻き込まれる形でこの彩井学園に入学する羽目になり、部活も大体同じ理由だったりします

「生徒会だが、少し失礼するぞ」

 律と澪の態度に、なずなや唯がちょっとだけ呆れた表情になってるそんな時、一人の女生徒が音楽室に入ってきます

「せ、せ、せ、生徒会が、な、な、なんの用事でしょうか?」

 入ってきた女生徒……智代の少々上から目線的な言葉に、律の声は思わずドモってしまいます

「部活申請用紙を持ってきた これに必要事項を書いて今すぐ出せ、さぁ出せ、キリキリ出せ」
「智代先輩、借金取りじゃないんですから……」
「あ、和ちゃん!」

 呆れたように智代にツッこむ声に、なずな達は智代の他に二人、生徒会役員と思しき生徒が入ってきたのに気付きます
 片方はご存知唯の幼馴染の真鍋和 もう片方はなずなと同じ料理研究部に入ってるME科二年の小牧愛佳です

「ま、まぁ、ともかく部長はこれに必要事項を書いてくれないか?」
「わ、分かりました……」
「さて、問題は顧問だな…… 和、山中先生に一時的に顧問になってくれるように頼んでくれないか?」
「はい、分かりました」

 真面目な話になったとたん、さっきまでの呆れ顔は何処へやら……和は真剣な表情になって音楽室を出て行こうとします……が

「和ちゃん!」
「なぁに、唯?」
「ありがとう!和ちゃん!」
「親友でしょう?当然の事をやってるだけよ」
「それでも、ありがとう!」
「……部活、頑張んなさいよ?」

 親友・唯の言葉に素っ気ない言葉ながらも、顔をやや赤くしながら和は今度こそ音楽室に出て行ってしまいます

「さて、イレギュラーながら部活新設の場に立ち会えたことを、お前達に感謝するべきだが……部長は律、お前で良いんだな?」
「は、はい……」

 申請用紙を眺めながら、智代は真剣な表情で問いかけます

「許可なしに今日まで音楽室を使った罰は受けてもらわねばならんな」
「は、はい……その通りです……」

 智代の言葉に、律は只頷くことしか許されません 智代の言ってることに一理あるからです

「罰として、今日と明日を使って……お前達が使う音楽室と、その準備室の掃除をしてもらう」

 その智代の言葉に、軽音部の4人は思わず笑顔になります 実の所、掃除は数日前から始めていたからです

「愛佳、悪いが料理研究部に言って、お菓子を中心とした食べ物をある程度分けてもらって構わないか?」
「りょ〜かい!なずなちゃん、作るの手伝ってね〜!」
「は、はい!」

 こうして、彩井学園に、軽音部が正式に設立されたのである!
 ……しかし、この日の行動が、軽音部にとって、そして山中さわ子と言う女教師にとって、大きなプラスとなる出来事が起こる事を……誰一人として気付かなかったのです!

 次回に続く

 あとがき
 はい 軽音部設立編、これにて終了です 顧問云々は次回に持ち越しですけどね(苦笑)
 にしても内容が内容だけに主人公なずなの活躍が少なかったなぁ……(笑)
 今回の新キャラは生徒会メンバーになるでしょう 曽我部先輩の澪に対するストーカーっぷりはまだ出せません だって澪と会ったことも無いですからね(笑)

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