「う〜〜〜〜〜…………う〜〜〜〜〜〜…………」
「うう…………」

 入学してから二週間とちょっと…… 剣と魔法のファンタジー世界に創設されている彩井学園ではありますが、我々の世界同様部活動と呼ばれる物が存在します
 そんな日の放課後、なずなは机に突っ伏して何度も唸ってるクラスメートを二人発見します
 その生徒の片方、名は「平沢唯」と言い、この学園に入学する前までは、家事その他を妹にまかせっきりだったと言うのです
 そしてもう片方は初授業で担任宇佐美の存在を思いっきり忘れてくれた空だったりします

「空ちゃん、唯ちゃん、どうしたの……?」
「あ、なずなちゃん……」
「なずなちゃぁ――――ん!」

 声をかけてなずなの存在に気付いた二人ではありますが、唯はその瞬間問答無用になずなに抱きついていきます

「なずなちゃん!どうしよどうしよどぉしよぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜!」
「唯ちゃん、どうしたの……?」

 唯の暴走(?)に若干引きながらもなずなは何とか返しに成功します

「だってぇ〜〜〜!部活どこに入ればいいのか分かんないんだよ!」
「……どうしよう……」

 しゅん……と俯く空とは対照的に、思いっきり暴走しまくってる唯に、なずなは「本気で悩んでるのかなぁ?」とちょっとだけ失礼な事を考えてしまいます

「こ〜ら唯、なずなが困ってるでしょ?」
「「あ、和(のどか)ちゃん!」」
「こんにちは……」

 暴走しまくってる唯にやんわりと注意する、眼鏡を掛け、KN科の象徴であるシスター服を着た女の子は「真鍋和(のどか)」と言い、ここ彩井学園に入学すると言う唯が心配で一緒に入学することにした優しい女の子だったりします

「それで、どーしたの?」
「あ、うん……私達、まだ部活が決まって無くって……」
「えぇ!?だってもう二週間経ってるのよ!?」

 なずなの答えに、和は心底驚きましたと言わんばかりの表情になります その和のリアクションに空と唯は涙目になってしまいます
 そんな二人の態度に和は深い……深いため息をひとつ吐いた後……

「こうやってニートが出来あがっていくのねぇ……」
「ぶかつしてないだけでにーと!?」
「の、のどかちゃん、それはちょっとひどいとおもう……」
「酷いも何も、目標のあるなずなはともかく、唯と空は部活位しないと駄目だと思うけど……?」

 三人の心底驚きました、と言う表情に、和は只溜息を吐く事しか出来ませんでした


 ひだまりメイドラプソディー!! 第八話 部活!(前篇)


「それで、どこにするつもりなの?」
「私、文化部がいい……」

 そんなこんなで三人は部活動で活発な声が響く校内を散策することにしたのだが、真っ先に意見を出したのは意外な事に空だった

「文化部か〜 ……たとえば?」
「……卓球部?」
「空ちゃん、卓球は運動だよぉ……」

 空が真っ先に出した部活動ではあったが、なずなのツッコミに「おお確かに!」と言いたげにポン!と手を叩く

「空ちゃんが好きなのはどんなことなの?」
「絵が好き……描くのも、見るのも……」
「じゃあ空ちゃんは美術部で大決定だ!いーなぁ……私、なにが良いかなぁ……?」
「でも……」

 空にちょっとだけ羨望の眼差しを向ける唯でしたが、空は何かを言いたげな態度になります

「顧問の先生、怖い人や変な人だと嫌……」
「「たとえば?」」
「事ある毎に『ざます』とか言うと嫌……」
「「確かに……」」
「あと怒ると『キ―――』って叫ぶの……」
「「うわぁ……」」
「それにグラウンド100周とかさせられるの……」
「100周も!?」
「空ちゃん、それは体育会系の部活だと思う……」

 途中まではなずなと唯の賛同を得られた空ですが、最後の一つは結局二人にツッコミを入れられる空でした

「だけど文化部って吹奏楽と美術以外思いつかない……」
「そうだよねぇ」
「ブラスバンドって言うのもあるけど、吹奏楽とあんまり変わんないよね」
「あれぇ〜っ!?なずなちゃんに空ちゃんに唯ちゃんじゃないですか〜っ!」

 あれだコレだと悩む三人に唐突に声を掛けられます その方向を見ると、その身よりは大きなイーゼルを抱えた野田でした

「どうしたの?こんな所で」
「うん、部活、どこにしようか迷ってて……」
「そうなんだ!美術部、見てく? ……と言ってもあたしとキョージュと乃莉と奈三子さんしかいないけど」
「?如月ちゃんと友兼さんは?」
「あー……如月ちゃんね……」

 なずなの疑問に野田は一言だけ呟いて黙ってしまいます その態度に三人の背筋に何かしら恐ろしい物が伝わって来ます

「如月ちゃん……あんなに素敵な女の子だったのに……」
「野田殿、下らないジョークは身を滅ぼすと思うが」
「友達を脅かすネタにきさちゃんを使うのはどうかと思うわ〜」

 野田の後ろから素敵な声が聞こえて来ると、そこには雅と素敵な笑顔をした女子生徒がいました
 彼女はMC科3年で名を水渕瑞佳(みずか)と言い、如月をこの学園に入学するきっかけを与えた幼馴染のお姉さんです

「も、もう〜!キョージュもぶち先輩も〜 ちょっとしたジョークじゃないですかぁ〜♪」

 雅と水渕に振り向いて言い訳を開始しつつ後ずさりしますが、途中で何かにあたり、そこで野田が振り向くと、そこにはなずながいました

「まぁ、脅かすのはコレで終わりにしましょうか、水渕殿」
「そうね〜 でも次やったら……」
「ガタガタガタガタ」

 水渕の笑顔に、野田はブルブル震えだす それだけ水渕のオーラが凄すぎると言う事です

「きさちゃんはさっきサッカー部の方に行くって言ってたわね〜 気になる男の子でも居るのかしらね?」
「友兼殿は兄上殿に無理やりスカートをはかせようとしたが、失敗して退却中だ 風紀委員や生徒会に見つからねばいいが……」

 野田のリアクションに満足した水渕はなずな達に向き直り、優しい笑顔で答えてくれます
 雅の言葉には、思わず苦笑する三人だったりします

「あの……美術部の顧問って……」
「?空殿、美術部に入りたいのか?」

 雅の問いに空は「うんうん」と態度で答えます その態度で雅は空の気持ちを全て理解したような雰囲気になります

「春日野先生と吉野家先生だ 普段出てるのは春日野先生だが、たまに鶏を枕にして寝てる場合もあるがな」
「じゃあ、私、美術部に入る……」
「そう、じゃあ、入部届けを貰ってくるわね?」
「……お願いします〜」
「いいな〜 空ちゃん真っ先に決まってさ〜」

 水渕と空を見送りながらも、唯はぶーぶーと文句を垂れてしまいます それだけ空の部活が決まった事が羨ましいのではありますが

「部活を決めたいのならば、入り口近くの掲示板に色々あった筈だが……?」
「「それだっ!」」

 叫ぶと同時に二人は走り出します 雅は驚いた表情で、只その二人を見送るだけでした

 次回に続く

 あとがき
 唯&和とぶちさんが初登場した今回、部活に入部する話でしたが、前後編で行かせてもらいます
 顧問の先生がなんだかんだってのは、スケッチブック第一巻を参照……(笑) ザマスとか言う先生がいたら素で嫌ですよね?

inserted by FC2 system