彩井学園も普通の学園と同じで、当然ながらお休みの日があります
 休日の過ごし方も人それぞれで、部屋で寝てるだけの時もあるし、外に出て買い物を楽しむ時も有ります
 そしてなずなはこの日、乃莉や野田、友兼と共に外にウィンドウショッピングを楽しんでいたのですが……

「いい加減帰りなさいよ!バカみたいな事やってるからモテないのよ!」
「てめぇ、バカと言う方がバカだって言うのが分からねぇのか!」
「なんですってぇ!」

 突然ナンパをしてきた男たちと、乃莉と友兼が激しい攻防を繰り広げる事になりました

「友兼も乃莉ちゃんも、こんな人達ほったらかしにして、早く行こうよ!」
「何言ってんのよ、野田ちゃん!こいつら殴らないだけでも立派だと思わない!?」
「そうだぞ、野田!力技で何とか出来るなら何とかしてるって!」
「なんだと!」
「乃莉ちゃんも友兼さんも……それ、自慢にならないと思う……」

 乃莉や友兼のセリフにちょっとだけ泣きたくなってしまうなずなですが、泣いたってどうにかなる訳でも無いので、二人を止めるために何とか頑張ろうとしますが……

「ちっ……てめぇら!もうどうでもいいから、こいつら連れてくぞ!」
「とうとう尻尾を表したわね!あなた達が私達相手に勝てると思うの!?」
「バカかテメェは!こうすりゃお前に勝ち目はねえよ!」

 男はセリフと共になずなの腕を引きよせ、その頬に持っていたナイフを突き付けます

「へっ……こいつの可愛い顔に傷を付けられたくなかったら、俺達に付いてくるんだな!」
「くっ……卑怯よ!」
「秘境でも飛行でもどーでもいいんだよ!んで、どうする?素直に従えば、悪いようにはしないぜ?」
「の、乃莉ちゃん……」

 不良たちの言葉と怯えたようななずなの態度に、どうすべきか考える乃莉でしたが……

「お前ら、そこまでにするべきだな!」

 声がした方を向くと、二人の長身の男が威風堂々と立っていました


 ひだまりメイドラプソディー!! 第七話 運命の再会!


 二人の男は、なずな達よりも少しだけ年上で、片方は爽やかで優しそうな印象を受けますが、もう片方は無精髭を生やす等、ややだらしない印象を受けます

「てめぇ、なにモンだ!」
「誰だっていいっちゃろ?……女の子にナイフを突き付けて脅すなんざ、男のやるこっちゃねーぜ?」
「そう言う事だ……その子から……なずなから手を放せ……!」
(え……あの人、なずなの知り合い?)

 爽やかそうな男の言葉に、乃莉は今の所どうでもいい疑問を持ってしまいますが……

「痛てぇぇぇ!」

 その瞬間、男の悲鳴が上がり、なずなが助けに来てくれた二人の男の方に走りぬけます

「大丈夫か? よく頑張ったぞ、なずな!」
「は、はい!律太さん!」
「え?え?なずな、今何やったの?」
「あいつの足を思いっきり踏ん付けたんだ なずなの奴、ホント頑張ったぜ!」
「それよりなずなちゃん、今あの人の事「律太」って言ったよね!?」

 自分の元に一生懸命に走ってきたなずなの頭を優しく撫でて褒める「律太」と呼ばれる男は、彼女にナイフを突き付けた男たちに向き直って睨みつけます
 その律太から放たれる殺気に、男たちはじりじりと後ずさって行きます

「律太って言えば……」
「ああ、彩井学園大学部KN科の、あの内藤律太、だよなぁ?」
「じゃあ、あっちのもう一人は上野彩雲(さいうん)か? ってことは近くに柴田真砂(まさご)もいるんじゃあ……」
「俺たちじゃあ、束になっても敵わないぜ……」
「どうした!来るならとっとと来い!」
『ひ、ひぃぃぃいいい〜〜〜〜!』

 結局ナンパな人達は律太が一睨みしただけで逃げて行きましたとさ


「律太さん、本当にありがとう……」
「なになに、当然の事をしたまでさ♪」

 頭を下げてお礼を言い続けるなずなに、律太は少し困ったような、それでいて嬉しそうな顔をして答えます

「それよりなずな!あの『内藤律太』とお知り合いなの?」
「? う、うん……そうだけど、なんで?」
「なんで、って……ねぇ?」
「そうだよ!この二人と、柴田真砂って人のたったの三人で数百人規模の山賊団を潰した事で有名な人だよ!」
「ええ!?律太さん、本当なんですか!?」
「な訳無いだろ!?」
「てか、俺達の知らない所でどんな脚色がなされてるんだ!?」

 乃莉や野田の言葉に思いっきり驚く律太と上野 この態度から、山賊団云々の噂は完璧なものではないようです

「まぁ……上野や柴田の付き合いの帰りに雨宿りに入った洞窟がたまたま山賊団の居城で、その時最初に倒したのが大将だったってだけだぞ?」
「内藤に最初に喧嘩を売ったのが大将でな……その後いきり立つ雑魚達から逃げては倒し、の途中で山賊退治の命を受けた聖地の騎士団に鉢合わせしたってだけだ」

 律太と上野の説明に、ただただ関心するやら呆れるやらのなずな達だったりします

「それより、なずな お前、彩井学園を受けたんだな どこだ?」
「え……えっと……ME科……」
「そっか、何時か制服姿も見せてくれな?」
「はい♪」

 律太のお願いに、なずなは笑顔で即答するのでした


「そ、そんな事が、あ、あったんですか……いたた……」
「そうだけど……如月ちゃん、大丈夫?」

 夕食の席で乃莉達が昼間起きた事を如月にぶっちゃけてましたが……話を聞いていた如月は、正座をしながら顔をしかめてました

「ご、ごめんね、如月……」
「い、いえ、ラクリマさんだけが悪い訳じゃないですよ!起こさなかった私もわるいんですから!」
「如月ちゃん、さっきは凄く幸せそうな顔してたもんねぇ」
「ったく……だから起こさないにしても、とっととどけるべきだって言ったんだぞ?」
「す、すみません、奈三子さん……でも、寝てるラクリマが可愛くって……」

 そう、なずな達が帰った時には、ラクリマに膝枕(?)をしながら幸せそうな表情で撫でていたのです

「そういえば、友兼さんはスカートを買ったんですよね?」
「おう、唐突に欲しくなってな」
「なんで〜?」
「ああ、なずなや如月が前に言ってた、吉野家先生に女装させられたME科の男子、アレ俺の兄貴なんだよ」
「「え……」」
「ガキの頃いろいろおちょくられたお返しに、スカートをはかせようと思ってな!コレぐらい自費で買ってもバチはあたらねぇよな?」

 友兼の言葉に、なずなと如月と乃莉は顔をあわせてから……思わず噴き出してしまいます……が

「い、いたた……」
「うむ、しびれはまだ取れないのか?」
「は、ハイ……もうちょっと我慢すれば大丈夫だと思うのですが……」
「私に任せてくれないか?」
「え?キョージュさん……?」

 言葉と共に髪に付けられたヘアピンを取ると、如月に近づいて行って……

(も、もしかして針治療のつもり……っ!)

 なずなが雅の行動の意味を理解すると同時に、如月の悲鳴が食堂に響き渡っていました……とさ

 次回に続く

 あとがき
 今回は律太さん初登場の回です んでもって、麻生さんがまだ出て無いのに、上野さんも初登場です 柴田さんも出そうと思いましたが……コレは次の機会に
 如月が思うように活躍させれなかったので、少し酷い目に合わせてしまいました 如月ファンのみなさん、申し訳ありません(苦笑)

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